2019年8月29日更新

100%ジュースが同じ味になる理由

100%ジュース

健康のことを考えた上でジュースを口にするなら100%ジュースを選びがちですが、100%ジュースが同じ味になる理由について謎に感じている方も多いでしょう。使用する果実によって味にバラつきは出ないのかと気になりますが、それは「ストレート」、「凝縮還元」という良く目にする言葉に秘密がありました。

  1. 目次
  2. 美味しいジュース…でも100%ジュースが同じ味になる理由とは…
  3. 2種類ある100%ジュース
  4. 100%ジュースと記載するためのルール
  5. 濃縮還元したジュースに含まれる主な添加物とは
  6. これでもう怖くない!100%ジュースが同じ味になる理由

美味しいジュース…でも100%ジュースが同じ味になる理由とは…

おやつや間食としても広く飲まれているジュースは小腹が空いたときに最適ですよね。美味しくジュースを飲みたいところですが、健康のために100%と表記されたジュースを手に取る方も多いことでしょう。

味わいがしっかりとしており、舌に残るようなあの濃い美味しさが魅力的な100%ジュースですが、果汁100%なのにも関わらず毎年同じ味になるのを不思議に感じた方もいますよね。

その年によってはすっぱく実ってしまうことも安易に想定できますが、使用する果実が100%で何年飲んでも変わらない同じ味わいは謎が深まるばかりです。

果汁100%の落とし穴

果汁100%と表記されているジュースは、裏側の詳しい成分表を見てみると「加糖」の文字も一緒に記載されていることがあります。果汁100%と書いてあるのにも関わらず、更に追加されるように加糖という文字があればそれは100%ではないのでは、と疑問になりますよね。実は私達が普段飲んでいる100%ジュースはオリジナルの100%でないものも多いのです。

100%ジュースには2種類ある

普段何となく飲んでいる100%ジュースですが、具体的に掘り下げていくと100%ジュースには2種類のタイプが存在します。下記でまた詳しく触れていきますが、私達が普段飲んでいる安い価格の100%ジュースは、ほとんどが濃縮還元と呼ばれる製法で作られたジュースです。

100%ジュースという言葉に必ず出てくるストレート果汁とはまた異なる種類のため、100%ジュースを購入の際はまず裏面に表記されている文字を確認すると良いでしょう。

2種類ある100%ジュース

100%と記載されていると、単純に原料となる果実をそのまま絞って容器に入れた、と考えがちですが、実は100%ジュースの世界は奥深く、掘り下げていかないと通常は知らない理由がたくさんありました。

ストレート果汁

100%ジュースと見聞きして多くの方が想像する製法がこのストレート果汁です。読んで字の如く、果実から果汁を絞ってそのまま容器に入れるという方法ですね。

該当する果実は産地で採れたものを濃縮せず、カット又は搾ったのちに冷凍加工されて工場へ向かい、容器に入れて作られます。しかし、このストレート果汁製法にはいくつかの問題があり、水分を多く含んだ果実は大量に収穫すると重みがあることで輸送費がかさんだり、衛生面などを考えた際に保管場所の確保も大変です。そんな問題を抱えたストレート果汁製法を緩和させてくれるのが次でご紹介する濃縮還元です。

濃縮還元

濃縮還元とは、該当する搾った果実の汁から水分を飛ばし、5~6倍まで濃縮してから冷凍、そして使用する際に水を追加して元の濃度まで戻す方法のことを指します。

濃縮方法はフリーズドライによって水分を抜き、ジュースの温度を周りよりも上げることによって水分を蒸発させるシステムになっています。

この濃縮還元はストレート果汁製法と比較すると運送費用などのコスト面で削減でき、保管する場所もストレート果汁と比較すると大幅に狭くすることが可能です。そのため、より安価で100%ジュースを作ることができるのです。

濃縮還元製法であれば季節関係なくジュースを作ることができるので海外から輸入される場合は特に運送費用及び保管費用を安くさせることができます。

ただし、濃縮還元は水分を蒸発させるときに香りや風味などが消えてしまうデメリットがあります。そのため、濃縮還元させて作られた100%ジュースには失った香りや風味を復活させるために香料などの添加物を加えているものも多いのです。

100%ジュースと記載するためのルール

100%ジュースには、元の濃度まで戻すために加糖したり、使用する果汁の比率によって記載方法が細かく決められています。何気なく美味しく飲んでいる100%ジュースの世界は非常に広いので、購入する際は参考にしてみてくださいね。

果汁比率によって記載ルールが定められている

100%果汁ジュースはJAS規格によって果汁比率のルールが定められています。

果汁100%ジュースと表記する場合の果汁率はもちろん100%でなくてはならず、果汁100%以下を下回ると果汁100%ジュースと表記してはいけない決まりになっています。

また、こちらも良く目にする「果汁飲料」については果汁が10%以上で100%未満。そして「清涼飲料水」については果汁10%未満とされています。
しかし、果汁飲料に〇〇果汁(〇%)や清涼飲料水に果汁〇%と記載することに関するルールはないのでこういった表記がされていた場合は何も問題ありません。

濃縮還元に加糖する場合の比率

様々な方法によってより果汁らしい味わいを追求している100%ジュースですが、その背景には涙ぐましい努力の積み重ねがあります。

JAS規格では濃縮還元ジュースに加糖することが許されているのですが、加糖した場合は必ず裏面に加糖と表記しなければいけません。また、加糖する割合の上限や果実の種類なども定められているため、100%ジュースを保つためにはこの2つの基準をクリアしなければいけません。

加糖2.5%以下の濃縮還元ジュース

JAS規格で加糖2.5%以下が認められているジュースの種類は、温州みかん、レモン、リンゴ、ブドウ、パインアップルなどの果実及び種類別以外の果実。

加糖5%まで認められた濃縮還元ジュース

5%のより多くの加糖が認められた果汁ジュースには、オレンジ、グレープフルーツ、桃、果実ミックス、果粒入り果実、野菜ミックスなど。

※もちろん100%ジュースが同じ味になるように、メーカーによって最低限決められた産地や果実の質など、あらゆる視点から一定の基準を確保できるような正解を表したルールが各自定められています。

濃縮還元したジュースに含まれる主な添加物とは

100%ストレートジュースなら安心できますが、濃縮還元した100%ジュースはやはり安全面が気になりますよね。どのような添加物が含まれているのか種類別に見ていきましょう。

濃縮還元ジュースのみに認められた添加物

まず濃縮還元ジュースにのみ認められた添加物は、天然香料や二酸化炭素、そして強化剤や酸味料です。二酸化炭素や強化剤と見聞きすると怖い添加物だと感じますが、その正体は二酸化炭素が炭酸ガス、そして強化剤がビタミンやミネラルといった成分です。

濃縮還元とストレート果汁のどちらも認められた添加物

次に濃縮還元とストレート果汁のどちらにも許された添加物は、増粘安定剤や酸化防止剤と言われる品物の劣化を防ぐために使われるビタミンCです。といっても微量にしか含まれず、水に溶けやすい性質を持つので酸化防止剤=体に悪いということはありません。

ストレート果汁や濃縮還元に使用OKな酸化防止剤は、リンゴやブドウ、桃や西洋なし、バナナなどに使用でき、増粘安定剤はパイナップルのみに使用OKとされています。

添加物と記載されてあると体に害があるのかと考えてしまいますが、酸化防止剤が含まれていなければ劣化しやすい状態のジュースを体に取り込んでいることになるため、人が安全に100%ジュースを飲み続けていくためには非常に重要な添加物になるのです。

これでもう怖くない!100%ジュースが同じ味になる理由

100%ジュースが毎シーズン同じ味になる理由に疑問を抱いていた方も多かったことでしょう。100%ジュースを毎シーズン同じ味で同じ濃度で提供し続けることはメーカーの度重なる努力がありました。体に害があると思われがちな添加物も実は美味しく飲み続ける上では必要なものになるので、美味しいジュースライフを楽しんでいきましょう。