2017年8月18日更新
茎茶の持つ栄養や効能について
茎茶ってご存知ですか?普通の煎茶と比べると、とてもリーズナブルな価格で販売されているんですよ。安いお茶だからまずいの?と思われるかもしれませんがそんなことはないようです。ということで今回は茎茶について調べました。
茎茶とは
茎茶とは玉露や煎茶を作る過程で使用されなかった茎だけを集めたお茶です。独特のさわやかな香りと甘みが特徴です。茎茶の茶葉は茎だけを集めたものなので、茶葉というより「すべて茎」という感じです。全体的に緑色というよりは藁のような色をしているものもあります。茎茶の茶葉をお皿にとって見てみると「ホントにお茶なのかな」と見入ってしまうほど茶葉とは名ばかりと思える茶葉です。茎が棒のような形をしているので「棒茶」とも言われています。
現在はほとんどの急須に網目が付いているので湯のみに茎の部分が出ることはありませんが、「茶柱が立つと縁起がいい」と言われる言葉の茶柱とはこの茎の部分のことをいっているのです。
茶の葉でなく茎の部分で作った茎茶ってまずいのでは?
茎茶は、荒茶を玉露や煎茶に仕上げる加工中に生じる副産物です。そのためお茶の業界では、茎茶のような副産物のお茶を「出物」と呼んでいます。出物のお茶はお茶の中でランクが低く見られているので価格がとてもリーズナブルです。
しかし「お茶としてのランクが低いからまずい!」といわけではありません。茎だって驚くほど甘くておいしいお茶になるのです。茎だけを集めたお茶と言っても加工の際に完全に茎だけを選別するのは不可能で、若くて柔らかい一番おいしいとされる玉露や煎茶の芯の部分も混ざっっていることや、何といっても茎にはうま味成分がたくさん含まれているので茎でも驚くほど甘くて美味しいお茶になるのです。水色は薄く透明感のある黄緑色をしています。同じ出物でも葉の先っぽだけを集めた芽茶とは対照的な水色ですが、爽やかさを感じる色合いです。
特に茎茶の中でも、高級な煎茶や玉露から採れた茎茶は、「雁が音(かりがね)」とか「白折(しらおれ)」と呼ばれ高級茎茶として珍重されています。茎茶は甘みも豊富なのでほかのお茶とブレンドしやすい特長があります。例えば茎茶だけだと水色が薄いので抹茶をブレンドする商品も人気があります。茎茶はお湯の温度や蒸らし時間を気にせず入れられるので、その手軽さと値段が安いことから、家庭や職場などで日常飲むお茶として人気です。
茎茶の味ってどんな味?
茎だけを集めた茎茶の味わいは甘みのある爽やかな味わいです。また元のお茶によっても多少味わいが違います。例えば普通の煎茶の加工途中で振り分けられた茎で作った茎茶は渋味が少なく柔らかな甘みとうま味のサッパリとした味わいです。香りはすこし青臭い香りがします。茎茶は高温で入れるとシャープな味になり、低温でゆっくり時間をかけて蒸らして入れると甘みが引き立つ味わいになります。
高級品の玉露の加工中に振り分けられた茎を集めた茎茶「雁が音」はまろやかさと爽やかな香りと甘みを併せ持った美味しい味わいです。玉露に近い味なのに比較的安く購入することができるためお茶好きの方から親しまれています。
烏龍茶の茎茶味ってどんな味?
茎茶は日本茶の中の緑茶の茎だけを集めて作ったお茶だけでなく、半発酵茶の烏龍茶の茎の部分だけを集めた茎茶もあります。通常の烏龍茶と比べ若干香ばしい味わいです。水色はもちろん烏龍茶と同じようにこげ茶色をしています。急須で入れる場合はむらす時間を少し長めにすると美味しく入れることができます。
烏龍茶の茎茶はとてもリーズナブルで美味しくてお得感があります。中華屋料理店ではよく利用しているようです。やかんなどで煮出すとより濃く香ばしさも増します。香ばしいこの風味が好きだという方も多いです。
茎茶の栄養とその効能
茎茶は水色が薄いため味も薄いのではと思われがちですが、実は茶の葉の茎はお茶のうま味成分のテアニンを一番多く含んでいる部分なのです。
茎茶の栄養成分テアニンとその効能
茎は葉よりも、うま味成分であるテアニンを約2倍含んでいるのです。また香ばしさの香りの成分を約1.5倍、甘い香りの成分を約4倍も含んでいます。テアニンは日光に当たると光合成することによって渋味成分のカテキンに変化しますが、茎の部分は葉と違い光合成をほとんどしないため、玉露などのように人工的に日光を遮らなくともテアニンの喪失とカテキンの生成を抑えることができます。
茎にたくさん含まれているテアニンは緊張を解いたり、興奮を静めたりして気持ちをリラックスさせる働きがあります。これはリラックスしているとき現われる脳波のα波がテアニンを摂ると現れるという実験結果もあるほどです。
テアニンは脳神経の興奮を鎮める作用があるので寝つきがよくなり質の良い睡眠をとることができると言われます。また脳に直接働きかけてドーパミンなどの脳の神経伝達物質を活性化することにも役立つという研究報告もあります。このため記憶力や学習能力を高める効果があると言われます。
茎茶の栄養成分葉酸とその効能
葉酸は水溶性ビタミンです。DNAを形成したり細胞の再生に欠かせない栄養素です。茎にはこの葉酸がたくさん含まれています。細胞分裂を活発にしてくれる作用があるので口内炎、舌炎、下痢、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの予防になります。
茎茶の栄養成分カフェインとその効果
最近、メーカーのよってはカフェインレスというお茶も販売されていますが、お茶には通常必ずカフェインが含まれています。カフェインは葉の部分に含まれていて茎には含まれていないのではと思われがちですが、茎にもカフェインはしっかり含有されているのです。含有量に関しては元の茶が1番茶を使っているか2番茶を使っているかによっても違いがあり、またメーカーによっても違います。煎茶の茎を集めた茎茶ならそのお茶の持つカフェインの量とほぼ同じくらいのカフェインが茎の部分にも含まれています。
カフェインは中枢神経に作用して集中力をアップさせたり、眠気を覚ましてくれる効果があります。疲労感を解消する作用もあります。茶に含まれるカフェインは、コーヒーのような強い興奮作用ではなく緩やかに作用してくれます。そのわけはコーヒーよりもカフェインの含有量が少ないこともありますが、カフェインの興奮作用をテアニンが抑制していることもあります。ですからカフェインは含まれていますが、就寝前でも安心して飲むことができます。
水出し茎茶の美味しい入れ方
暑い時期は水出しで冷たいお茶を楽しみたいものです。茎茶も美味しく水出しすることができます。それぞれのメーカーの製品によって美味しく入れる茶葉の分量に多少違いがありますが、おおよその目安は水1Lに対して茶葉15gが目安です。
容器に水と茶葉を入れて6時間以上冷蔵庫で抽出します。茎茶はもともと色の薄いお茶なので、煎茶などで水出ししたお茶より色が薄く感じるかもしれませんが、味わいはしっかりと出ます。茎茶はブレンドしやすいお茶なので煎茶をブレンドしたり抹茶をブレンドして色を出すこともできます。
茎茶を美味しく味わおう
茎茶は1級茶を加工する際に出た茎だけを集めたお茶です。お茶としてのランクは低く見られていますが、茎にはたくさんうま味成分のテアニンが含まれているので甘くてさわやかな味わいです。茎茶の中でも高級な玉露の茎で作った「雁が音」も味わってみたいですね。茎だって驚くほど美味しいお茶が楽しめ、成分の効能から体に嬉しい効果がたくさん期待されています。ぜひ味わってみてください。