2017年12月18日更新

食品添加物キサンタンガムの毒性

コーンスターチ

キサンタンガムは、増粘剤や安定剤として食品に添加されています。また、食品の他にも化粧品、洗浄剤、農薬、塗料など幅広い分野で使用されています。原料が細菌であることから、人体への影響が気になるところですが、特に強い毒性や危険性はないようです。

  1. 目次
  2. キサンタンガムとは。原料は細菌(バクテリア)?
  3. キサンタンガムの毒性
  4. 食品添加物としての用途や使用されている食品

キサンタンガムとは。原料は細菌(バクテリア)?

キサンタンガムは、トウモロコシなどのデンプン(コーンスターチ)を、キサントモナスという細菌を使い発酵させることによって作られる、天然の高分子多糖類です。成分は、グルコース、マンノース、グルクロン酸などの3種類の糖類からできていて、粘性があります。水にも溶け、酸や塩、熱、低温、酵素などにも耐性があるため、用途は幅広く、食品や化粧品などに使用されています。

ちなみにキサンタンガムは英語でXanthan gumと書きます。

成分の3種類の糖類はブドウ糖などの炭水化物で、これを細菌で発酵させることで得た天然のゴム質のものがキサンタンガムです。発酵に使う細菌は、植物の葉が黒く変化して枯れていく黒腐病や草木がなえてしぼんでしまう萎凋(いちょう)の原因となる病原菌です。キサンタンガムは分子が大きいので優れた粘度があります。

その性質を利用し、キサンタンガムは食品にとろみをつける増粘剤などに使われます。また近年では、その粘度性を利用して食事の摂食や嚥下(えんげ)機能が弱くなった高齢者の食事を食べやすくすることにも利用されています。

これは刻むことで食べにくくなるキュウリや人参など、飲み込みづらい食品に加えると高齢者の摂食や嚥下機能に効果があるという研究報告が上がり、近年高齢者施設で老人の食事の改善に利用されることもあるそうです。

ちなみにこの高齢者の食事の改善に利用するという報告では、キサンタンガムを1.2%食事に添加すると高齢者にとっては口当たりがよい、なめらかな食べ心地であるなど総合的に良い効果があるようだと報告されています。

キサンタンガムの粘度性は、食品添加物だけではなく化粧品にもよく使われます。たとえばジェルや乳液のとろみに利用されます。化粧品に適度の増粘剤を配合することで、乳化と分散の安定性を高めてくれます。またしっとり感をだすほか、みずみずしさやさっぱり感を出す役目を果たしてくれます。

キサンタンガムの購入方法

食品添加物としてのキサンタンガムの購入は、残念ながら個人向けにスーパーやドラッグストアで販売しているところはほとんどありません。食品添加物(食用)として個人が購入できるのは、現在amazonや楽天のネット通販で購入することが可能です。

ジェルやクリーム、乳液、シャンプー、割れてしまったファンデーションを固めるなど、化粧品の増粘剤として購入するにも一般のスーパーやドラッグストアでは販売されていません。店頭販売を希望の場合はハーブとアロマテラピーの専門店「生活の木」などの自然化粧品の材料を販売している専門店、また東急ハンズやロフトのコスメコーナーで購入できます。ただし「生活の木」でも店舗によっては置いていない店舗もあるのでご確認ください。生活の木ではオンラインでも販売しています。そのほか楽天やamazonのネット通販にて購入することが可能です。

キサンタンガムの毒性

キサンタンガムは、微生物を原料として作られる物質ですが、毒性はなく基本的には安全性に問題はないとされています。

ただし、培養液に含まれるタンパク質によるアレルギーに少し心配が残ります。
法令ではキサンタンガムに含まれる窒素の量は1.5%以下と規制されていますが、タンパク質として換算すると約9%に相当するためです。

また、原料となるトウモロコシが海外で遺伝子組み換えのものを使用されている危険性もあります。トウモロコシは、日本での生産が少なく、ほぼ海外産のものを輸入しているのが現状です。一時期、遺伝子組み換え食品については騒がれた時期もありましたが、こうして原料部分で使用されて、形に残っていない状態で摂取するというのは、私たちの目に見えない部分なのでちょっと心配です。

その他、キサンタンガムは原料にデンプンが含まれることから、大量摂取することで肥満や糖尿病になるリスクがあると言われています。また、消化しづらい性質上、軟便や下痢などの症状を引き起こす可能性もあります。

食品添加物としての用途や使用されている食品

キサンタンガムは冷たい水にもよく溶ける上、乳化力もあり、温度が変化しても粘性が変わらないという特性があります。食品添加物としての用途は、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料が挙げられます。また、成分表示上、他の天然の多糖類と併用した場合は「増粘多糖類」の一括表示のみで良いとされています。

具体的には、ドレッシング、ソース、缶詰、プリン、漬物、スープなど、とろみや粘質、材料を均一に混合させるための乳化が必要になるような食品などに多く使用されています。また、高齢者や嚥下障害のある人のために作られている食品への活用もなされています。

現在、超高齢社会になりつつある日本にとって、今後とろみ食の需要がますます増える可能性があります。それに伴い、人体へのリスクの少ないキサンタンガムのような添加物の需要も増えてくるかもしれません。

【参考文献】
・キサンタンガムを添加したきざみ食の嗜好特性について https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshaku1991/14/2/14_2_50/_pdf
・レオロジー手法を活用した化粧品基材開発-新規水溶性高分子増粘剤の創出と感触の定量化- https://www.jstage.jst.go.jp/article/rheology/41/4/41_209/_pdf