2017年2月17日更新
藻塩とは ~味・成分・使い方~
藻塩をご存知でしょうか。
スーパーでも塩のコーナーに並んでいることがあるので、よく知っている人もいるかもしれませんね。また、名前は見かけたことがあっても、どんなものかはよく知らないとか、そういう商品名の塩だと思っていたという人もいるでしょう。
実はこの藻塩、古墳時代から作られ、親しまれていた塩なのですが、その製法等は残っていませんでした。
しかし、1984年に広島で見つかった製塩土器からその存在が明らかになり、藻塩は1000年の時を経て現代に蘇ったのです。
藻塩とは
藻塩の読み方は、「もしお」。
かつて玉藻と呼ばれたホンダワラなどの海藻から作られるため、藻塩という名がついたようです。
藻塩復活の道のり
藻塩は古く、古墳時代から作られていたようですが、製法や痕跡が残されていなかったため、最近までその存在はまったく知られていませんでした。
しかし、1984年に広島で発見された土器が製塩土器であることがわかり、そこから製塩法が研究され始めたのです。
とはいえ、その製塩法は歴史家にもわからず、古文書を含めたどこにも残されていなかったため、研究は難航しました、
しかし、万葉集にある、海や塩に関する歌のいくつかに”藻塩”という言葉が登場することがわかり、”朝凪に玉藻かりつつ夕凪に藻塩焼きつつ”という歌から玉藻、つまりホンダワラに行き着くことができたのです。
藻塩の作り方は?
藻塩を作るには、海水とホンダワラを煮詰めていくのですが、海水はまずろ過し、不純物などを取り除いたのちに濃縮。そこに乾燥させたホンダワラを浸すというのを何度か繰り返し、海藻の成分をじゅうぶん抽出したかん水を作ります。
そのかん水を、アクを取りながら6~8時間煮詰めていくと塩の結晶のできあがり。
その結晶を遠心分離機にかけ、余計な水分等を飛ばしていくのですが、このとき、にがり等の成分はすべて飛ばしてしまわず、あるていど残るようにします。
その後焼釜に移し、焦げないように気をつけながら、さらさらになるまでじっくりを時間をかけて焼いていけば藻塩の完成です。
藻塩と塩の違いとは
藻塩も塩の一種ですが、だいたいの塩は海水から作られますよね。
ですが、藻塩は海水と海藻から作られるため、海のミネラル分のほか、海藻の栄養分がたっぷり入っているのです。
そのため、色も真っ白ではなく、淡いベージュをしています。
藻塩ってどんな味?
海水のしょっぱさだけではなく、海藻の旨みやまろやかさがあるのが藻塩の特徴。
とがった辛さはまるでなく、とてもやわらかい口当たりです。
藻塩の栄養成分とカロリーとは
藻塩には、海水のミネラルと海藻の栄養分がたっぷり含まれています。
特に多いのが、ナトリウムとヨード分。
そのほか、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛などが含まれます。
藻塩のカロリーはどれくらい?
藻塩のカロリーは、100gあたり0kcalです。
藻塩の基本的な使い方
藻塩は塩の一種ですから、料理など、これまで使ってきた塩をそのまま藻塩に置き換えるだけでかまいません。同じメニューでも、旨みやコクがグッと増し、本格的な味が楽しめますよ。
それ以外にも、いろいろな使い方ができます。
炊きあがったご飯に混ぜて寿司飯作り
通常、寿司飯を作るときはだし昆布を入れてからお米を炊きますよね。
ですが、藻塩の中に海藻の成分や旨みが入っているので、普通に炊いたご飯から寿司飯を作っても大丈夫。じゅうぶんおいしい寿司飯が出来上がります。
梅干をつけるときにも藻塩を
梅干を漬けるときに藻塩を使えば、味に深みが増し、コクが出ます。
化粧塩に藻塩!
化粧塩とは、出来上がった料理に軽く振る塩のこと。焼き鳥や焼き肉などではおなじみですよね。
この化粧塩に藻塩を使えば、味付けはそれだけで十分。素材を引き立て、一段上の味が楽しめます。
うま味調味料として藻塩を
一般的にうま味調味料とは化学調味料のことで、身体によくありません。
ですが、藻塩は言うまでもなく天然の塩。
それでいて深い味わいやコクを備えているのですから、どんな料理に加えてもきっとより美味しく仕上げてくれるでしょう。
藻塩は食用以外にも大活躍!
藻塩には、ミネラルと海藻の成分がたっぷり入っています。
ですから、トリートメントとして髪になじませ、洗い流せばハリとツヤ、潤いが出ますし、バスソルトとして浴槽に入れれば身体の芯から温まります。入浴に使う場合は、とくに半身浴がおすすめですよ。
また、腕やお腹、背中、足などに藻塩をすり込むようにしてマッサージすれば疲れが取れるし、老廃物の除去にも効果的です。
藻塩を食べて、健康な身体を維持しよう!
日本人が藻塩を食べていた頃は平均寿命が100歳をこえており、身長ももっと高かった……という説があります。詳しく調べてみると、古事記や日本書紀の神武天皇~仁徳天皇あたりまでは、天皇はみな身長が2メートルで、寿命も100歳をこえていたようです。
この説の真偽はともかく、藻塩が普通の塩と比べて栄養豊富で、ミネラル分と海藻の成分が摂取でき、健康にいいのは確かですよね。
作られるのに手間暇がかかるぶん、少々高価ではありますが、同様の健康効果を得るためになんらかの手段を用いることを考えると、決して割高ではありません。なにより、毎日使う塩を藻塩に置き換えるだけでいいのですから、健康法としてはとても手軽なのではないでしょうか。
あなたもぜひ、生活に藻塩を取り入れてみませんか。