2021年4月7日更新

乾燥ナマコはなぜ高い?食べ方と戻し方も知っておこう

乾燥ナマコ

食に敏感な方は乾燥ナマコのおいしさをご存じのことでしょう。見た目はインパクト大なナマコを更に乾燥させて作っていますが、値段がなぜ高いと感じる方もいますよね。ナマコという時点で味や合う料理、そして食べ方や戻し方も困惑しやすいため、作り方や効能なども交えて乾燥ナマコについてまとめてみました。

  1. 目次
  2. 中華料理の高級食材!乾燥ナマコとは
  3. 乾燥ナマコはなぜ高い?相場の値段は?
  4. 乾燥ナマコの味
  5. 人気が集まる乾燥ナマコの効能は?
  6. 乾燥ナマコの戻し方
  7. 乾燥ナマコのおいしい食べ方
  8. 乾燥ナマコの作り方
  9. 乾燥ナマコで本格料理を作ってみよう

中華料理の高級食材!乾燥ナマコとは

ナマコは北海道から沖縄まで広く生息しており、赤ナマコ、青ナマコ、イシコなどを合わせると日本で200種類程度存在しています。全身がイボイボとしており、日本では変わった食材というイメージが根強いですが、そんなナマコを乾燥させた「乾燥ナマコ」は、中華料理では高級食材として扱われています。天日干しにしてナマコの水分を抜いた乾燥ナマコは、中国で四大海味(海の珍味を意味する)と呼ばれており、アワビ、フカヒレ、魚の浮き袋と並ぶ高級珍味です。

中国では乾燥ナマコが主流

日本でもナマコは食べられていますが、基本的に生で食べるのが一般的です。しかし、中国では乾燥ナマコを戻して食べるのが一般的とされています。

また、中国ではナマコが高麗人参と同様の薬用効果があることから、「海參(ハイシャン)」という海の高麗人参という意味を持つ呼び名が付けられたとされています。

余談ですが中国では海の高麗人参なのに英語では海のキュウリ(=Sea cucumber)です。

体にとって有益なものと認識されていたナマコは、江戸時代に俵物三品の一つとして中国へ輸出されていました。他二つはフカヒレと干しアワビであり、これらは宮廷料理に使われる代表的な食材として知られています。

しかし、乾燥ナマコはフカヒレや干しアワビより安価なものもあるため、近年では乾燥ナマコの方に人気が高まっているようです。

乾燥ナマコはなぜ高い?相場の値段は?

乾燥ナマコがなぜ高いのかという理由を挙げるとすれば、ナマコの需要が増加していることと、量が減少していることにあります。

中国では干した海産物はそれだけで価値のあるものになりますが、ナマコには様々な栄養があることも需要に結びつく理由の一つでしょう。

現代の中国人は健康的な食事を摂るという考えにシフトしたため、栄養がたっぷりと詰まった乾燥ナマコに注目しています。経済発展とともに、庶民の所得も増えていけばそれだけ値段の高い乾燥ナマコも入手しやすくなります。したがって、需要と供給が釣り合っていないため、乾燥ナマコは値段が高く設定されています。

簡単にいうと今まで食べていなかった人たちが食べるようになったということです。マグロなんかと同じです。

実際に、10年の間ではナマコの流通単価が5倍以上になっており、更にナマコの中では絶滅危惧種に指定された種類もいます。マナマコやトゲクリイロナマコ、チリメンナマコ、イシナマコ、ハネジナマコ、バイカナマコなどが絶滅危惧種に指定されたナマコたちです。

供給が追い付かない現状では、ナマコの養殖も進められているようですが、まだまだ完全確立とは言えない状態です。完全養殖できれば需要と供給のバランスを整えることができますが、現在では技術進歩の発展に期待する他ありません。

中国で最も珍重されている北海道産の乾燥ナマコは、他の地域で育ったナマコよりも成長が遅いと言われています。豊富なエサを食べてゆっくりと成長していくわけですから、こういった点も乾燥ナマコが高くなる理由の一つと言えるでしょう。

また、中国で高級食材と言われる食材にはトラブルになっているものも多く、フカヒレは白くするために水銀が使われていること、干しアワビはコレステロールが高いこと、ツバメの巣は環境破壊に繋がることなどがより一層乾燥ナマコにスポットを当てる理由です。

乾燥ナマコの相場(値段)

中国で乾燥ナマコ1kgに付けられる値段は40~50万円です。青森産のものでも35~40万円の値が付くまさに超高級品です。

ちなみに中国ではナマコのトゲがあるものとないもので区別しています。トゲがあるものは「刺參」と呼ばれ、高級品として扱われています。質の高い宴会料理などで振る舞われ、中でも日本産の「マナマコ」は最も人気が集中しています。

一方、トゲのないものは「光參」と呼ばれ、値段が手頃なことから気軽に食べられるナマコとして人気です。

乾燥ナマコの味

日本でもナマコは酢の物などの料理に変えられて楽しまれていますが、乾燥ナマコも同じようにあまり味はしません。その代わり、とろみスープなどの料理と良く絡みます。日本で食べるナマコと同じように、乾燥ナマコもプリプリとした歯ごたえを楽しむという方が多いでしょう。

人気が集まる乾燥ナマコの効能は?

ナマコに含まれる栄養は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ビタミンB12に続き、コラーゲンやアミノ酸、コンドロイチン、サポニン、ヨウ素などの成分が豊富に詰まっています。サプリメントなどに含まれる成分でよく見聞きするものもありますが、それだけナマコは様々な効能が期待できます。

アミノ酸(脂肪分解・疲労回復・免疫力アップなど)

ナマコに含まれるアミノ酸は、脂肪を分解する働きのあるリパーゼと呼ばれる酵素を活性化させます。更に、疲労回復や免疫力を上げ、ビタミンやホルモンを作る材料になり、タンパク質の合成にも使われる重要な成分です。

コラーゲン(美肌・造血作用・骨の強化・血管をしなやかにするなど)

肌に良いとよく見聞きするコラーゲンは、肌の新陳代謝を高めてハリのある肌にしてくれます。保湿効果もあるため、角質に潤いを溜めて水分量の多い美肌へと導いてくれます。また、造血作用や骨の強化、血管をしなやかにする働きもあるため、ナマコは体の内側から肌を綺麗にしてくれます。ちなみにナマコの表面に付いているブヨブヨとしたものはコラーゲンと多糖類によって包まれているためです。

カルシウム(歯・骨の材料になる)

重要な栄養成分として誰もが知っているカルシウムもナマコに含まれる栄養です。ナマコには人の目で確認できないほどの小さな骨が備わっており、ナマコをそのまま食べることで骨も一緒に摂取することができます。歯や骨の材料になるカルシウムは不足している方も多いため、積極的に摂りたい成分です。

ビタミンB群(肥満・糖尿病・成人病などの予防)

ナマコに含まれるビタミンB群は、糖質の分解を助ける働きがあります。肥満症や糖尿病、成人病などの予防になり、元気な皮膚や髪を作るための材料としても役立ちます。

マグネシウム(ストレスの緩和・カルシウムの吸収を助ける)

ナマコに含まれるマグネシウムは、ストレスの緩和に役立ったり、骨の形成を行う成分です。また、カルシウムの吸収を助ける働きもあるため、カルシウムとマグネシウムが一緒に摂れるナマコは嬉しい食材です。

コンドロイチン(心筋梗塞・動脈硬化・狭心症などの予防)

サプリメントに含まれている成分でもお馴染み、コンドロイチンは、血液が凝固しないようにする作用があり、心筋梗塞や動脈硬化、狭心症などの予防に役立ちます。また、コンドロイチンは炎症を抑制する働きもあり、関節炎や皮膚炎などの改善に効果があるとして、期待されています。

サポニン(抗酸化作用)

ナマコは高麗人参と同様にサポニンが含まれており、抗酸化作用を発揮します。体内の脂肪が酸化するのを防ぎ、悪玉コレステロール値の減少に役立ちます。その結果、心筋梗塞や動脈硬化などの予防が期待されています。コンドロイチンと合わせて心筋梗塞や動脈硬化の予防に役立てられるのは嬉しいポイントです。

ヨウ素(基礎代謝を高める)

甲状腺ホルモンの構成成分であるヨウ素は、十分に摂取すると甲状腺ホルモンをしっかりと分泌できる成分です。十分に甲状腺ホルモンが分泌されると、体重の増加を抑えたり、疲労回復に役立ちます。

乾燥ナマコの戻し方

非常に豊富な栄養が詰まっているナマコですが、乾燥ナマコはどういった方法で戻せば良いのでしょうか。高級食材ゆえに絶対に失敗できませんよね。

【材料】
・乾燥ナマコ 50g
・水 大量

【手順】

  1. ボウルに乾燥ナマコとボウル目一杯の熱湯を入れ、蓋をしてバスタオルで覆います。
  2. 8時間程度置くとお湯が冷めてくるため、濁った水を捨てて再度ボウルに目一杯の熱湯を入れて放置します。この工程を3~4日程度繰り返します。
  3. 日にちが経った乾燥ナマコはボウルから溢れそうなほど伸びて広がります。ナマコを手で握って柔らかくなったらボウルから引き上げます。
  4. 柔らかくなったナマコは腹の部分を割いて抉りやすいスプーンなどで内臓、砂、ゴミなどを腹膜ごと剥がしていきます。(内臓部分に見える白い筋のようなものばこのわだと呼ばれる珍味です。酢の物や和え物などに活用できるため、後ほど食べる場合は取っておきましょう。)
  5. あとは小分けにして冷凍保存すれば半年程度は料理に活用できます。

※乾燥ナマコはデリケートな食材です。雑菌や油分が付かないように清潔な容器と手で戻していきましょう。

詳しい戻し方はこちら(クックパッド)

さすがにつくれぽ0件です(笑)

乾燥ナマコのおいしい食べ方

ナマコの食べ方でイメージしやすいのは酢の物や和え物ですよね。もちろんその食べ方もおいしいですが、乾燥ナマコは他にも様々なおいしい食べ方ができますよ。

乾燥ナマコのピリ辛佃煮

見た目はまるできゅうりのようにも見える乾燥ナマコのピリ辛佃煮は、おかずとしてもパクパク食べられる一品です。濃いめの調味料で味付けされた乾燥ナマコは一度食べてしまえば見た目が気にならなくなりますよ。

作り方はこちら(クックパッド)

中華風ナマコ酢

ナマコはやっぱり酢の物で味わいたいという場合は、ラー油や白ごまで中華風に仕上げたナマコ酢もおすすめの食べ方です。コリコリ、クニュクニュとした乾燥ナマコ独特の食感と、酸味、辛味がクセになる味わいです。

作り方はこちら(クックパッド)

乾燥ナマコの炒め麻婆

乾燥ナマコをしっかりとした料理で楽しみたい方には、豚ひき肉とナマコを使った炒め麻婆がピッタリです。ナマコのグロテスクな見た目を少しでも軽減したい方にも向いています。少し時間をかけて乾燥ナマコに味をしっかり染み込ませるのがポイントです。

作り方はこちら(クックパッド)

乾燥ナマコの作り方

乾燥ナマコは食べたくても高級なため手が出せないと躊躇する方も多いでしょう。プロの仕上がりとまではいかなくても、自分で手作りできる方法もあります。下記からは自分で手作りできる乾燥ナマコの作り方をご紹介します。

【材料/2人分】

  • ナマコ(黒ナマコ) 1~2匹
  • 塩 茹でる水に対して3%弱
  • 水 2リットル

作り方はこちら(クックパッド)

詳しい作り方はクックパッド見ていただければと思いますが、さすがに数カ月間管理しながら作るのは正直難しと思います。

乾燥ナマコで本格料理を作ってみよう

乾燥ナマコについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。中華料理で高級食材の一つに数えられる乾燥ナマコは、驚くほど高い値段が付けられ流通しています。ナマコはもともと栄養豊富な食材であり、古くから中国で「食べることで健康を維持する」という考えの下、愛されてきた実績もあります。自家製で作ることもできますから、一度乾燥ナマコを食べてみてはいかがでしょうか。