2017年10月13日更新

防カビ剤イマザリルとは。毒性や使用基準

バナナ

イマザリルとは、バナナや柑橘類に添加される防カビ剤のことを言います。使用基準も設定されており、毒性も強いとされる物質ですが、私たち消費者はそのような添加物が使用されている商品を選ぶ際に、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

  1. 目次
  2. 防カビ剤イマザリルとは
  3. イマザリルの毒性
  4. 使用されている食品と使用基準
  5. イマザリルの有効性

防カビ剤イマザリルとは

イマザリルとは、化学名をエニルコナゾールと言い、ベルギーに本社を置く製薬会社である、ヤンセンファーマ株式会社の商品名として一般に浸透しています。

イマザリルは、殺菌や殺カビの効果があるため、食品添加物としては防カビ剤の用途で使用されています。 日本では、1992年11月6日に食品添加物に指定されていますが、毒性がある物質であるため、従前には農薬としての使用もはばかられていた経緯があります。
イマザリルは、ジクロルベンゼン誘導体とイミダゾールを反応させて生成することができ、水に比較的溶けやすいと言われています。

イマザリルの毒性

イマザリルには、急性毒性があり、その致死量はわずか20gとされています。また、イマザリルに含まれる不純物によって、肝臓がんや甲状腺腫瘍になる危険性があるようです。

摂取による中毒症状として、吐き気をもよおしたり、眼に入ると発赤や痛みが生じることがあります。動物実験によれば、発がん性は今のところ認められていないようですが、ヒトに対する安全性に関する有効なデータはあまりないのが実情のようです。ポストハーベストとの呼び名のあるイマザリルだけに、直接経口摂取することにはかなりリスキーであると記憶しておいた方が良いでしょう。

使用されている食品と使用基準

イマザリルを食品添加物として使用した場合、店頭で販売する際にはバラ売りであっても、値札や陳列棚などに必ずその旨を分かりやすく表示するように、食品表示法によって定められています。

通常、商品をバラ売りする時にはそのような表示義務はないにもかかわらず、あえて注意を喚起する点がイマザリルの毒性や危険性を暗に示唆しているようにも思われます。

そんなイマザリルには、食品衛生法により使用基準が設定されており、使用が可能とされているのはみかんを除く柑橘類とバナナのみとされています。また、使用量はみかんを除く柑橘類が5ppm以下、バナナが2ppm以下と厳しく制限されています。

ちなみに、イマザリルは果物に散布する農薬としても使用が認められていますが、その残留農薬量もそれぞれ制限が設けられています。ただ、海外から輸入された果物や野菜などには、時にイマザリルなどの防カビ剤が残っていることも割とあるようです。基本的に、イマザリルを除去することは困難であるため、使用が明らかである場合にはそれを選ばないことが望ましいです。

イマザリルの有効性

フルジオキソニルという合成防カビ剤について調べていたら効果試験で対象薬剤としてイマザリルが使用されていたので追記します。

かんきつ類の緑かび病に対する効果

例えば以下のような試験結果が出ています。(試験結果から抜粋して掲載しています。)

作物 処理方法 防カビ剤の種類 結果(病害発生率)
ユーレカレモン 水・ワックス混合液に漬ける 何もしなかった 40%
イマザリル 1%
フルジオキソニル 4%
バレンシアオレンジ 漬ける 何もしなかった 31%
イマザリル 0%
フルジオキソニル 7%
バレンシアオレンジ 漬ける 何もしなかった 90%
イマザリル 0%
フルジオキソニル 8%

これらは緑かび病に対する効果の抜粋ですがイマザリルを使用すると効果的だということがわかります。防カビ剤は使用しないにこしたことはないのでしょうが、食料自給率の低い日本では輸入品に頼らざるを得ないのが実情です。

レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの輸入はコンテナ船などの船で運ばれます。収穫直後に出荷されたとしても約2週間は海の上ということになります。何もしなければカビが生えるのは当然だといえます。

【参考資料】厚生労働省─フルジオキソニルの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/07/dl/s0701-5d.pdf