2017年5月10日更新
あの洋食も手作りできる!とろり濃厚なベシャメルソースとは?
ベシャメルソース、あまり聞かない名前ですが、私たちのよく知る洋食にも多用されるなじみ深いソースです。
グラタンやクリームコロッケの白い部分、あれはベシャメルソースをもとに作られており、フレンチやイタリアンでは欠かせないソースなんです。
ベシャメルソースとは
ベシャメルソースの発祥はイタリアともフランスとも言われ、その名前の由来は諸説あります。
フランスのルイ14世の時代にベシャメルソースについての記載が残っていることから、当時の料理長の名前であるという説が有力ですが、他にもガレットなどで有名なブルターニュ地方の行政官の名前、オレルアン家の伯爵の名前、17世紀半ばの美食家ルイ・ド・ベシャメル(Louis de Bechmel)からきているなど、その由来は明らかではありません。
ベシャメルソースの材料
基本となる材料は、薄力粉、バター、牛乳、ナツメグ、塩です。
ナツメグはモクレン目ニクズク科の常緑樹の種から作られるスパイスで、穏やかな甘みとほろ苦さがあります。木の実の形のまま売られている場合もありますが、ここでは挽いて粉状になったものを使います。
・ナツメグの基本的な使い方とは?その効果や効能から致死量まで
ベシャメルソースとホワイトソースとの違い
この材料からホワイトソースを連想する人もいるかもしれませんが、厳密にはホワイトソースはベシャメルソースにさらにブイヨン(野菜と鶏肉から取った出汁)やコンソメ、魚の出汁を加えたものを指します。
グラタンなど私たちがなじみ深い洋食の多くは、ベシャメルソースをホワイトソースに変えて使うため、ホワイトソースの方がよく知られているんですね。
意外に簡単!その作り方とは?
洋食においてベシャメルソースは、パスタや蒸し料理の基本のソースになります。少ない材料ながら、さまざまな料理で使える応用範囲の広いソースです。
ベシャメルソースの作り方
鍋にバターを入れてから火にかけ、溶けたら小麦粉を加えて炒めます。
バターを含んだ小麦粉は、炒めると少しずつどろっとしてきますよ。
粉っぽさがある程度消え、粘り気が出てきたころが牛乳を入れるベストタイミング。牛乳を少しづつ加えてペースト状のソースを伸ばしていきます。
ダマにならないようしっかり混ぜたら、塩とナツメグを加え、焦げないよう更に数分煮こんで完成です。
フランス料理には、牛の骨を焼いてから何時間も煮込んで作るフォンドボーや、海老の殻を砕いて煮込んでから濾しとるアメリケーヌソースなど、手間のかかるソースが多いことを考えると、ベシャメルソースは家にある材料ですぐにできますね。
ベシャメルソースを作るときのポイント
薄力粉がない場合他の小麦粉で代用可能?
加熱時牛乳とのなじみが良いのは薄力粉ですが、中力粉や強力粉でも問題ありません。薄力粉に比べると、これらはダマの原因になるグルテンを多く含むため、牛乳としっかり混ぜるようにしてくださいね。
最適なソースの濃さとは?
かたさの調整は牛乳で伸ばして行いますが、ベシャメルソースの味を左右する濃厚さは、バターに薄力粉をどの程度入れるかで変わります。
目安は薄力粉とバターの体積が1:1になるように混ぜること。
ベシャメルソースは古くから一般家庭で親しまれるソースということもあり、厳密には材料を計って作るというよりは、季節によって気温や湿度を考慮しながら作るものという考え方が根強いんですね。
生クリームを加える場合は?
仕上がりをもっと滑らかにしたいときは生クリームを加えます。牛乳を1/3ほど減らし、代わりに生クリームを加えるとミルクの濃厚な香りが増して、口あたりが更にクリーミーになりますよ。
ホワイトソースにする場合は?
ベシャメルソースにブイヨンかコンソメいずれか1つを加えます。その時加える出汁と牛乳の割合がポイントです。
シチューなどの牛肉を煮込む料理や、野菜と炒めるパスタソースには、通常のホワイトソース同様、ベシャメルソースを出汁のみで伸ばしていくと良いですが、グラタンやラザニアなどチーズ同様合わせたり特に牛乳の風味を出したい時は、伸ばす際にも牛乳を使うとより美味しく仕上がりますよ。
美味しい使い方と保存方法
ベシャメルソースはグラタン、シチュー、クリームコロッケなどクリーミーで白い色をしたほとんどの料理のベースになります。
こんな風にアレンジ
ベシャメルソースはブイヨンやコンソメで風味を変えたり、調味料で味の変化が楽しめるほか、水で薄めればシチューになり、長めに煮つめればパスタソース、さらに煮つめてクリームコロッケにと、その水分量で用途が変化します。
グラタンやラザニア、ドリア、リゾット、ピザなど上にかけて使う料理は、タレないよう少し硬めに調整し、チーズフォンデュやオムレツなど、他の食材に溶け込ませる場合はゆるめにすると良いでしょう。
使ったあとは
冷めるとバターが凝固しやすいという理由から、使うたびに熱々のソースを作るのが理想的ですが、もちろん作り置きも可能です。
市販の缶詰同様、一般的には冷蔵庫で3-4日とされています。
使い切れないほどある場合は、レトルトパウチに入れて冷凍すると長持ちです。冷凍した時に手で折れるくらい平らにならして空気を抜いておくと、冷凍と解凍がスムーズになり、使いやすいですよ。
ベシャメルソースは簡単便利で使いやすいソースです。これまで名前すら聞いたことがなかったという人も、これを機に既製品から手作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
牛乳がふんわり香るクリーミーな食感をぜひ体験してみてくださいね。