2018年8月16日更新
金針菜とは、その効能について
食に関する健康志向のブームが高なる近年、日ごろからバランスのとれた美味しい食事を摂って体の不調を整えようと、漢方食材が注目されています。金針菜も体に良い影響を与えてくれる薬効のある食材として注目されている食材の一つです。今回は金針菜とはどんな食材なのか、その効能や栄養、使い方などを調べました。
- 目次
- 金針菜(きんしんさい)とは
- 金針菜の旬の時期
- 金針菜はほんのり甘い味
- 金針菜の効能
- 日本で販売されているものはほとんど乾燥したもの、その使い方は
- 金針菜をつかったおすすめのレシピ
- 金針菜を日々の食事に摂り入れ健康増進をはかろう
金針菜(きんしんさい)とは
金針菜は本萱草(ホンカンゾウ)というユリ科ワスレグサ属に属する植物の花の蕾です。本萱草(ホンカンゾウ)は中国南部が原産で、心配事をすべて忘れてしまうほど美しい花を咲かすことから、別名「忘憂草(ボウユウソウ)」とも呼ばれています。蕾の薬効に憂鬱なことを忘れさせてくれる作用があることで忘憂草と呼ばれているという説もあります。
本萱草の蕾である金針菜は生ものを摘んで加熱するか、乾燥したものをもどして料理して食べます。中国では体の不調を改善する薬効のある食材として、昔からよく食べられている食材です。
普通のスーパーではなかなか手に入りづらい食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけで、体の不調な症状を改善したり整えてくれる漢方食材として注目されている食材です。漢方薬のように苦味はなく、味に癖のない使いやすい食材で色々な料理に使えます。
金針菜の旬の時期
金針菜は6~10月に旬の時期を迎えます。この時期に摘まれる蕾は緑色の硬い蕾が収穫されます。花が開く前のものは黄色い蕾をしています。ちなみに黄色い蕾のものは「黄金金針菜」と呼ばれます。摘まれた金針菜の蕾の中にはたくさんの花粉がつまっており、そしてその花粉の中にたくさんの栄養成分がバランスよく含まれています。
金針菜はほんのり甘い味
生のものを加熱調理した金針菜も乾燥の金針菜も、料理したその味は、クセのない味でほんのり甘みを感じます。少しヌルっとしたヌメリがありますが、食感はシャキシャキした歯ごたえがあり、この食感も金針菜の魅力の一つです。
金針菜の効能
中国の伝統医学である中医学では、食材を体に取り入れることで現れる症状によって食材を温、熱、涼、寒の4つの性質(四気)に分類する理念があります。
そして個々の食材は酸味、甘味、苦味、辛味、鹹味(かんみ・しょっぱさ)という5つの味(五味)に分類され、それぞれの味が、体の中の脈となる部分を通って不調を訴える臓器に作用する、これを中医学では帰経と呼んでいます。
中医学で漢方食材だと捉われている金針菜は、その理念に基づくと四気の中では涼性、五味の中で甘味を示す食材とされています。
中医学から見た金針菜の効能
四気の中で涼性に分類される金針菜は身体を冷やす作用、そして鎮静作用や消炎作用があります。
体内にこもった熱を冷ます作用があるので、夏バテにも効果的な食材です。鎮静作用があることで気の高ぶりを静める、精神の緊張をほぐす、憂鬱な気分を解消する、イライラする気分が治まるなど精神の安定が得られ、不眠の解消にも効果的です。
五味の中で甘味に分類される金針菜は食欲増進や解毒作用があります。
甘味は腎臓に帰経し、腎臓の働きを促進する作用があるので体内の水分の流れと代謝を良くし、泌尿器の機能を整えむくみなどが解消されるほか、ホルモンの働きを促進する作用から、産後の母乳分泌不全の改善などにも効果があります。
甘味はストレスなどで弱った肝の働き助けてくれる効果があり消化を助けストレスを軽減する効果があります。
血液の流れをよくする作用から新陳代謝のアップにつながり、動悸や息切れに役立つほか、補血作用があることでは貧血の防止や造血作用に効果があります。
金針菜の栄養成分から見た効能
金針菜の栄養成分の分析からは、タンパク質、鉄やカルシウムなどの豊富なミネラル類、ビタミンA、B、C、カロテンなどのビタミン類、そしてアミノ酸の一種であるアスパラギン酸などの栄養分がバランスよく含まれていることが報告されています。
ミネラルの中でも特に鉄分はほうれん草の20倍もの量を含んでいることから、貧血やかすみ目に効果があると言われています。
カルシウムは骨や歯を強くするだけではなく、精神を安定がはかれ、神経衰弱や不眠などの症状回復に効果が期待されています。
アミノ酸の一種類のアスパラギン酸は美容効果や疲労回復に効果があると言われます。このように金針菜は含有される栄養成分から見てもたくさんの効果に期待されている食材です。
【関連リンク】
・アスパラギン酸の効果・効能とは
日本で販売されているものはほとんど乾燥したもの、その使い方は
日本で販売されている金針菜のほとんどは乾燥したものです。蕾をそのまま乾燥させたオレンジ色のものと、蕾を蒸してから乾燥させた茶褐色のタイプがあり、どちらも使うときは水またはぬるま湯に浸けてもどして使います。
オレンジ色のものは30分くらい、茶褐色のものはもどすのに2時間くらいかかります。どちらのタイプももどした水や湯の中には栄養分が溶け出ていますので、もどした水や湯は捨てずに活用しましょう。
軸の部分が少し硬いですが、食べてもさしつかいありません。気になるのなら、指でちぎって取り除いてください。もどした金針菜は炒め物、サラダの具、煮物、天ぷらなどのほかに、もどし汁と一緒に味噌汁、スープ、薬膳鍋などの料理に使います。
乾燥した金針菜は保存がきくので便利
日本で販売されている金針菜は、ほとんどが乾燥した状態で販売されているので、長期保存が可能です。家庭に常備しておくことができるので、家庭でも薬膳料理を作って日々の食生活に金針菜の薬効を活用することができます。
生の金針菜には毒があるから必ず火を通して食べること!
中国などでは生の金針菜を料理に使います。しかし生の金針菜には毒があるため必ず火を通してから食べなければなりません。もし生の金針菜が手に入ったときは必ず加熱調理して食べるようにしてください。生のまま食すると毒によってめまいやむかつき、嘔吐、下痢などの症状を伴う食中毒を引き起こす恐れがあります。
金針菜をつかったおすすめのレシピ
金針菜は、体の不調を予防、改善して健康維持増進をはかれる漢方食材だと、古くから中国では日々の料理に使われてきました。近年日本でも注目されつつある食材ですが、一般家庭ではあまり金針菜の料理は日々の食卓には並びません。そこで金針菜のおすすめの料理のレシピをいくつかご紹介します。こんなレシピで料理してぜひ毎日の献立に活用してみてください。
金針菜とセロリのスープ
金針菜を使った薬膳スープ。体に優しい野菜をたくさん使い、スープの中に溶けだした金針菜の栄養の効果で、ストレスなどで弱った胃や肝臓の働きを改善し、食欲増進がはかれます。金針菜は薬膳の概念の五性の分類では「涼」。体をおだやかに冷やしてくれるので、食欲増進と共に夏にもおすすめのスープです。
<材料4人分>
- セロリ1本
- 白菜2~3枚
- 人参1/2本
- ごぼう1/2本
- 長ネギ1/2本
- 金針菜15g
- 水800cc
- 市販の野菜ブイヨン2袋
- 塩・コショウ少々
鶏肉と金針菜の煮込み
ご飯のおかずやお酒のつまみにもよく合う一品。鉄分を多く含んでいる金針菜はその効果で貧血気味の方にもおすすめしたい一品。疲労回復にも効果があります。冷えても美味しいので、残ったら翌日のお弁当のおかずにも最適な一品です。
<材料4人分>
- 鶏もも1枚(300g)
- *しょうゆ、酒各小さじ1
- 片栗粉大さじ1
- 金針菜50g
- 干し椎茸(もどす)4枚
- 木くらげ10g
- 赤唐辛子1本
- しょうが1かけ
- にんにく1かけ
- 椎茸のもどし汁+水3カップ
- 中華スープの素2個
- オイスターソース大さじ1+1/2
- しょうゆ、紹興酒各大さじ1
- 砂糖大さじ1
- こしょう少々
- 片栗粉、油、ごま油
金針菜を日々の食事に摂り入れ健康増進をはかろう
漢方の食材として薬膳料理などに利用されている金針菜は、中国では日々の食事に摂り入れて体の不調の予防に食されています。食から得る健康ブームが高まる日本でも注目されつつある金針菜を、日々の食事に摂り入れて、体の健康維持や病気の予防に役立て、金針菜を美味しく料理して健康増進をはかってみてください。