2017年12月22日更新
サフランの効能と効果的な使い方って?
サフランと聞くと、黄色いごはんを思い浮かべる人も多いと思います。
このように、存在としてはある程度知られているサフランですが、では、サフランってなに? と踏み込んで聞かれると、途端に首をかしげてしまうことも少なくありませんよね。
実はサフランは栄養成分が豊富な上に、さまざまな健康効果が見込めるありがたいものなのです。
- 目次
- サフランって何?
- サフランの価格-値段が高い(高価な)理由
- サフランの効果や効能って?
- サフランの基本的な使い方って?
- サフランの基本的なレシピ
- サフランって何かで代用できる?
- サフランを使うときの注意点
サフランって何?
サフランとは
サフランはアヤメ科サフラン属の植物。料理にもちいられるのは、そのめしべの部分です。
その歴史は古く、旧約聖書にも芳香を放つハーブと記されているほど。今でも、サフランは色と香りの両方の働きがあるハーブとして重宝されています。
使えるのはめしべの部分だけですから、300個の花からわずか1gしか採取できず、もっとも高価なハーブ・スパイスとしても有名です。
サフランの味や匂い
サフランは黄色の色合いを出す着色作用を用途の基本とする香辛料なので、料理に利用してもすごく辛い味を出すとかスパイシーな匂いを付けるなど、味や匂いにインパクトのある香辛料ではありません。サフランは花のめしべを乾燥させたものなので、味は苦みがあり、匂いは干草に似た香りがすると言われます。しかし料理に強力に印象付けるような味や匂いではありません。
サフランの産地
サフランの原産国は地中海沿岸地域で、最初に栽培されたのはイラン、インドだと言われています。またアフガニスタンからトルコ、エジプトに至る南西アジアが原産国であり最初に栽培されたのはギリシャだという説もあります。古代ギリシャではサフランの黄色を珍しいものとして王室だけが使えるロイヤルカラーなどと呼ばれていたという文献も残っています。
サフランは紀元前よりイラン、中国、スペイン、ギリシャなど世界各地で香辛料や染料、香料、薬用として使われていました。現在は日本、イラン、ギリシャ、モロッコ、インド、スペインなど世界の様々な国で栽培されています。中でもイランは世界の最大生産量を占め、その生産量は全生産量の9割以上占めています。イランでは国内で利用するほか、その大半が輸出され、イランは世界最大の生産国であると同様にサフランの最大の輸出国でもあるのです。
サフランにはどんな栄養があるの?
サフランは、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
具体的には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ナイアシン、葉酸、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウムなどです。
いいサフランの見分け方
当然ですが、サフランにもいいものとあまりよくないものがあります。
購入するときは、ぜひ、次の三つの点を参考にしてみてください。
- 強い、漢方のような香りがする
- 赤やオレンジではなく、エンジ色をしている
- ただの細長いものではなく、めしべの盛り上がり部分がきちんとついている
サフランの保存の仕方
サフランは高価なので自家栽培して利用する人もたくさんいます。多年草なので収穫して上手に保存できれば大変安あがりに使うことができるわけです。自家栽培したサフランは9月下旬~11月上旬に薄い紫色の花を咲かせます。花の中には黄色いおしべと3本に見えるけれど1本からなる赤いめしべがあります。
花が咲いたらその日のうちにめしべのみを収穫し、キッチンペーパーのような水を吸収する紙に包んで乾燥させます。電子レンジを使って乾燥させる場合は200℃の温度で様子を見ながら少しずつ水分を飛ばしていき十分に乾燥させます。電子レンジ以外の方法は風通しのよい室内で陰干しするという方法もあります。ただしサフランはとてもデリケートなので直射日光に当ててしまったり、長時間空気にさらして放置すると香りが失われ品質が落ちてしまうので注意してください。しっかり乾燥したら、密封容器に入れて保存します。キッチンペーパーに包んで乾燥材と一緒に瓶に入れて保存するのもよい方法です。
市販のサフランはきちんと容器(ビンなど)の蓋を閉め、もしくは密封容器に移して常温で湿気の少ない暗所で保管しましょう。
サフランの価格-値段が高い(高価な)理由
サフランの価格はたとえば通販で見てみると、スペイン産のサフランが1gが1000円くらい、国産のものでは1gで1200円くらいと大変高価な香辛料です。
サフランの価格が高い理由は、少量しか収穫できないことや収穫に手間がかかることなどがあげられます。サフランはアヤメ科の植物の花のめしべを乾燥させた香辛料なのですが、サフランの花は1年に1回しか開花せず、おまけに2週間しかもたずしおれてしまいます。そのため開花している2週間という短い期間に人の手で摘み取らなければならないこと。それに加えてそのめしべは細くて見た目は3つに分かれているのですが1輪に1本しかついていないため、1gのサフランを生産するのに500本くらいのサフラン花が必要なのです。このような理由からサフランの値段は高くなってしまい、高価な香辛料だと言われるのです。
サフランの効果や効能って?
サフランには血管を広げたり、血液をサラサラにしたりと、血行を改善するはたらきがあります。
また、それにより体内の老廃物や毒素を押し流して排出するというデトックス効果も期待できるでしょう。
さらにサフランは、中枢神経を活性化させ、記憶力を増進させる力も秘めているのです。
このことから、サフランには以下の効果・効能があると言われています。
- 疲労回復効果
- 頭痛解消効果
- 冷え性解消効果
- 生理不順緩和効果
- 更年期障害改善効果
- 血行改善効果
- 心身の不調を改善する効果(うつ緩和)
- 動脈硬化改善効果
- 高コレストロール抑制効果
- ドロドロ血液をサラサラにする効果
サフランは漢方薬として使われることもあるの?
たしかにサフランは漢方にももちいられていますが、どちらかというと、薬としての使用のほうが先。古代エジプトやギリシアの時代から婦人病の妙薬として使用されていたのが、のちに料理にも使われるようになったのです。
現代でも婦人病や風邪に効く薬として重宝されていますよ。
副作用やアレルギーの心配はないの?
サフランは、まれにアレルギー反応を起こす人がいる植物です。
オリーブ属、オカヒジキ属、ドクムギ属の植物に過敏症がある人は注意したほうがいいでしょう。
また、サフランには血行改善の効果があることは既に述べました。
万一、サフランを過剰摂取してしまうとこの部分が良くないほうにはたらき、のぼせ、火照り、不眠などの症状を引き起こしますから気をつける必要があります。
サフランの摂取量はどれくらいなら大丈夫?
サフランの摂取量の目安は、一日だいたい0.1~0.3gほど。
一日1.5g以内なら問題ないと言われていますが、安全に健康に役立てるなら0.3gまでに抑えたほうが間違いありません。
サフランの基本的な使い方って?
どうやって色を出すの?
サフランは、あらかじめ水にひと晩つけておいて色を出します。水の代わりに白ワインや牛乳でも構いません。用途に合わせていろいろ工夫しましょう。
急ぐときは二時間ほどつけるだけでも大丈夫ですが、長くつければそれだけ色も香りも出るので、できれば前日から準備したいところ。ただし、香りが飛んでしまうので、24時間を超えてつけるのはおすすめしません。
ちなみに、色を出したあとのサフランは出さず、そのまま料理に入れて調理しても構いません。
時間がないときの裏技ってないの?
どうしてもすぐに色を出したいときは、サフランを指で細かくつぶして熱湯にひたすか、つぶしたサフランと大さじ2~3杯の水を20秒ほどレンジにかけましょう。
レシピによく書いてあるサフランひとつまみってどれくらい?
サフランひとつまみはだいたい50本くらい。
重さにすると0.1gほどです。
サフランの基本的なレシピ
参照するレシピによっては、「サフランを焼く」という工程が加わっているものがありますが、通常は必要ありません。
質の悪いサフランは水分を多く含んでいるため、そういったサフランを乾燥させるためにオーブンなどに入れることが勧められているのです。
サフランティー(サフランのお茶)
ティーカップにサフランを10~15本入れて熱湯を注ぎ、数分待ちます。鮮やかに色づいたらできあがり。
風邪気味のときなどはこのティーにカルダモンなどのスパイスを加えて飲めば、滋養強壮の効果もあり、薬の代わりになります。
サフラン酒
お湯割りの場合は、グラスに10本ほどのサフランを入れてお湯と焼酎を注ぎます。
水割りやロックの場合は、グラスに10本ほどのサフランと少量のお湯を入れ、色出しをしてから焼酎と水、もしくは氷を入れます。
サフランライス
お米を研いだら普段通りの水加減にし、その中にひとつまみのサフランを加えて30分ほどおきます。
色が出たら、全体を軽く混ぜてスイッチオン。
サフランって何かで代用できる?
サフランは香りと色に特徴のあるスパイスです。この両方を満たす代用品は残念ですがありません。
色だけが目的ならターメリックやカレー粉で代用できますが、サフランとはまったく違う強い香りがあるので、作りたい料理によってはそぐわないでしょう。
そういったときは、クチナシの実で代用することをおすすめします。こちらもサフランの香りは真似できませんが、代わりにまったく違うにおいをつけてしまうこともありません。
サフランとターメリックの違い
サフランもターメリックも同じように料理に黄色い色を付ける香辛料ですが、二つの違いは色素成分が違い、その色素成分の性質も違います。そのため黄色の色をより鮮やかに出すには、それぞれの色素成分の特徴を踏まえたコツもあります。
<サフラン>
サフランに含まれている色素成分はクロシンという成分です。水溶性の天然色素の一群の中の黄色の色素です。水分につけて色だしすると鮮やかな黄色い色を出すことができます。
<ターメリック>
ターメリックに含まれている色素成分はクルクミンという成分で油溶性の黄色の色素です。クルクミンはウコン由来の黄色のポリフェノール化合物で、着色剤として利用されているものです。日本では食品衛生法に基づく食品添加物の中の既存添加物に指定されています。
ターメリックは植物(ウコン)の根の部分なので土のような匂いがしますが、加熱すると香りは消えてしまいます。鮮やかな黄色を出すコツは油やバターなどをうまく利用すると、きれいな黄色い色を出すことができます。たとえば天ぷらや唐揚げの衣に混ぜると衣がきれいな黄色になります。
【関連リンク】
・知らなかったターメリックの効能効果!その使い方は?ウコンとの違いは?
サフランを使うときの注意点
サフランは健康にいいだけでなく、漢方にも使われるほど、とくに女性に嬉しい効果のあるスパイスです。
ただし、女性に効果があるということは、女性が気をつけなければいけないという意味でもあるのです。
たとえば、子宮が収縮する作用があるので、妊娠中は摂取しないようにするなど。
また、健康な人でも一日の目安量を超えた摂取は避けたほうがいいでしょう。
サフランの中毒について
サフランは料理などに使われ摂取する量では健康を害することがないと、国の健康や栄養を調べる研究所より報告されています。しかしサフランの作用を調べた研究報告からは堕胎作用、子宮収縮作用、月経の周期に好ましくない影響が出る場合がある報告もあがり、サフランの摂取には注意が促されているのは事実です。
また授乳中の乳児への安全性についても現在情報があがっていないため、授乳中の女性は摂取を避けることがすすめられています。サフランはたくさん摂取する香辛料ではありませんが、実験結果では5g以上大量に摂取すると体に害を及ぼす副作用が出ると報告されています。致死量は12~20gだという報告もあります。
ちなみにサフランによく似た花を咲かすイヌサフランという植物がありますが、これはサフランとは全く異なる植物です。主に観賞用に利用されている植物ですが、サフランの花の開花時期と同じころ(10月ごろ)にサフランによく似た花を咲かせます。ユリ科の植物なのですが、イヌサフランは毒性がある植物で食べると中毒症状をおこし、重篤な場合は死に至ることもあると東京都福祉保健局健康安全研究センターなどの調べで報告されています。
イヌサフランもサフランと同様に多年草の植物ですが、毒性のある植物で食用ではありません。花を咲かせた後翌春には食用の山野草に似た葉がでるので、これを間違えて食べてしまい中毒になってしまった事例も上がっています。イヌサフランの毒成分はコルヒチンです。過去にはリウマチや痛風の治療に用いられてきた成分ですが、毒性も強く副作用を伴うので使用の注意がされています。サフランとよく似ていますが間違えないように気を付けてください。
【参考文献】
・日本薬局方 サフラン http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400175_5100078X1080_9_01.pdf