2021年7月1日更新

うなぎや焼き鳥に使う炭火とガスの違いとは。化学的に見てみよう

炭火

香ばしい匂いで食欲を刺激されるうなぎや焼き鳥には、炭火やガスが使われています。どちらもおいしく仕上げてくれる調理器具ですが、炭火とガスの違いはどういったところにあるのでしょうか。炭火の方がよりおいしくなるという情報が多い中、今回はガスと炭火の違いについて取り上げていきます。

  1. 目次
  2. ガスと炭火どっちがいいのか
  3. うなぎや焼き鳥の味を左右する炭火とガスの違い
  4. 炭火に七輪が良いと言われる理由
  5. 炭火とガスはここまで違う!おいしさには秘密があった

ガスと炭火どっちがいいのか

香ばしい香りで食欲を刺激するうなぎや焼き鳥は、焼きの調理が非常に重要だと言われています。ガスや炭火といった焼きの方法がありますが、よく炭火で焼いた方がおいしいと見聞きしますよね。おいしいと感じる味覚は個々によって違うため、ガスで焼いても十分においしいと答える方ももちろんいますが、炭火とガスは食材の仕上がりを左右します。

ガスより炭火の方がおいしくなる

うなぎや焼き鳥をガスや炭火で食べたことがある方はご存じの通り、味の仕上がりが全く違うと感じた方も多いようです。

ガスで焼いた食材と炭火で焼いた食材は、炭火で焼いた方がおいしい気がすると口にする方が多いですが、それは錯覚やその人の感覚などではなく、化学的においしくなる理由があります。

後述しますが、炭火がおいしくなるカギとなるのは、温度や熱伝導などが関係しています。

ガスでは実現できない炭火の焼き方

うなぎや焼き鳥を焼いているシーンを見たことがある方は多いと感じますが、ガスでは実現できない炭火ならではの焼き方があります。

うなぎや焼き鳥を焼いている際に煙が立ち込めている場面はお馴染みですが、炭火焼きは高温になった炭に直接うなぎや焼き鳥のタレ、脂が落ちて焦げることで煙が発生します。

立ち込める煙は焼いている最中のうなぎや焼き鳥にまとわり付き、周囲まで広がる香ばしい香りを出すことができるのです。

うなぎや焼き鳥の味を左右する炭火とガスの違い

炭火とガスを比較した際に、家庭で調理するならガスの方が簡単でお手軽です。そもそも、ガスより炭火の方がおいしくなると言われているのはどういった理由があるのでしょうか。

ガスは臭いと水蒸気が原因で味が落ちる

ご存じの方も多いですが、都市ガスには何らかの拍子で漏れたガスに気づくように臭いが付けられています。もともとガスは無臭ですが、何の臭いもしないと火を使ってしまう恐れなどがあるからです。

人々の安全を考慮するために付けられた臭いですが、焼きの調理をする際はその臭いがうなぎや焼き鳥に付いてしまいます。

また、ガスの成分は炭素と水素の化合物であり、それらが燃えると二酸化炭素と水が発生する仕組みとなっています。

メタンガスやプロパンガスなどは、空気に含まれる酸素原子と結びつき熱を発生させますが、成分となっているメタンやプロパンの中には水素原子が含まれています。この水素原子と酸素原子が結ばれると水分子が出来上がりますが、これが炭火よりガスが劣ると言われる原因です。

ガスを燃やすと水が発生するため、べちゃっとした感じになってしまうのです。

ガスを燃やした時の化学反応式

【都市ガス】メタン(CH4)
【LPガス】プロパン(C3H8)・ブタン(C4H10)

・CH4(メタン)+ O2(酸素) → CO2(二酸化炭素) + H2O(水)
・C3H8(プロパン) + 5O2(酸素) → 3CO2(二酸化炭素) + 4H2O(水)
・2C4H10(ブタン)+13O2(酸素) → 8CO2(二酸化炭素)+10H2O(水)

炭火のおいしさは水分を含まない・高温・遠赤外線が関係する

炭火がおいしく仕上がる理由は前述したように、温度と熱伝導が関係しています。炭火の主成分は炭素原子であり、この炭素原子が空気中に含まれる酸素原子と結ばれることで炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。そして、化学反応によって熱を発生させるのが炭火です。

炭火は純粋な炭素の塊のためガスのように燃やしても水は生成されません。そのため、ガスで焼いた食材のようにベチャベチャとしないふっくらとおいしい仕上がりになります。

炭を燃やした時の化学反応式

C(炭素)+O2(酸素) → CO2(二酸化炭素)

また、炭火は炎が出ないという特徴があります。炎が出ずに非常に高い温度が出る点も焼き物をおいしくさせる理由です。

家庭で使用されているガスコンロは約250℃程度まで達すると、安全装置によって自動的に火が消えてしまうのに対し、炭火は300~600℃もの表面温度を発生させることが可能です。

特に魚や肉といった食材は、時間をかけて低温調理すると中に火が通るまでに旨みが出てしまうことがありますが、炭火は食材を直接高温で焼き、短時間で調理することができます。

高温で焼いた食材の表面はすぐに焼けるため、中に詰まった旨みやおいしさを閉じ込める働きをします。炭火で焼いた食材の表面がパリパリ、そして中は旨みが溢れ出す香ばしさに仕上がるのはそのためです。

さらに、炭火は遠赤外線を多く放つこともおいしさを維持する理由です。調理器具などでよく謳われている遠赤外線は電磁波の一種であり、ガスと比較すると4倍も多く放つことが可能です。

ガスから出る火は遠赤外線を放つ量が少ないため、うなぎや焼き鳥を直接加熱する放射が起きにくいデメリットがあります。ガスは分かりやすく言うと、まるでオーブンのような熱の伝わり方をします。

ガスは炎で温められた空気によって加熱するため、直接焼くのではなく空気を通して温めている状態です。その点、炭火はガスよりも多い遠赤外線を放ち、放射が起きやすいことで旨みが閉じ込められたおいしさを実現できます。

炭火に七輪が良いと言われる理由

炭火焼きをする際に欠かせない七輪は、炭火と合わせて使うことでさらにうなぎや焼き鳥の味をパワーアップさせます。

七輪の素材は珪藻土で出来ており、ケイ素が多く含まれていることで遠赤外線を発生し、炭火の効果がより発揮されやすくなります。

炭火とガスはここまで違う!おいしさには秘密があった

炭火とガスの違いについてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。ガスより炭火の方がおいしくなるという情報は、きちんとした根拠があるからこそですね。もちろんガスで焼いた食材もおいしいですが、時間と場所が確保できれば是非炭火で焼いたうなぎや焼き鳥を味わってみてはいかがでしょうか。