2017年3月31日更新

九州の醤油はなぜ甘い?刺身醤油のように甘い九州に醤油について

関東の醤油がしょっぱいのなら九州の醤油は甘い!とよくいわれますよね。スーパーに行くと醤油のコーナーに「刺身醤油」という醤油を目にしますが、この醤油も淡白なお刺身の味が引き立つように甘口につくられている醤油です。九州の醤油は、もともとがこの刺身醤油のように甘いんです。今回は九州の醤油がなぜ甘いのかその理由を調べてみました。

  1. 目次
  2. 九州の醤油とは
  3. 九州の醤油が甘い理由
  4. 九州醤油の甘さの作り方
  5. 九州の醤油は甘い醤油

九州の醤油とは

調味料の一つである醤油は、日本農林規格(JAS規格)で5種類に分類されていますが、九州はその中で主に、濃口醤油、薄口醤油、再仕込み醤油を生産しています。この3種類の中で、薄口醤油はその特徴である色の淡さを出すためしょっぱいといわれるものがほとんどです。そのほかの醤油も甘く作られていないものもあります。しかし九州で生産されている醤油はほとんどが甘口の醤油です。日本農林規格の規定に基づき、九州の醤油は、濃口醤油や再仕込み醤油に甘さ(砂糖類や甘味料)を加えて甘口の醤油がほとんどです。

刺身醤油とは

よくスーパーやお寿司屋さんで見かける刺身醤油というのは醤油の種類ではなく、各メーカーの商品名称のことをさしていて、九州に限らず刺身醤油は生産されています。本来お刺身用に醤油にだしや甘みを加えてつくられており、刺身に醤油がねばりついて、刺身の旨みを引き出し、よりおいしく鮮魚を味わえる調味料として使われます。

九州の刺身醤油は甘い

ねばつきをだすために、ベースとなる醤油(濃口醤油や再仕込み醤油)に糖分(砂糖類や甘味料)を増やして、どの刺身醤油も甘口の醤油になっています。九州の刺身醤油は、そもそもベースとなる醤油が甘いため、各々のメーカーが生産する刺身醤油はかなり甘く、コクと甘みととろみが強いです。たとえば焼餅に砂糖を加えた甘いお醤油によくたとえられます。

九州の醤油が甘い理由

九州の醤油は、各地方の刺身醤油のようにまったりと甘くて濃厚なのが特徴です。その九州の醤油!なぜそんなに甘いのかという理由にはいろいろな説があります。

砂糖が手に入りやすい地方だった

歴史をさかのぼってみるとポルトガルとの貿易が盛んであった九州(長崎)は、砂糖がたくさん密輸され砂糖が豊富であったこと、そして土地柄、もともとさとうきびがよく採れる地域であったために、醤油をつくる過程で砂糖をたくさん使い醤油が甘くつくられたという説があります。

気温の関係

九州は気温が高いので、暑さから住人の体の消費カロリーが高く、そのカロリー補給のために九州の人は甘いものをより好んで摂取し、それで食事の味付けが甘くなり、調味料である醤油も甘口になったと言われています。気温の関係から見ると、九州の醤油は南にいけばいくほど甘くなると言われています。

海に囲まれた土地柄

海に囲まれた九州は、新鮮な魚類には恵まれた地域です。そのため漁師さんが海で魚を調理する時に、醤油という1つの調味料だけで淡白な魚がおいしく調理できるようにと醤油が甘く作られたと言われる説と同時に、醤油に加える糖分が海の上での労働のエネルギーになるため、醤油が甘くなったと言われています。

九州人は辛口の焼酎が好き

九州の人は焼酎を好んで飲みます。だから焼酎の蔵もほかの地域に比べて多い地域です。とくに辛口の焼酎は九州の人には人気です。日本酒は糖分が含まれているので、つまみの食べ物には塩分の強い塩辛やもろキュウ、焼き魚も塩のきいた魚が好まれますが、焼酎の成分にはほとんど糖分が入っていないので、焼酎を好んで飲む時のつまみの料理の味は甘口のものが好まれ、煮魚も甘めのものが多く、それでその味付けの調味料の醤油も甘くなったという説があります。

九州醤油の甘さの作り方

九州の醤油は、日本農林規格(JAS規格)に基づいて砂糖類や甘味料がほかの地域より多く添加されています。生醤油に火を入れて瓶に詰めた本醸造タイプ、途中でアミノ酸液を加えた混合や混合醸造タイプの醤油に甘味料を加えています。

甘さの成分

砂糖類…砂糖、ブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖、水あめ、麦芽糖など
甘味料…カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸、サッカリン、ステビア抽出物など。

九州の醤油は甘い醤油

九州の醤油が甘いわけは、熱い気候条件によって体内に糖分を摂取しエネルギーに変えるためや、砂糖の貿易が盛んに行われたこと、それから辛口の焼酎に合うといった理由もありましたが、まわりが海に囲まれた地域柄、海で働く漁師さんが海の上で体力温存のための糖質補給という理由や、醤油1本で魚をおいしく調味するのに都合よくつくられた調味料だという説も納得いく説ですね。

確かに淡白なお刺身には甘くコクのきいた醤油は合いますね。九州の刺身醤油でお刺身を味わうと、まったりと刺身にからみつくその甘い醤油の旨さに、九州の刺身醤油の虜になるようですよ。甘みのきいた九州のお醤油で煮魚もおいしくできあがり!この機会に九州の醤油、ぜひ調味料に加えてみてください。