2017年11月9日更新

ニジマスのおすすめの料理・食べ方

ニジマス

ニジマスの切り身は朝食に美味しい一品ですよね。実はニジマスはもともと日本にいた魚ではなく外来種なんです。今回はニジマスについて調べました。ニジマスの特徴や養殖に関する問題、心配される寄生虫について、そしておすすめの食べ方や料理をご紹介します。

  1. 目次
  2. ニジマスの特徴。ニジマスのあれこれ
  3. ニジマスの養殖について
  4. 心配されるニジマスの寄生虫について
  5. ニジマスのおすすめの食べ方や調理の仕方
  6. ニジマスを美味しく料理して食べよう

ニジマスの特徴。ニジマスのあれこれ

ニジマスはサケ科の魚ですが、もともと日本にいた魚ではなく19世紀中頃にアメリカから持ち込まれた外来種です。

成魚の大きさは一般的に40 cm前後ですが、大きい個体は60〜120cmくらいに成長するものもいます。背ビレ、尾ビレ、そしてサケ科の魚には必ずついている背ビレと尾ビレの間に小さく突き出した肉質状の脂ビレに黒点がついています。また体の側面全体にも黒点があります。

エラから尾ビレにかけてのピンク色の太い縦縞の模様があるが特徴で、繁殖期になると雄の体は婚姻色という虹色の光沢を発色します。この虹色の光沢がニジマスの標準和名(ニジマス、レインボートラウト)の由来だそうです。

日本に生息するニジマスのほとんどは生まれた河川の中流や上流または湖で一生を送る河川残留型の淡水魚ですが、ほんの一部のものや外国のニジマスは海に下って成長し生まれた河川や湖に戻ってくる降海型のニジマスもいます。降海型のニジマスはとくに「スチールヘッド」と呼ばれています。

ニジマスの栄養

文部科学省「日本食品成分表2015年版(七訂)」準拠の「食品成分表2017」によるとニジマスの栄養は以下の通りです。

<ニジマス・海面養殖皮つきの生100gあたり>

カロリー224kcal、タンパク質21.4g、脂肪14.2g、コレステロール69mg、炭水化物0.1g、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛など)、ビタミン(A、D、E、B1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、葉酸、パントテン酸)

<ニジマス・淡水養殖皮つきの生100gあたり>

カロリー127kcal、タンパク質19.7g、脂肪4.6g、炭水化物0.1g、ミネラル(海面養殖のものとほぼ同じ)、ビタミン(海面養殖のものとほぼ同じ)

*ミネラル含有量ついては淡水養殖のニジマスの方がカルシウムの含有量が多いのが目立ち、ヨウ素を含有していません。ビタミンでは海面養殖のニジマスの方がビタミンの含有量が淡水養殖のものより多少多いですが、ビタミンB1、Dだけは淡水養殖のニジマスの方に幾分多く含まれています。

ニジマスはどんな味?

ニジマスのうろこは細かく取りやすいですが皮は厚く硬いのが特徴です。骨は比較的軟らかく小骨の多い魚です。身はご存知の通りサーモンピンクでとても軟かいです。熱を通しても身肉は硬くならホックリと身離れします。味わいは淡白で少し甘みがあります。

美味しい時期は?

ニジマスは通年入荷している魚で、養殖物がほとんどなので一概に旬はこの時期だとは言えませんが、放流されたニジマスがよく釣れる時期はやはり美味しい時期なのでそれを考えると2~5月、また8月ごろも旬だと言われます。

ニジマスの価格・値段はどれくらい?

2017年8月までの築地市場のニジマスの月別卸売平均価格は1kg当たり1月1100円程度、2月1200円程度、3月1100円程度、4月1000円程度、5月1200円程度、6~8月は900~950円程度で取引されています。国産の養殖の大型のニジマスは輸入物より高価でノルウェー産やチリ産のニジマスの2~3倍の値段で販売されています。

ニジマスの養殖について

ニジマスはもともと日本にいた魚ではなく19世紀中頃にアメリカから持ち込まれた外来種です。日本各地の河川中流~上流または湖などに放流されましたが、自然繁殖の報告が上がったのは北海道だけで本州にはほとんどいません。

ニジマスは病気にも強く味もよいので19世紀の当初から淡水養殖が始められました。ですから養殖品種の改良にも長い歴史があります。

現在日本では環境省の監視下でニジマスは特定外来生物法に基づき「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」な魚として監視されています。

【参考リンク】
環境省 「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」

輸入量が急増して国内でも養殖が盛んなので本来なら特定外来生物と指定されてもおかしくない魚だと一方で言われている中でそうならない理由は、ニジマスは国内で水産上重要種となっているからです。そのためサケ科魚類の中でも全国でニジマスの養殖や放流が盛んに行われている外来種であるにもかかわらず、外来種だと認識を持っていない人が多いのです。

しかし養殖により品種改良されたニジマスが次々に生み出され養殖事業が勢力を強める近年、ニジマスの養殖や放流については考え直さなければならない問題だと国は頭を抱えているようです。

ニジマスの養殖により品種改良された魚

以下の名称の魚は、もともとはニジマスで養殖による品種改良で生まれた魚です。

サーモントラウト

淡水養殖用のニジマスを海面養殖用に作り出したもので通常のニジマスよりかなり大きく身肉の色が美しく美味しいためものすごい勢いで生産量をあげています。

信州サーモン

長野県の水産試験場で養殖され作り出された新しい品種。病気に対して本来のニジマスよりかなり強くこれも美味しいと言われています。

心配されるニジマスの寄生虫について

ニジマスだけとは限らず天然のサケ科の魚類は線虫であるアニサキスや裂頭条虫の扁形動物であるサナダムシなどの寄生虫がいる場合があります。

体内に入ると強い腹痛や腹部膨満、倦怠感などの症状が現れます。養殖のものは生育管理されているので寄生虫の心配がないため生食でも寄生虫の心配いりませんが、天然のものは生食では危険だと言われます。

ちなみに一定時間冷凍した魚はアニサキスが死滅してしまうのでアニサキスによる食中毒の心配はいりません。たとえばアイヌ民族の鮭の食べ方の一つであるルイべはサケを凍らせたものですが、アイヌの人がサケを凍らせて寄生虫を回避していた食べ方だといわれています。

ニジマスのおすすめの食べ方や調理の仕方

100~140グラム(体長20~23cm程度)の大きさのニジマスはまだ身が白身で塩焼きやムニエル、甘露煮がおすすめの食べ方です。

育成の際に赤い色素であるアスタキサンチンの成分を持つエビやカニ等の甲殻類を飼料として2~3年くらいかけて2~3kgの大型に育った個体は、身肉がサーモンピンクで、生で刺身や寿司に調理したり焼き魚としてもおすすめです。飼料にもよりますが脂ののりが少なくさっぱりとした癖のない味わいです。

ニジマスの塩焼き

焼いても身が硬くならないのがニジマスの特徴です。塩焼きは昔からニジマスの定番の食べ方で、小型のまだ身の白いものも塩焼きは美味しいですし、大型のものは切り身にしていただきます。

ニジマスのフライ

フライは小型のニジマスを丸のままフライにすると小骨も気にならず、骨ごと余すことなく食べることができる上、カルシウム摂取にも効果があがります。

ニジマスを美味しく料理して食べよう

ニジマスはもともと日本にいた魚ではなく外来種だったのですね。病気に強く美味しい魚なので養殖産業が盛んになり、本来のニジマスより大きな品種に改良されたり、海面養殖も盛んなようですが、品種改良のされすぎや本来のニジマスの生態系について国は頭を抱えているようです。しかし、定番の塩焼きもフライも美味しいニジマス。養殖ものの成魚は寄生虫の心配もなく、身肉は見た目もきれいなサーモンピンクなので、刺身に料理しても美味しいくいただけます。ニジマス!美味しく料理して堪能しましょう。