2017年12月22日更新
シナモンの効能・効果的な使い方から副作用まで
シナモンはとても馴染み深いスパイスですよね。
常備していない人でも名前は聞いたことがあったり、飲み物やトーストに利用できると知っていたりするのではないでしょうか。
ただ、じゃあシナモンって何? と聞かれると、答えに詰まるという場合も少なくないはず。
シナモンとは一体何なのか、その効果や効能はどんなものなのか、使い方はどうすればいいのか、もしかしたら副作用があるのか、気になる部分をいろいろと調べてみました。
- 目次
- シナモンって何?
- シナモンの効果・効能とは
- シナモンの基本的な使い方って?
- シナモンを虫よけの代用として使う
- シナモンのおすすめレシピ
- シナモンに副作用やアレルギーってあるの?
- 適量を守ってシナモンで健康に!
シナモンって何?
シナモンとは
スパイスの王様として有名なシナモンですが、その正体はクスノキ科の常緑樹、日桂(ニッケイ)の樹皮。
特徴は独特の香りと風味。甘いような辛いような味はどんな料理や食材にも合わせやすく、とても使い勝手がいいです。
シナモンとニッキの違いって?
実は、シナモンもニッキも同じ日桂です。
そのため似たような香りがするのですが、シナモンはスリランカ産でニッキは日本産という違いがあります。
産地の差は成分の差にもあらわれていて、オイゲノールという成分はシナモンにしか含まれません。つまり、シナモン独特の風味はこれによるもの。このオイゲノールのおかげで、シナモンはニッキと比べると甘みのあるマイルドな味になっているのです。
シナモンは英語でCinnamon、漢字では桂皮(けいひ)
シナモンは英語でCinnamon、そして漢字では桂皮(けいひ)と書きます。漢字で桂皮と書く場合は主に生薬として利用されるときです。シナモンの独特の甘いような辛いような香りはニッケイ属の樹木の樹脂のシンナムアルデヒド、クローブなどの精見油に含まれるオイゲノール、そして有機化合物の一種であるサフロールという芳香成分などから香る匂いです。
シナモンは世界で最も古いスパイスとも言われ、その歴史は紀元前4000年にもさかのぼります。来世の復活を願う古代エジプトの埋葬の慣習だったミイラ作りの防腐剤として使われていたのがそもそものシナモンの使い方の始まりのようです。その後、中国の古い薬学書にもシナモンの記載はあり、日本でも古い歴史書の中に「桂心」という言葉で薬物として使われていたことが記載されています。
現在では料理やお菓子、飲み物などの香り付けやインド料理などには欠かせないガラムマサラなどのミックススパイスの配合成分の一つになるなど賦香作用が基本の用途となる香辛料として利用されています。
シナモンの種類って?
すでに述べたように、シナモンの原料は日桂(ニッケイ)です。
先ほど、産地でシナモンとニッキにわかれるというお話をしましたが、オイゲノールを含むシナモンもまた、産地によって二種類にわかれます。
セイロンニッケイ
一般的にシナモンといえば、スリランカ産のセイロンニッケイが原料のものを指します。
甘味があり、柑橘系に似た爽やかな香りが特徴で、とくに甘いものとの相性がいいためスイーツやフルーツのコンポートにもちいられます。
また、その際のお供となるコーヒーや紅茶に使われることも多いです。
カシアニッケイ
一方、ベトナム産や中国産のニッケイが原料となっているのがカシアです。特徴は甘い香りとスパイシーな風味。こちらはピラフなどの炒め物やカレーに使われることが多いです。
シナモンの栄養成分って?
シナモンには、豊富なミネラル成分とビタミン群が含まれています。
具体的には、ビタミンB1とB2、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナイアシン、カリウム、亜鉛など。
シナモンには栄養素以外にも、毛細血管の老化防止に効果のあるシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)等も含まれています。
シナモンのカロリーってどれくらい?
シナモンのカロリーは、100gあたり365kcalです。
シナモンの効果・効能とは
シナモンには健康に役立つ効果がとてもたくさんあります。
たとえば、消化促進、抗菌、発汗、健胃、血行改善など。それに加えて血糖値や中性脂肪、コレステロール値を低下させるなど生活習慣病の予防にも効果的です。
また、殺菌作用や解熱作用もありますから、風邪の予防や改善にも役立つでしょう。
そんな中でも、特に有効とされているのが毛細血管の保護。毛細血管が減少すると健康はもちろん、シミやシワ、たるみの原因になるなど美容面でもいろいろと問題が出てきます。
シナモンと毛細血管
Tie2(タイツー)という言葉をご存知でしょうか。
Tie2(タイツー)とは、受容体タンパク質のこと。血管やリンパ管を作ってくれるありがたい存在です。よく、「血管が細くなった」など言いますが、これはつまり、タイツーの働きが悪くなったということなのです。
シナモンは、このタイツーに働きかけて活発にしてくれるため、毛細血管の老化防止に役立ったり、修復に効果があったりするのです。
毛細血管は、体のいたるところに存在します。そのため、実感できる効果も実にたくさん。頭皮の毛細血管が元気になれば髪が増えたりツヤが出たりするし、顔ならシミやシワが減少します。
そのほか、もちろん健康面でも効果があり、全体的に身体の調子がよくなるのです。
もちろん、血液の流れがよくなることで高血圧が改善されたり、血栓が予防できたり、冷え性がよくなったりという効果も期待できますよ。
漢方薬としてのシナモン
健康にさまざまな効果のあるシナモンですが、実は漢方薬においてもとても重要な存在なのです。
シナモンは漢方には桂皮(ケイヒ)という名前でもちいられるのですが、漢方薬にはこの「桂」という字がつくものがとてもたくさんあります。そしてこの「桂」の字がつくもの、これが実は、シナモンが含まれているということなのです。
とくに、風邪に効く漢方薬には、ほとんどシナモンが含まれていると考えてもいいでしょう。これは、シナモンのもつ発汗作用が見込まれてのこと。
また、名前からはわからないけれど実はシナモンが含まれている、という漢方薬もたくさんあるので、よく使われる漢方薬のうち、実に3割以上のものにシナモンが含まれていることになります。
ダイエットにもシナモンが効果的
シナモンには水分を排出してくれるカリウムが豊富に含まれているので、むくみの防止に効果があります。
それに加えて、シナモンには脂肪細胞を縮小させる働きもあるので、脂肪の燃焼を促してくれ、ダイエットにつながるのです。さらには血糖値のコントロールまでしてくれるので、健康的に痩せられるという、まさに理想的なダイエットです。
シナモンの効果を感じやすい人、そうでない人
老若男女を通して、シナモンの効果がまったくないという人はいません。ただ、その効果が実感しやすいかそうでないかの差はあるでしょう。
たとえば、シナモンの効果の一つに毛細血管の修復がありますが、これも、そもそもの毛細血管に問題がなければなかなか効果は実感できません。
つまり、改善ではなく、予防目的でシナモンをとる人はなかなか効果が実感できないということ。具体的には、若年層でしょうか。
ただ、効果が実感できないというだけであって、シナモンにさまざまな予防効果があるのは確かですから、若年層でもシナモンをとることには大いに意味があります。
また、男性と女性では、女性のほうが効果を感じやすいでしょう。これは、女性ホルモンと毛細血管の減少が連動しているからです。
シナモンに眠気覚ましの効果はあるか?
シナモンは、香辛料の中で香り付けする賦香(ふこう)作用がシナモンの基本的な用途として使われていますが、「香り」というものは人間の副交感神経に働きかけ、リラックス効果や眠気を覚ます効果などに作用します。
シナモンの芳香成分であるオイゲノールは眠気が強い時や注意力が低下しているときに副交感神経の活動を高めてくれ、脳をリフレッシュさせてくれます。カフェインのような眠気覚ましの効果ではありませんが、気分をリラックスさせてくれ、眠気があるとき、気分をすっきりさせてくれて眠気覚ましになる場合もあります。
シナモンの基本的な使い方って?
シナモンの使い方にこれといった決まりはありません。料理にふりかけてもいいし、飲み物に溶かしても構いません。
熱しても、冷やしても効果や効能に変化はないし、どんな食材やスパイスと組み合わせても問題ないので、使い方は実に自由でさまざまです。
とるタイミングや時間帯もとくに決まっていませんが、おすすめがあるとしたら夜。なぜなら、毛細血管をはじめさまざまな修復はとくに眠っている間に行われるからです。
それに加えて、寝る前に飲めばシナモンのリラックス効果が良質な睡眠を促してくれるでしょう。
・五香粉(ウーシャンフェン)を上手に使って料理にワンアクセント!
シナモンを虫よけの代用として使う
香辛料がもたらす基本作用は、そのスパイスが持つ独特な芳香性に期待する賦香(ふこう)作用、そのスパイスが持つ芳香で食品の臭いの消臭などに作用する矯臭(きょうしゅう)作用、辛味を出す辛味作用、そして色付けのための着色作用が香辛料の基本作用ですが、シナモンの香辛料としての基本的な作用はその独特な香りを利用した賦香(ふこう)作用が用途に基本であるスパイスで、その香りは料理やお菓子、飲み物だけではなくこんなにも利用されています。
虫除けに代用される
シナモンの芳香成分から香る匂いは、東アフリカのオイル図鑑から見ると、その昔は虫除けに用いられていたと記載されています。現在でもシナモンの香りは害虫の防虫や鳥獣用の忌避剤の配合剤分に含まれています。
人間には嗜好性のある香りでも、昆虫や獣類や鳥類には嫌って避ける性質のある香りであるようです。ちなみに家の中でもっとも出くわしたくないゴキブリもシナモンに香りが苦手とされています。ゴキブリが出入りするような場所に粉末のシナモンをガーゼやお茶の紙パックに入れて置いておくと、ゴキブリ除けに効果があるようです。
防腐剤に利用される
古代エジプトではミイラ作りの防腐剤として使われていたことはお話ししましたが、シナモンの歴史を手繰ると昔は肉類を保存するための殺菌防腐剤として欠かせないものだったようです。乾燥させた香りの高い樹皮であるシナモンは、最近、研究報告された中にも細菌やカビの繁殖を防ぐ作用があることが報告されています。
シナモンのおすすめレシピ
シナモンはシンプルに摂るのが一番。料理に使う場合も、出来上がってからふりかけるなど、手軽な方法で十分です。
シナモン入りドリンク
シナモンは、ドリンクに入れて混ぜるだけで手軽に楽しめます。
コーヒーや紅茶、ココア、ミルク、ワインなど。とくにワインはあたためてホットワインにすると冷え性の改善にも効果的です。
シナモンバナナ
あたためたミルクにシナモンを溶かし、バナナにかけます。
味はもちろん、腸内環境を整える効果がありますよ。
シナモントースト
食パンをトーストしてからシナモンをふりかけます。
好みで、トーストする前にふりかけてもいいでしょう。
シナモンに副作用やアレルギーってあるの?
適量を摂取しているぶんには、シナモンに副作用の心配はありません。
ただ、シナモンにはクマリンという成分が含まれているのですが、このクマリンは、過剰摂取すると肝障害を引き起こすといわれています。
ただ、セイロンシナモンはカシアシナモンに比べてずっとクマリンが少ないので、心配ならセイロンシナモンを選ぶといいでしょう。セイロンシナモンのクマリン含有量は、中国産カシアシナモンのおよそ40分の1、ベトナム産のカシアシナモンと比べると、なんと385分の1なのです。
ただ、シナモンには胎児に悪影響があるといわれるシンナムアルデヒドも含まれているので、妊娠中はたとえセイロンシナモンでも控えたほうがよさそうです。
また、シナモンにはアレルギー反応を起こす人もおり、症状はのどの粘膜の腫れ。
その一方で、シナモンは、血管の問題により起こると考えられている症状、たとえばアトピーや鼻水をともなうアレルギーを改善する効果があると言われています。
犬における影響
シナモンに限らず犬は香辛料を本来必要としません。もし間違えて人間用のシナモン入りのお菓子を食べてしまっても犬が食中毒を起こしたという報告はありませんが、犬によってはシナモンなどが原因、少量摂取しただけでも嘔吐や下痢をおこすなど胃腸障害におこすことがあるようです。
実際、シナモンやナツメグなどの香辛料を犬や豚などの動物に与えて、どのような変化が起こるか実験された結果では、嘔吐したり、食欲が落ちる、体重が減少するという報告が上がっています。急性中毒は起こさないけれど肝毒や発がん性の要因を産む原因になるという報告もあります。
もし犬がシナモン入りの人間の食べ物を食べてしまったときは、急性の食中毒の心配はないのでしばらく様子を見て、嘔吐などの症状がある場合は半日~1日絶食させて経過を観察してください。改善されないようなら獣医師に見てもらってください。
赤ちゃんにおける影響
ヨーロッパでは赤ちゃんの離乳食にシナモンを使ったメニューがあります。香辛料が赤ちゃんに悪い影響を与えるわけではありませんが、あえて与えなくてもよいものだと食品の安全を考える国の報告で言われています。
香辛料の中でシナモンは日本でも赤ちゃんの食事に少し入れる程度ならよいと言われ、離乳食や乳幼児のおやつにシナモン入りのおやつが紹介されています。諸外国の離乳食のガイドラインを見てみると、例えばイギリスでは胡椒やチリペッパーなど辛い香辛料は1歳過ぎてから与えるように指導され、シナモンやコリアンダー、クミンなど刺激の少ないものはたまに与えてもよいと指導されています。
日本にはこのような香辛料に関する赤ちゃんの摂取の仕方のガイドラインはありませんが、赤ちゃんが食べる離乳食は砂糖や塩などを加えない(加えてもごく少し)素材の味のものがよいと厚生労働省などから離乳食の指導などがされていますが、香辛料が赤ちゃんの健康に必ずしも悪い影響があるという報告もありません。しかし赤ちゃんによってはアレルギーを起こしたり、肝機能が低下してしまうという報告も全くないわけではありません。
食物アレルギーに関しては専門医の指導を受けて食べ物を制限している赤ちゃんもいれば、指導は受けていなくとも自ら母親もしくは母親に代わる者が制限して食事を与えていることもあります。香辛料に関しても辛い物や味を濃く出すものは赤ちゃんには控えめにする食事が大半ですが、香辛料でもシナモンのように刺激の少ないものは、たまに食事に加えても問題ないという声が上がります。適量であれば赤ちゃんや乳幼児の食事にも使えということのようです。
シナモンの摂取量はどれくらいがいいの?
シナモンは一日3gが適量と考えられており、10g以上は過剰摂取と捉えられます。
ただし、決められているのは一日のトータル量のみで、一回あたりの量に制限はありません。ですから、朝昼晩と1gずつ摂取するか、一日一回3g摂取するかは自由です。
適量を守ってシナモンで健康に!
いくつか注意する点もありますが、それは、それだけシナモンが効果の強いハーブだということ。
摂取量さえ気をつければ、私たちの健康にとってとても心強い味方なのです。
ぜひ、役立てたいものですね。