2017年5月22日更新

知ってる?綿実油の特徴と危険性とは

綿実油

サラダ油の原料といえば、皆さんは何を思い浮かべますか。
菜種やコーン、ひまわりがメジャーですが、実は綿の種からも作られているんですよ。日本ではあまり流通していないものの、アジア諸国では菜種油、ピーナツ油に続く三大食用油の1つなんです。

  1. 目次
  2. 綿実油とは
  3. 綿実油の成分や特徴
  4. ほかにも危険性はある?

綿実油とは

木綿は花が咲き終わると繭のような実がなります。この繭の部分がコットンであり、この中に小さな種が入っているのですか、これを1粒ずつ取りだして絞ったのが綿実油です。
起源は中国やインドとも言われ、搾りかすは反芻動物の飼料や農作物の肥料として再利用されています。

綿実油の読み方は

めんじつゆと読みます。
わたのみあぶらとも呼ばれますが、その場合の表記は「綿の実油」となります。

綿実油の種類や応用範囲

他の食用油と同じように、綿実油にもいくつか種類があります。

圧搾綿実油:種を前処理し、圧搾して取りだした後に脱臭などの処理をした油。
抽出綿実油:油を抽出するヘキサンなどの溶剤を用い、化学的に取りだした油。
遺伝子組み換え綿実油:遺伝子組み換えの綿から取りだした油。
原油:精製されていない綿実油。有害物質を多く含むため、工業用に使用されます。

綿実油は国が求める品質基準や衛生水準をクリアしてはじめて、食用油として私たちの家庭に届けられます。
軽い味わいで保存がきくほか、酸化防止のため水素添加した後はサラダ油、マーガリン、ショートニングの材料としても優れ、食品加工に幅広く使用されます。
発煙温度や引火温度は高いため揚げ物にも適しており、さっくり黄金色に揚げ上がり、食材に独特の風味を与えます。
その滑らかさを活かして、工業分野では石鹸や化粧品にも使われるんですよ。

綿実油の成分や特徴

一般的に流通している綿実油はすべて精製されたもので、乾いた後もしっとり潤う半乾性の油です。
色は薄い黄色で透き通っていますが、低温で結晶しやすく白く濁ることかあります。
それでは他の特徴も詳しく見てみましょう。

綿実油の成分

綿実油の脂質はパルミチン酸21.6-24.8%、ステアリン酸1.9-2.4%,アラキドン酸0-0.1%、オレイン酸18.0-30.7%、リノール酸44.9-55.0などその多くが必須脂肪酸。
中でも特にコレステロールを下げて体の健康を維持するリノール酸の割合が高く、体への吸収率は98%と非常に高いのが特徴です。

オメガ脂肪酸

これら綿実油の脂肪酸は、互いに結びついてオメガ6脂肪酸を形成します。オメガ6脂肪酸を多く含む植物油は、綿実油の他にも大豆油、ピーナツ油、コーン油、ごま油、べにばな油、ひまわり油など多数あります。これら植物油のオメガ6脂肪酸は摂りすぎると肥満などの問題があり、多くの専門家から以下のような指摘がされています。
まず、オメガ6脂肪酸は過剰摂取で血栓ができやすくなること。
血液の凝集作用が進んで粘度が増すと、血管が痙攣収縮して出血時間が減少します。その結果、心臓疾患の直接的な原因になることも。
また、綿実油を精製して固まりにくく加工したサラダ油は、その加工の際にオメガ6脂肪酸は酸化して有害な成分に変わっているため、あまり食べない方が良いという考え方もあります。
ほかにも、筋細胞中のオメガ6脂肪酸が多い人は肥満になりやすく、オメガ3脂肪酸に比べてオメガ6脂肪酸の比率が高ければ高いほど、肥満と代謝障害のリスクが上がることも分かっています。

ほかにも危険性はある?

綿実油は高温で抽出されたり、さまざまな加工を経て、不飽和脂肪酸が有害なトランス脂肪酸へと変化します。大手製油企業も製品中にトランス脂肪酸が含まれることは認めていますが、油の種類によってもその含有量は違います。
綿実油に含まれるトランス脂肪酸にはどのような特徴があるのでしょうか。

トランス脂肪酸は多い?

研究によると、綿実油は脱臭時の温度と時間がトランス脂肪酸含有量に大きく影響することが分かっています。
特に脱臭温度は、リノール酸をトランス脂肪酸に変える直接原因となっており、次いで脱臭時間が関係しています。
同じ脱臭時間で、温度を変えた場合のめのトランス脂肪酸の全体量は、少なくとも100倍以上の差が出るのに対し、同じ脱臭温度で脱臭時間を変えた場合、その差は1.7~5.5倍にとどまります。そして、255℃以下で脱臭時間を長めにした時のトランス脂肪酸の形成速度が1番緩やかで、含有量も低く抑えられることが明らかとなりました。

長期摂取は健康によくない?

綿実油に含まれるゴシポールという有機化合物には、長期的に摂り続けると男性機能を減退させる作用があり、脂質のうちわずか0.02%と低いものの、精製度が低い綿実油ほどその割合が高くなります。
発展途上国では精製度が低い綿実油も普通に流通しているため、海外で食べる時はしっかり精製されたものか注意する方が良さそうです。

いかがだったでしょうか。
食用油の中でもあまり知られていない綿実油ですが、他の油同様弊害は少なからずあるようですね。
しかし、高温に強く揚げ物にも使えるほか不飽和脂肪酸が豊富という利点もあります。
危険性があるから摂ってはいけないということではなく、数種類の油をバランスよく摂ることがリスク軽減につながります。
油は1つだけに偏らずまんべんなく選ぶようにするのが良いですね。