2019年9月22日更新

栗は果物?木の実どっち?意外と知らない栗の分類

栗

ご飯物やスイーツまで栗が持つ甘さを生かした使用例は非常にたくさんありますが、そもそも栗は果物なのか木の実なのか区別がつかないという方も多いのではないでしょうか。栗の見た目は茶色っぽく、パッと見ただけでは木の実ですが、実際はどうなのでしょうか。栗の分類について調べてみました。

  1. 目次
  2. 秋の味覚、栗は果物か木の実どっち?
  3. 栗に関係する3つの定義とは
  4. 栗はどの部分を食べるのか
  5. 簡単には収まらない栗の定義には深い理由があった

秋の味覚、栗は果物か木の実どっち?

栗と言えば甘みの強さが特徴ですが、栗の定義は果物なのか木の実なのか曖昧だという方がほとんどではないでしょうか。栗きんとんやモンブランなどのお菓子はその甘さから果物だと思わせるほどですが、スーパーに行くと野菜コーナーに陳列されていることも多い栗ははっきりとした定義がない食品です。

栗が果物なのか木の実なのかは理由によって異なる

結論から言うと、栗は果物、木の実、更には野菜の部類どれもに当てはまる少々不思議な食べ物でもあります。栗が「野菜」、「果物」、「木の実」とそれぞれに意見が異なるのはこの理由によるためです。

栗の基礎知識

栗はブナ科クリ属の冬になると葉が落ちる木である落葉樹に成る食べ物です。栗の歴史は非常に古く、縄文時代の遺跡から見つかるほど遥か昔から存在しており、京都の丹波地方で平安時代に栽培が行われるようになりました。

手をさほど加えずとも、栗のもともと持つ甘さと美味しさが好評され国内で栽培された栗は瞬く間に日本中に浸透し、現代まで様々な形に変えて愛されてきました。

追記:ブナ科の果実の総称はドングリと言うそうです。ということは栗はドングリとも言えます。

栗に関係する3つの定義とは

栗が果物なのか木の実なのか、はたまた野菜なのかを知る上で重要なカギになるのはそれぞれの定義です。3つの定義を知ることによって、栗がどの分類に当てはまるのかが明るみになってきますから、ここでは栗に関係する定義をご紹介します。

果物

魅力とも言える栗の甘さは果物に匹敵するほどですが、そもそも果物の定義とは「何も手を加えなくても甘さがあり、且つそのままでも食べることのできる植物」です。

加えて言うと果物の定義は広く、ここに「樹木に成るもの」が追加されます。この点では栗は樹木に成りますが、煮たり熱を加えないと食べられないですよね。見た目はほぼ木の実と言っても良いフォルムをしていますが、定義としては半分果物に当てはめることのできる食べ物です。

木の実

続いて栗を木の実だと思っている方も多い栗に関する木の実の定義ですが、木の実とは「種実類(しゅじつるい)」と呼ぶ食品分類上のものを指します。種実類と呼ぶ食品は固い殻や皮に覆われた果実、種子の総称であり、アーモンドやピーナッツ、カシューナッツなどのナッツ類と呼ばれるものもこの種実類に分類されます。

果物と木の実は全く異なるようで実はその定義ははっきりと定められておらず、木の実は果物の一部だと考えられているようです。栗もトゲトゲとした固い殻に覆われているため、部分的に見れば木の実に該当すると言っても良いでしょう。

野菜

スーパーで栗は野菜コーナーにも置いてあり、秋を代表とする野菜だと思っている方も多いでしょう。そんな野菜の定義とは、「地面に成る植物」です。しかし、栗は木に成る食べ物。野菜コーナーに置かれていますが、野菜の定義には当てはまりません。

ではなぜ野菜コーナーに栗が陳列されているのかというと、スーパーなどの店舗では「何も調理しなくても甘みがありそのまま食べられる植物」の定義に乗っ取り、商品の配置を決めているからです。

野菜と定義されるイチゴやメロンも地面に成るため野菜の分類になりますが、スーパーでは果物コーナーに配置されていますよね。それは果物の定義である「何も調理しなくても甘みがありそのまま食べられる」定義によって果物コーナーに配置されており、栗も本来であれば果物に分類されますが、調理しないと食べることができないため、果物コーナーではなく野菜コーナーに配置されているのです。

※栗は果物や木の実、野菜などどれにもなり得る食べ物なのですが、農林水産省の資料では「果物」に分類されています。落葉樹に成る果実ですから、正式な分類では果物になるということです。

栗を果物や木の実か野菜かを定義する場合、生物学上である「樹木にできるもの」や「何も調理せずとも甘みがありそのまま食べられる植物」、そして「硬い殻に覆われている」の3点によって当てはまるものもあれば当てはまらないものもあるため、栗の分類は何なのか曖昧になっているのです。

栗はどの部分を食べるのか

定義から見た栗の分類は非常にややこしいですが、普段食べている栗の部分もややこしいと言えます。指に刺さりそうなほど鋭利なトゲトゲを持っている栗ですが、実は可食部としているのは種子の部分なのです。

栗は外側から順番に皮、果実、種子となっており、最も外側に当たるトゲトゲの部分は皮で硬い皮の部分が果実、そして食べ慣れた黄色い実が種子となる栗になっています。多くの方がトゲトゲの後に出現する硬い皮までが皮だと感じていますが、栗は皮→果実→種子の順番で構成されています。

簡単には収まらない栗の定義には深い理由があった

栗を購入する際、スーパーなどで野菜コーナーに陳列されていることもあり、栗は果物なのか木の実なのか野菜なのか分からないという方が多かったことでしょう。非常に複雑な話ですが、栗は果物であり、野菜でもあります。どちらでも間違いということはないので秋にはたっぷりの栗を色んな姿にして楽しんでみてくださいね。