2017年9月13日更新
小麦たんぱくとは?小麦たんぱくの糖質やアレルギーについて
小麦たんぱくってご存知ですか?パンやめん類はよく召し上がりますよね。小麦たんぱくはこれらの食品を作るのに欠かせない食材なのです。今回は小麦たんぱくについて調べました。健康志向が高まる近年、気になる小麦たんぱくの糖質やアレルギーについてもお話します。
小麦たんぱくとは
米、トウモロコシそして小麦は世界の三大穀物と言われています。その中でも小麦は最も多く栽培されており主に小麦粉に加工されます。この小麦粉のタンパク質にはグリアジンとグルテニンという成分が含まれているのですが、小麦粉に水を加えてこねることで反応を起こして粘りのある塊になるのです。
これを水洗いすると小麦粉をでんぷんとたんぱくに分離することができます。小麦たんぱくとはこの時出来きたたんぱくの塊のことで、ガムのような粘弾性が特徴です。そしてこの小麦タンパクのことを「グルテン」と呼んでいます。
小麦粉からできたグルテンの特徴
小麦粉からできた小麦たんぱくのグルテンは、小麦粉の持つ2種類のたんぱく質の性質からほかの穀類にはない特徴を持ち合わせています。小麦粉の中のたんぱく質の1つであるグルテニンは弾力性があり伸びにくい性質で、もう1つのグリアジンは粘着力が強い性質をしています。小麦たんぱくのグルテンは弾力性と粘着性を兼ね備えた粘弾性を特徴に持つ物質です。
原料の小麦粉や練る時の水の分量によって性質の強度に違いがでてくるのも特徴的です。この特徴を活かしてパンやめん類、お菓子作り、水産物のねり物などに利用されています。日本農林規格(JAS規格)では小麦タンパクを粉、ペースト状、粒状、繊維状とその形状によって分類しています。
パンやお菓子の材料になる粉の小麦たんぱくの糖質は?
今回は一般的に使われる粉のタイプの小麦たんぱくについての糖質を調べました。小麦たんぱくのグルテンはその特徴を活かし、パン、ピザ、ケーキ、パイ、クッキー、パスタなどに利用されていますが、今、この小麦たんぱくのグルテンには糖質が多いので、グルテンを使った食品を好むアメリカ人は糖質制限するためにグルテンフリーの食材を食事に取り入れる人が増えているといわれます。日本人の食生活も欧米化してパン食やクッキーなどのお菓子やパスタ類を食生活に取り入れることが増え、小麦たんぱくの糖質は気になる問題です。そこで実際にどのくらいの糖質が小麦タンパクに含有されているのか見てみました。
小麦たんぱく(粉のもの)に含まれている糖質
糖質を算定する方法はいくつかありますが、今回は100gあたり粉の小麦たんぱくに含まれる炭水化物から食物繊維の総量(水溶性、不水溶性)を引いて糖質の数値を割り出しました。炭水化物と食物繊維の数値は文部科学省「食品標準成分表2015年版(七訂)」を準拠とした食品成分表を参考にしたものです。その結果、粉の小麦たんぱく100g中には8.2gの糖質が含まれていました。
たとえば三大穀類と言われる米やトウモロコシの糖質と比較してみると、米(はいが精米)は100gあたり75.1g、とうもろこし(生)は100gあたり16gです。この結果をみると、粉の小麦たんぱくの糖質は三大穀類の中では一番少ない数値を示しています。ではなぜグルテンフリーなどという食品が注目されるかというと、この小麦タンパク自体の糖質が小麦たんぱくを使ったパンやパスタの糖質に相当するというわけではないからです。
食品名 | 糖質の量 |
---|---|
米(胚芽精米) | 75.1g |
とうもろこし(生) | 16g |
小麦たんぱく(粉) | 8.2g |
製品化されたパンやパスタなどの糖分は小麦たんぱく由来の糖分のみだけではなく、その食品の材料の糖質の含有量によって変わるため、小麦たんぱくの糖質イコール食品の糖質だというのではないのです。糖質の摂取量を気にしなければならない方は、購入した製品の商品成分でその食品の糖質を知るのが一番正確な方法です。
小麦たんぱくのアレルギーについて
小麦たんぱくはアレルギーを起こしやすいと心配されています。パンを主食にし小麦の生産量や輸出量が多いアメリカでは、近年小麦たんぱくを食事に取り入れないグルテンフリーなどという食事法が流行しています。小麦たんぱくには食欲を増進させる成分が含まれているとか、血糖値を急にあげてしまいそれを下げるためインシュリンが過剰に分泌されるので太りやすくなることから、ダイエットを目的としてこのような食事法が注目されているのも一因ですが、実際ダイエットのためだけではなく小麦たんぱくによるアレルギーの問題からも小麦たんぱくを避けたいという目的もありグルテンフリーという食事法が流行っているのです。
小麦たんぱくによるアレルギーには、小麦たんぱくに含まれる成分が体の免疫機能に過敏に反応してしまい引き起こされるグルテン過敏症、小麦たんぱくに反応してしまう自己免疫疾患のセリアック病、小麦に対する免疫反応が原因となる小麦アレルギーなどがあります。日本では2011年に食物アレルギー患者を中心としたアレルギー表示制度が導入されました。食品による健康保護を目的とした制度で、食物アレルギーに関する情報をより明確にしようとするものです。
これは食物アレルギーの人が情報提供の不足から、食品中のアレルギー物質がわからず食品を摂取してしまい健康に危険が生じたことが原因となり、現在27品目の表示が指定され、そのうち7品目が義務化されています。その中に小麦も含まれているのです。食物アレルギーの原因となる物質については、その時代ごとに変化もあるので、新しい検査報告など、随時見直しなどが行われているのが現状です。
小麦たんぱくの粘弾性はパンやパスタに大活躍!
小麦粉に水を加えて練り込んで作られた小麦たんぱくはグルテンと呼ばれ、ガムのような粘弾性のある食品でした。特徴の粘弾性を利用して、パンやパスタ、お菓子などが作られていたのですね。小麦タンパクの糖質は製品化されたパンやパスタ、お菓子の糖質というわけではありません。
糖質制限されている方は製品化された食品の食品表示などから糖分を把握してください。面白い特徴を持った小麦タンパクですが、小麦由来の食品なので小麦のアレルギーをお持ちの方は食品の表示に気をつけて召し上がってください。