2017年1月17日更新

古くから伝わる浄化のハーブ、ヒソップの効能と使い方

ヒソップ

ヒソップというハーブは、日本ではあまり馴染がありませんが、ヨーロッパでは古くから薬草として利用されてきました。その名前が聖書にでてくる「聖なる薬草」のひとつであることから、現在でも浄化の象徴として、ハーブティやアロマセラピーなど心身に働きかける民間療法が広く浸透しています。今回は、そんな浄化のハーブ、ヒソップについて詳しくご紹介します。

  1. 目次
  2. ヒソップとは?その由来と歴史
  3. ヒソップの効能
  4. ヒソップの使い方
  5. ヒソップの使用に関して気をつけたいこと
  6. ヒソップの浄化パワーを賢く活用しましょう

ヒソップとは?その由来と歴史

紫色のヒソップの花

ヒソップとはどんな植物か

ヒソップは南ヨーロッパ原産のシソ科ヤナギハッカ属の植物で、多年草ですが年を経ると半樹木となります。60cmほどの高さまで株状に成長し、初夏に綺麗な青紫やピンクの小さな花を穂のように咲かせます。日本へは明治の終わり頃に渡来し、葉が柳のように細く長く、ハッカのような清涼感があるため「ヤナギハッカ(柳薄荷)」の名がつけられました。

ヒソップの名の由来

ヒソップの名は、ギリシャ語とヘブライ語の「聖なる薬草」という言葉に由来し、聖書にも浄化のシンボルとして「ヒソプ」の名が多く登場しており、この植物は古くから神聖なる儀式や教会のお清めに用いられ、修道院の庭に植えられ、宗教画にも描かれていたことが記録されています。

現在私達がヒソップと呼んでいるハーブは、その当時の「ヒソプ」とは別種の植物であることが解明されていますが、植物学区分が同一でなくとも、この「ヒソプ」の名と「聖なる薬草」としての浄化の象徴を継承していることは確かです。

浄化の象徴としてのヒソップ

聖書に現れる「ヒソプ」は、罪深き者の穢れを拭い去り、魂を浄化するために、罪人や病人を清めました。またイエスの最後の時、そして埋葬の際に登場することで、まさにイエスが請け負った我々の罪を清めてくれる、そんな浄化の象徴として、ヒソップは人々の心に刻まれています。

中世以降のヒソップ

ヒソップは中世にはヨーロッパに広く伝わり、医療用の薬草として、観賞用の園芸植物として利用されるようになりました。15世紀から17世紀にかけてのイギリス・チューダー/エリザベス朝の時代には、ヒソップが大きく茂みのように育つことから、ハーブガーデンの生垣として、また迷路庭園の垣根として使われたそうです。

中世以降も何世紀にもわたり、病室の床に撒いて伝染病の感染を防いだり、らい病患者の治療、咳やカタルの緩和として利用されたという記録があります。また、「畑仕事で怪我をしたら、切り傷に塗って破傷風を予防する」という古いイギリスの民間療法の言い伝えがあります。

16世紀ごろにはフランスの修道院で作られる霊薬や万能薬としての薬草酒にヒソップが使われ、これらは現在も残るベネディクティンやシャルトリューズといったリキュールの原型となりました。また禁断のお酒と言われたアブサンの風味付けにも、ヒソップは使われていたそうです。

ヒソップの効能

ヒソップの効能

呼吸器系へのはたらき

ヒソップの抗菌・抗炎症作用は、特に呼吸器系へ働きかけてくれます。気管支炎・咽喉炎を抑え、咳を鎮め、痰を出しやすくし、喉の痛みや、しわがれ声にも効果があります。

風邪のひきはじめの諸症状に

強い殺菌効果がウィルス性の風邪に働きかけ、咳や鼻づまりなどを鎮め、発汗作用により発熱にも効果がありますので、風邪のひきはじめにはヒソップのハーブティが良い、と言われます。

リウマチや関節の痛みに

ヨーロッパでは、「ヒソップのハーブティーやハーブ風呂を継続すると、リウマチや打撲の痣が和らぐ」、という民間療法が古くからありますが、実際にヒソップには、リウマチによる痛みやこわばりを緩和し、尿酸を減らす効果があると伝えられています。

筋肉痛や打ち身、傷の回復に

ヒソップには筋肉の緊張を和らげる作用があり、筋肉痛や打撲、打ち身などに外用で使われます。打撲の痣や、切り傷などの回復を早めるとも言われています。また、ローションにして虫刺されや、眼や耳の感染の消毒にも使われます。

女性のサイクルを整え、月経痛を緩和する
ヒソップには骨盤周りの血行を促進する働きがあり、女性の月経のサイクルを整え、つらい月経痛などの症状を緩和してくれます。このため妊婦の方の使用は禁忌となります。

こころへのはたらき

ヒソップは浄化のハーブとして、私達のこころへも働きかけます。落ち込んだり、悲観的になったり、精神的にネガティブになっている時に、アロマやハーブティなどで精油成分を取り入れると、元気を取り戻し、前向きな気持ちへと導いてくれます。

ヒソップの使い方

ヒソップのハーブティ

まずは手軽にハーブティで、ヒソップの効果を試してみましょう。ハーブ専門店や、ネットなどで、ヒソップのシングルハーブティ、または他のハーブとのブレンドハーブティが購入できます。入れ方はカップに小さじ1のドライヒソップを入れ、熱湯を注ぎ蓋をして7分ほど蒸らします。さっぱりと爽やかな味わいですので、はちみつなどを入れると更に美味しくいただけます。風邪のひきはじめや、気分が落ち込んでいるときなどに、ぜひどうぞ。

ヒソップのハーブバス

ヒソップの殺菌作用と浄化パワーを活かして、ドライヒソップをサシエにしてお風呂に入れてみましょう。こころも身体もスッキリと元気に、筋疲労にも効果があります。1回の入浴でドライハーブ10~20グラムが適量ですが、お好みで加減してください。ヒソップの精油は比較的刺激が強いため、ハーブバスに使うときはそのまま入れずに、キャリアオイルなどで希釈してから使用しましょう。

ヒソップの精油でお部屋を浄化

昔はヒソップを床に撒いて、その上を踏みながら歩いて精油成分を室内に充満させることで、部屋を浄化していました。現在は手軽にヒソップの精油をディフューザーに入れて、その成分を部屋中にたち籠らせることができます。咽喉の調子が悪いときや、風邪気味のとき、または元気の出ないときなどにお勧めです。

ヒソップの精油でマッサージ

ヒソップの精油をキャリアオイルに混ぜて希釈し、アロマセラピー効果のあるオイルマッサージはいかがでしょう?筋肉の緊張を緩める作用、炎症を鎮める作用、月経サイクルを整える作用、心を前向きにする作用、などなど、ヒソップの持つ効果を活かして癒しのひとときを味わってみましょう。

観賞用としてガーデニングにも

ヒソップは大きく株状に育つので、花壇などへ地植えをするか、または大きめの鉢やプランターが必要になりますが、寒さ暑さに強く育てやすい植物です。多年草ですので、毎年きれいな花を咲かせますし、フレッシュハーブの収穫もできます。場所に余裕があれば、ぜひ栽培にチャレンジしてみたいですね。

ヒソップの使用に関して気をつけたいこと

副作用

ヒソップは効果の高いハーブですので、その反面副作用の起こる可能性もあります。特に精油など成分濃度の高いものを使用するときは、少量を注意して使用するようにしましょう。ヒソップ精油の内服や外用での使用は、筋肉の収れんを促し、てんかん発作を引き起こす、という報告もあります。また、ディフューザーなどで、ほんの少量の精油使用であっても、特に幼児にとっては、けいれんやひきつけをもたらす危険があるとも指摘されています。

禁忌

妊娠中の方、高血圧の方、幼児、てんかんの方は使用を避けましょう

ヒソップの浄化パワーを賢く活用しましょう

古くから浄化のハーブとして親しまれていたヒソップは、現在の私達にとっても活用できる効能がたくさんありますね。医療的な観点からも、スピリチュアルな観点からも、興味深い背景があり、ぜひこれからの生活にもとりいれて賢く使っていきたいハーブのひとつです。