2017年2月17日更新

塩のあれこれ ~賞味期限から推奨摂取量、致死量まで~

塩とは

塩は、私たちにとって欠かせないものである一方、摂り過ぎは良くないとよく聞きますよね。
そのため、できるだけ塩分を控えている人も多いのではないでしょうか。
摂り過ぎても、摂らなくても身体のためにはならないと言われる塩。
いったい、一日どれくらいなら健康に役立つのでしょうか。また、どのくらいまでなら害にならないのでしょうか。
そもそも……摂り過ぎは良くないとはよく聞くけれど、命に関わるようなことはあるのでしょうか。あるとしたら、その致死量はどのくらい?
気になるところをいろいろとまとめてみました。

  1. 目次
  2. 塩とは
  3. 塩を摂りすぎるとどうなるの?
  4. 塩の推奨摂取量ってどれくらい?
  5. 塩は一日10g以下を目指しましょう!

塩とは

塩とは言うまでもなく、どの家庭にも必ず常備してある調味料。
生野菜など、塩を振り掛けるだけでもおいしく食べられるほか、料理の仕込みや仕上げの味付けにも欠かせません。

塩の種類

塩には、海水から作られる海塩、土中や地層から採取される岩塩、湖から取られる湖塩があります。
主に家庭で使われているのは、精製された海塩である食塩。不純物やミネラル分を可能な限り取り除かれているので、色は白く、成分は99%が塩化ナトリウムです。

塩の栄養成分

天然塩には、ナトリウムをはじめ、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅、セレンなどのミネラル分が含まれています。
食塩などの精製塩も成分自体はあまりかわりませんが、99%を塩化ナトリウムが占め、そのほかのミネラル分の含有量はごくわずかです。

塩のカロリー

塩のカロリーは100gあたり0kcalです。

塩の保存方法

塩は水気を吸いやすいので、高温多湿を避けて保存しましょう。
使おうと思ったら塩が固まっていたというのは、塩が湿気を吸い取ったからなのです。
常温で保存する場合、これを回避するために、タッパーなどしっかり密閉できる容器に入れて保存するといいでしょう。また、フライパンで炒ったお米を混ぜておくと、塩が固まるのを防いでくれます。

ほかには、冷蔵庫内で保管するという手段もあります。冷蔵庫内は乾燥しているので、とくに対策は不要。そのまま保存して大丈夫です。
ただし、冷蔵保存した塩は、使うときに冷蔵庫から出しただけで温度差により水分が生じてしまいやすいです。使ったらすぐに冷蔵庫に戻すようにしてください。

塩の賞味期限

塩は砂糖と同じで、長期保存が可能な食品です。
したがって、賞味期限はありません。何年も変わらず使用できます。
ただし、塩は水気と、においを吸いやすい特徴があります。そのため、高温多湿の場所で保管すると固まったり、においの強いものと一緒に置くとその香りが移ったりするので気をつけましょう。

塩を摂りすぎるとどうなるの?

「塩分の摂り過ぎはよくない」というのは、よく聞く言葉ですよね。
では、塩分を摂りすぎると、具体的にはどうなるのでしょうか。
高血圧になる、心臓病になる……とも言われますが、果たしてどういう仕組みでそれらの病気になるのか、また、それ以外にどんな心配があるのでしょうか。

塩分を取りすぎると、体内や血液中のナトリウム濃度が上がる

体内に取り込まれた塩分は、ナトリウムになります。
そのナトリウムは体液や血液に取り込まれて体中をめぐりますから、当然それらのナトリウム濃度が上がるのです。

ナトリウム濃度を下げようとして高血圧になる

ナトリウム濃度が上がると、それを薄めようとして身体が水分を欲します。
水分が増えると血液の量そのものが増えますから、圧がかかり、血圧も上がるのです。これが一時的なものならいいのですが、塩分の摂り過ぎが続くと血圧の高い状態も続き、高血圧になってしまいます。

ナトリウムを排出しようとして腎疾患が起こる

いつまでもナトリウム濃度が薄まらないと、身体は何とかしてナトリウムを排出しようとします。
ナトリウムを排出する器官というと、もちろん体内の毒素を濾過して浄化する役目を担っている腎臓。
過度なナトリウムのために腎臓がフル活動を余儀なくされ、負担が掛かり続けることで機能不全などの疾患が起こってしまうのです。

ナトリウムによる異常伝導で心疾患が起こる

ナトリウムはカリウムと一緒になって細胞に刺激を与え、筋肉を動かす働きをもっています。
いつまでもナトリウムが減らないと刺激伝導に異常が起こり、心筋に影響を及ぼすのです。
それにより不整脈、ひどいと心疾患を引き起こすでしょう。

天然塩を使えば塩分は多少抑えられる

お気づきの通り、塩分の摂り過ぎにより引き起こされる問題は、ほぼナトリウムによるもの。
そして、既に述べたとおり、だいたいの家庭で使われている食塩などの精製塩は、成分の99%がこの塩化ナトリウムなのです。
それに対して、天然塩ならほかのミネラル分も含まれていますから、そのぶんナトリウムの割合も下がり、同じ量を使っても多少危険性はさがります。
とはいえ、やはり過剰摂取は禁物ですが、少しでも塩分を減らしたい人は天然塩に切り替えてみてはいかがでしょうか。

塩の推奨摂取量ってどれくらい?

塩が私たちにとってまったく不要なものなら避ければいいのですが、残念ながらそういうわけにはいきません。
塩分は、私たちの身体にとって必要不可欠な成分でもあるのです。
では、推奨される塩の摂取量とは、一体どのくらいなのでしょうか。

厚生労働省の推奨量は男性で8g、女性で7g

厚生労働省では、一日あたりの塩分摂取量の目安を男性で8g、女性で7gと定めています。
このほか、腎臓病患者の塩分摂取の目安はだいたい3~6g、WHO世界保険機関が定めている一日の塩分摂取量の目安は5g未満です。

実際の摂取量は男女ともに推奨量を上回っています
では、実際に摂取されている塩分量がどれくらいかというと、厚生労働省の発表では男性11.1g、女性9.4g。男女ともに、推奨量を上回っていることがわかります。
これは、味噌や醤油など、日本人に親しまれている調味料にも塩分が含まれているからかもしれませんね。
どちらにしろ、現在とくに減塩を心がけていない人は、推奨量を上回って塩分を摂取している確率が高いです。

塩の致死量ってどれくらい?

過剰に摂取するとよくないことは既に述べましたが、では、はたして塩の致死量はどれくらいなのでしょうか。
そもそも、致死量は存在するのでしょうか……?

財団法人日本中毒情報センターの見解によると、塩の致死量は30~300g。
個人差があるのか、かなり幅が広いですが、念の為に最低量である30gを摂らないように気をつけたいものですね。
ちなみに、致死量の塩を摂取した場合、嘔吐や下痢、頭痛、発熱、極度な喉の渇きが数時間以内に起こり、その後尿細管壊死による腎障害、それに体内の水分貯留による脳浮腫や肺水腫があわせて起こり、最終的に呼吸停止にいたるとのことです。

塩小さじ一杯って何グラム?

レシピでよく目にする”塩小さじ一杯”。
この量ですが、小さじ一杯の塩は約5gです。

塩は一日10g以下を目指しましょう!

私たちにとって塩は、必要なものでありながら、できるだけ減らしたほうがいいというとてもややこしいもの。
それでも、精製塩を天然塩に変えるなど、減塩できる方法がいくつもあるのは確かなのです。
ぜひ、健康のために、塩分は一日10gを目指してみませんか。