2020年3月23日更新

ザーサイとはどんな野菜?知られざる栄養やカロリーとは

搾菜

中華の漬物のなかで、日本によく浸透しているものにザーサイがあります。
メンマのような色に甘酸っぱい風味。独特で他には類を見ないザーサイですが、その正体は何なのでしょうか。身近でありながら、意外に知られていないザーサイについて紹介します。

  1. 目次
  2. ザーサイとは
  3. ザーサイの健康への効果は?
  4. ザーサイの賞味期限や美味しい食べ方は?

ザーサイとは

ザーサイには2つの意味があり、1つは私たちが思い浮かべている漬物のような食品。そしてもう1つが、この食品の元となる野菜です。ザーサイにはしぼった野菜という意味がありますが、しぼる前の野菜にもこのような名前がつくというのは面白いですね。

ザーサイという野菜

ザーサイはアブラナ科アブラナ属カラシナの1種です。普段よく目にするカラシナなどは葉を使うアブラナであり、
ザーサイはその変種、茎を使う種類のアブラナです。全体の2/3がこぶのような茎であり、その上に細く小さな濃い緑色の葉をつけます。この多肉質なザーサイの茎を、塩と酢で漬けこむといわゆるびん詰めの漬物ザーサイになります。
ちなみに、大きく発達した芽の部分を使うホールドディッシュという種類もあります。

ザーサイの原料や作り方は?

ザーサイの主原料である茎の部分は、サクサクした歯ざわりに柔らかくしっとりした食感、香りが豊かで栄養豊富、独特な風味を持った漬物であり、主に重慶や浙江省といった中国内陸から南部で作られます。

作り方は大きく分けて2つあり、伝統的かつ最もよく使われている製法は自然乾燥による脱水方法です。これはザーサイを新鮮なうちに竹串や鉄の串に指し木の上に吊るしておく方法です。外の風を受けてしっかり乾いたところで、調味料に漬け込んでいきます。漬け込む際には乾燥したザーサイの上に塩を撒き、さらにザーサイを重ねるという風に層状に漬けていきます。塩加減は作り手の勘が頼りになりますが、50kgの乾燥したザーサイに対し約1.3kg程度の塩が必要といわれています。

もうひとつは、現在主流になりつつある非常に簡単な方法で、塩を使って脱水していきます。新鮮なままザーサイを一層敷いたら塩を1kgほど一層撒いて出てきた水分をそのつど取り除いていきます。

いずれの方法も水分を取り除く前の段階で切り口の皮を剝いておく必要があります。しみ出た水分を取りきったら、さらに圧搾して水分を抜いていきます。伝統的な圧搾方法にもいくつか種類がありますが、全てにおいて3度漬け込んでから圧搾します。これだけしっかり絞り込まれるがゆえに、搾菜と呼ばれるんですね。

味付けは塩のほかに以下の十数種類の香料や調味料を用います。
粉唐辛子、花山椒、ウイキョウ、砂仁、胡椒、バンウコン、甘草、ニッキ、白酒など
その後大きなカメに入れて封をし、涼しい場所で保管します。外気を完全に遮断されたザーサイはアルコール発酵から乳酸発酵を経て、あの独特な酸味と香りを醸し出します。
このようにして作られた良質なザーサイは、青みがかった淡い黄色をしており、表面に付着している粉唐辛子の赤さでところどころが染まっています。また、肉質の部分には光沢があり、さわやかな歯ざわりと、濃厚かつ新鮮な香りがします。

ザーサイの健康への効果は?

発酵を繰り返し、独特な香りと酸味を合わせ持ったザーサイには栄養成分も多く含まれます。
例えば、体に不可欠といわれるタンパク質、βカロテン、食物繊維、ミネラルのほか、旨み成分のグルタミン酸、必須アミノ酸のアラキドン酸などに加え、17種類の遊離アミノ酸が含まれています。

ザーサイの効能

(1)ザーサイの主成分であるタンパク質、βカロテン、食物繊維、ミネラルは生命維持に不可欠な栄養素であるほか、体調不良や脂肪や水分の代謝不良が起きたときに新陳代謝を高め、正常に戻そうとするはたらきがあります。

(2)内臓や筋肉などの各器官はタンパク質からできており、ザーサイに含まれる各種アミノ酸は、タンパク質の合成に欠かせません。

(3)栄養学的にも、ザーサイは胃や脾臓の働きを活発にし、食欲増進や体力気力の回復に有効であるとされています。

(4)しっかり塩抜きされた後も旨みや風味が損なわれないザーサイは、低塩で肝臓や腎臓に負担がかかりません。代謝されやすいということから、ダイエット効果も期待できます。

(5)車酔いや船酔いにも効果があり、気分が悪くなったときに一口食べると、吐き気や気分の悪さが治まるとされています。

(6)飲みすぎや悪酔いの時にザーサイを少し食べれば、めまいやムカつき、イライラが和らぎます。

(7)胃もたれを解消するため、脂っこいものを良く食べる人に向いているほか、胃腸の弱い人や病後の回復期にもおすすめです。

このように、ほぼ全ての人が食べることができますが、1食は10g程度にとどめ食べすぎに気をつけましょう。
また以下の人は食べる際に注意が必要です。

(1)妊婦の方は塩分代謝機能が低下しており、妊娠中毒症の危険性があるため、ザーサイに限らず漬物全般は避けたほうがよいようです。

(2)香辛料や塩分の刺激があり、塩分が心臓に負担をかけたりむくみや腹水の原因となるため、呼吸器疾患、糖尿病、高血圧患者も控えるようにしましょう。

(3)慢性的に下痢をしやすい人

ザーサイの糖質やカロリーは?

カロリーは100gあたり約23kcalです。そして商品の調味加減によりますが、糖質はほぼゼロです。
実際には100gあたり約3gほどの糖分が含まれているのですが、食物繊維もほぼ同量入っています。糖質は糖分から食物繊維量を引いて割り出されますので、糖分と食物繊維が同量ということは、糖質はゼロということになります。

ちなみに一般的な漬物の100gあたりの糖質(糖分-食物繊維の値)は以下の通りです。

  • 福神漬け 25g/136kcal
  • らっきょう 23g/115kcal
  • きゅうりピクルス 14g/67kcal
  • 梅干し 3.5g/33kcal
  • キムチ 2.5g/46kcal

これらに比べるとかなり低糖質、低カロリーですね。

ザーサイの賞味期限や美味しい食べ方は?

1瓶買ったものの持て余しているということはありませんか。
ザーサイはそのまま食べるだけではなく料理にも活用できるんですよ。

美味しい調理方法は

和え物や、おつまみもいいですが、刻んで合わせ調味料のアクセントにしたり、肉料理のトッピングにするなどの組み合わせもあります。またザーサイの香りと甘酸っぱさを活かすなら、鶏肉や豚肉と煮込んでスープにするのもおすすめですよ。

ザーサイの賞味期限は

開封後、塩抜きしていなければ冷蔵庫で約2-3ヶ月が目安です。塩抜きすると傷みやすくなるため、食べるぶんだけする方が無難です。
また、商品に記載されている年月日を必ずチェックするようにしましょう。

これまでどんなものか分からず食べていたザーサイが、原材料や作り方、栄養を通じて少し身近になりましたね。
家に眠っているという人は、今日からぜひ活用してみてくださいね。