2017年12月22日更新
ストレス社会の強い味方・憂うつやイライラに効果的なセントジョーンズワート
ハーブやサプリに興味のある方なら、一度はセントジョーンズワートの名前を耳にしたことがあるかもしれません。実は憂うつやイライラを緩和する働きがあり、ヨーロッパでは軽度うつの治療薬として認定されるほど効果の高いハーブなのです。別名「ハッピーハーブ」とも呼ばれ、私達の心にやさしく働きかけてくれるセントジョーンズワートについて、少し詳しく見ていきましょう。
セントジョーンズワートとは?
セントジョーンズワートはヨーロッパ原産の多年草で、西アジア、北アフリカ、北アメリカ、オーストラリアと世界中へ帰化しています。春から初夏にかけて黄色い5弁の花を咲かせ、古来よりおまじないや民間薬として使用されてきました。和名はセイヨウオトギリソウ、日本のオトギリ草と種は異なりますが同じ科に属しています。
古くから利用されていたセントジョーンズワートの薬用効果
原産のヨーロッパでは「悪霊を退治する」「災いや病気から身を守る」という言い伝えがあり、中世にはすでに傷口の治癒、腎臓不全の改善、精神疾患の治療に使われていました。
日本でも同じ科に属するオトギリ草が、古くから民間薬として止血や鎮痛に使用され、有名な「ガマの油」の口上にも出てきます。また中国漢方の生薬として、ネイティブインディアンの薬草として、その薬用効果は古来より世界各地で活用されてきました。
手軽でナチュラルな精神安定薬
現在では、憂うつやイライラに効果のあるハーブとして世界中で利用されています。ストレス社会を生きる現代の私達にとって、ちょっとした精神の不調はよくあるもの。病院へ行くほど深刻ではなくても、辛い症状を少しでも軽減させたいときに、お店やネットで手軽に買えるセントジョーンズワートのハーブティやサプリは、まさに頼もしい味方。手軽でナチュラルな精神安定薬として、特に西洋では非常にポピュラーなホームレメディ(家庭薬)です。
日本では食品、ドイツでは医薬品?
セントジョーンズワートが現在のように精神安定の効果をうたわれ始めたのは1980年代以降。ドイツやイギリスを始めヨーロッパの国々では医薬品として認可されていますが、先進医療大国のアメリカでは医薬品ではなく、あくまでサプリメントとしての位置づけです。日本では、サプリメントとしての食品扱いですが、副作用に関しては厚生労働省から通達が出るなど、医薬品に近い存在です。
セントジョーンズワートの効能と効果
それでは、セントジョーンズワートはどのように私達の心の状態に働きかけるのでしょうか?その主要成分の作用や効能、期待できる効果について確認してみましょう。
現代のストレス社会はセロトニン不足になりやすい
私たちの心の状態に影響を与える脳内物質のひとつにセロトニンがあります。このセロトニンには気分や感情を整える働きがあるため、その量が減ると、落ち込んだり、不安になったり、イライラしたり、眠れなくなったりと、精神バランスが崩れてきます。
そして現代の私達の生活は、過剰な刺激やストレスでセロトニンが減少しやすく、またセロトニンの生成に欠かせない「運動」と「栄養」、そして「日光にあたること」が少なく、結果的にセロトニン不足を引き起こしているのです。
セントジョーンズワートはセロトニンを増やしてくれる
セントジョーンズワートの主成分は、セロトニンを増やす働きのヒペリシンと、セロトニンの減少を防ぐ働きのヒペルフォリンです。このダブル効果で、慢性的に不足しがちな私達のセロトニンを補ってくれるのが、セントジョーンズワートに秘められたパワーなのです。
ブルーな気分の落ち込みを改善
なんとなく気が重くて憂うつな感じがする、理由はないのに不安になる、そんな漠然としたブルーな気分も、単純に脳内のセロトニン不足が原因なことも。そんなときは、手軽にセントジョーンズワートのハーブティやサプリで、自然に無理なくセロトニンを補充してみましょう。
月経前症候群(PMS)や更年期のイライラや焦燥感にも効果的
女性ホルモンのアンバランスが引き起こす月経前症候群(PMS)や、更年期障害の不快な症状のうち、イライラや焦燥感などは、セントジョーンズワートでセロトニンレベルを整えることで、軽減されるそうです。
セントジョーンズワートからくる眠気
セントジョーンズワートは摂取することによって体内のセロトニンを減少しにくくさせる効果があります。そのため、リラックスした気分で安眠に繋げることもできますが、副作用として眠気に襲われることもあるようです。
特にサプリメントなどの方法は摂取しやすいため、簡単にセントジョーンズワートを取り入れることができますが、服用の量を間違えると副作用として眠気がくることもあるので服用のタイミングには注意しましょう。人によっては1錠までは眠気がこなくても2錠を超えると眠気を感じることもあるようです。ご自身に合った量を見極めるようにしましょう。
ダイエットの強い味方?
ダイエットで食事制限をすると、ついイライラしてしまいますよね。それは精神力が弱いからではなく、脳内のセロトニン不足が引き起こしている可能性があります。ダイエットで肉や魚や卵などを制限すると、セロトニンを創り出す栄養素が充分に摂れず、結果的に精神バランスを崩してしまいがち。そんな時は、セントジョーンズワートでセロトニンを補充して、快適にダイエット期間を過ごしてみては。
セントジョーンズワートの効果的な飲み方
セントジョーンズワートは医薬品などの即効性のあるものではないため、摂取してもすぐに効果が実感できない場合があります。継続し続けていくことで初めてその効果を実感できるようになるようです。ではいつ頃から効果が出てくるのでしょうか。
セントジョーンズワートの効果時間
セントジョーンズワートがその効果を実感できるまでにかかる期間は人によって大きく異なります。サプリなどであれば1週間程度の短い期間で効果を得られたという方もいます。しかし、目安としてですが、ドイツで軽度のうつ病患者3000人を対象にした実験では4週間以上セントジョーンズワートを摂取し続けた人のうち、約8割の人たちが症状の改善を実感したというデータがあります。そのため、効果がでるまでは飲み続けるということが重要なことなのかもしれません。
効果なしと言われるセントジョーンズワート
ヨーロッパでは抑うつ症状に対して広く処方されているそうです。処方されているということは医薬品扱いということなのでしょうか。一方アメリカの食品医薬局では市販薬でも処方薬でも承認していません。
食品医薬品局によるとセントジョーンズワートのどんな成分が抑うつ症状に対して有効なのかが研究結果として出ていないからとされています。
効果的な飲み方は?
人によってセントジョーンズワートの効果を得たい場面は異なってくると思いますので、1日のスタートを清々しい気分で迎えたい方は朝起きたときに。もうすぐ仕事が始まるときにやる気を出したい方はその前に服用。という段階的に踏ん張り所を目安にして服用すると良いでしょう。
また、反対に一息つきたい仕事終わりや、リラックス度を高めたいときの入浴前、そして睡眠前など個々のライフスタイルに合わせた効果的な飲み方をすることが可能です。何か行う前に服用してももちろん良いですが、ただ気分が沈んでいるときに服用しても問題ありません。
日本国内においてセントジョーンズワートは食品として扱われているため好きな時に好きなだけ摂ることができますが、厚生労働省が注意喚起していることも事実です。
気をつけたいセントジョーンズワートの副作用
自然なハーブであるセントジョーンズワートにも、医薬品ほどではありませんが副作用はあります。日本ではサプリメントとしての取り扱いで簡単に手に入れることができますが、その副作用には充分気をつけましょう。
よくある副作用
胃腸の不快感、めまい、口の渇き、日光過敏症が見られることがあります。その場合は量を減らすか、服用をやめると症状はなくなります。
禁忌
妊娠中の方は流産の恐れがありますので服用は厳禁です。また授乳中の方も、赤ちゃんへの影響を考慮し、服用は避けましょう。
他の薬との組みあわせ
セントジョーンズワートは他の医薬品との併用で重大な副作用が出る場合があるため、厚生労働省から通達が出されています。薬を服用中の場合、またはこれから医療機関にかかる場合は、セントジョーンズワートとの併用について、必ず医師や薬剤師へ確認をしましょう。
セントジョーンズワートで健やかな日々を
現代のストレス社会で生きる私達にとって、心のバランスを保つのはとても大切です。ときにはセントジョーンズワートのような、優れた効果のあるハーブを賢く使って、健やかな日々を送っていきたいですね。
【参考文献】
・厚生労働省「統合医療」情報発信サイト セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)と抑うつについて知っておくべき5つのこと
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/18.html
・厚生労働省 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1205/h0510-1_15.html