2017年11月15日更新

バルサミコ酢とは?その効果や栄養、使い方について

世界には様々な酢がありますが、最近特に注目を浴びているのがバルサミコ酢(Balsamic Vinegar)です。
イタリア原産のバルサミコ酢は、その豊かな香りと甘酸っぱい味わいから、イタリアの美食家のみならず世界中の人を魅了しています。
今回はこの魅力あふれるバルサミコ酢について紹介します。

  1. 目次
  2. バルサミコ酢とは
  3. 原料は何からできている?カロリーや味は?
  4. 栄養や効能は?どんな使い方がある?

バルサミコ酢とは

バルサミコとは健康や若返りという意味の「balsamic」が語源とされ、その昔イタリア人は、バルサミコ酢は滋養のある調味料で、人々の健康を守り元気にするものとして重宝してきました。

バルサミコ酢の最も有名な産地はイタリアのモデナ地区で、モデナバルサミコ酢は伝統製法のものとそうでないものの2種類に分かれます。
まずは伝統製法のものから紹介していきますね。

伝統製法のモデナバルサミコ酢

伝統製法のバルサミコ酢は、煮つめたソースを肉料理と合わせて甘みを増幅させるなど、色々な食べ方があります。また、製造に多くの労力と時間を費やすことから数に限りがあり、価格は数万円以上と非常に高価です。

モデナ地区の伝統製法で作られたバルサミコ酢には、その証として伝統的なバルサミコ酢(Aceto Balsamico Tradizionale di Modena)の商標が付けられます。

もう1つのモデナバルサミコ酢

伝統製法でないバルサミコ酢とは、赤ワインに着色料や甘味料を使い伝統的な味に近づけたものを指します。

味は平坦で酸味が強く、コクが少ないため伝統的なものに比べると味は落ちますが、安価で大量生産が可能という利点があり、主にサラダのドレッシングとして多くの人に親しまれています。

イタリア以外ではこの2つの違いがあまり知られていないため、観光客などは数千円単位でこの種のバルサミコ酢を買って行く人が多いようです。
機会があれば本物を味わって、その違いを体験してみたいものですね。

原料は何からできている?カロリーや味は?

バルサミコ酢の美味しさの秘密は原料と製法にあります。
それでは伝統製法特有の香り高く豊かなコクは一体どうやって作られるのでしょうか。

厳選された原料とこだわりの製法

毎年秋になると、作り手の人たちはモデナ地区内の指定された葡萄の木(多くはトレビアッノという品種)から葡萄を収穫します。

実の選定を行なったあと、撹拌器にかけて潰し、水分だけをこしとります。そのあと鍋に移して約1日かけてトロ火で煮ます。煮つまって濃縮した果汁は、黄金色の液体となり木製の樽に貯蔵されます。

熟成期間中は味の再現をするのに、添加物は一切使わないという徹底ぶりで、定期的に種類の異なる木材の樽に詰め替え、濃縮果汁が木の香りと融合するのを待ちます。

品質保護のため、樽は清潔な白い麻布でしっかり栓がされ、ホコリやチリをシャットアウトします。
また、これは熟成が進むと樽は小さくなっていくことから、変形する樽に対応した密封方法であるともいえます。
このように長期間大事に見守られた果汁は、濃厚な味わいと芳醇な香りを持つ伝統的なバルサミコ酢へと変化を遂げます。

バルサミコ酢の味やカロリーは?

モデナバルサミコ酢のカロリーは100gあたり88.2kcalであり他の酢に比べるとカロリーは控えめです。
他の酢より酸味が優しくまろやかで、芳醇な香りと酸味の中に濃厚な甘みが感じられます。この甘みはワインビネガーなどが葡萄酒から作られるのに対し、バルサミコ酢は濃縮果汁から作られることや熟成期間が長いことが関係しています。

栄養や効能は?どんな使い方がある?

バルサミコ酢に限らず、お酢には胃腸を元気にして消化を助け、代謝を促進する効果があります。その結果、様々な生活習慣病を予防したり、体内バランスを整える優れものとして注目され続けています。

バルサミコ酢の栄養成分について

健康に良いと注目されているバルサミコ酢。栄養成分を詳しく見てみるとこんな成分が含まれています。健康のバロメーターとしてご参考にしてください。なお参考に挙げた栄養成分の数値は文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」準拠「食品成分表2017」に記載されている100g当たりの含有量です。

カロリー99kcal、タンパク質0.5g、炭水化物19.4g、ミネラル(ナトリウム29mg、カリウム140mg、カルシウム17mg、マグネシウム11mg、リン22mg、鉄0.7mg、亜鉛0.1mg、銅0.01mg、マンガン0.13mg、ヨウ素2ug、クロム5ug、モリブデン2ug)、ビタミン(B1は0.01mg、B2は0.01mg、B6は0.05mg、ナイアシン0.2mg、パントテン酸0.03mg、ビオチン1.4ug)、その他ブドウ由来のポリフェノール

*単位にいついて:1g=1000mg、1mg=1000ugです。

栄養豊富で健康増進効果も

バルサミコ酢は様々な成分を含んだ栄養価の高い酢であり、中でも非揮発性有機酸と糖分、アミノ酸、カリウムなどのミネラルが高いのが特徴です。これらの成分は葡萄酒とも似ていることから、料理の味の仕上げ以外にも薬としてや健康食品に使われています。
ではバルサミコ酢はどんな病気に効くのか見ていきましょう。

  • ビタミンとミネラル:貧血予防とコレステロールを下げます。
  • タンパク質の酸化抑制:善玉コレステロールの割合を増加させ、血行を良くし冠状動脈性心疾患を予防します。
  • 抗酸化作用:細胞を新しくするため抗がん作用や血栓予防、アンチエイジングにも効果があるとされています。
  • ポリフェノール:動脈効果を予防し、血管壁の通過性を良くします。
  • タンニン酸:虫歯予防や放射能汚染から体を守ります。

バルサミコ酢の効能について

バルサミコ酢の栄養成分の特徴にはブドウ由来の色素や苦み成分であるポリフェノールが豊富なことと、ミネラルの中でも特にカリウムが豊富に含まれていること、またクロムやモルブデンという栄養成分が含まれていることがバルサミコ酢の栄養の特徴です。その栄養成分からバルサミコ酢の効能は抗酸化作用が強くその効果に期待されています。

ポリフェノールの効能

ポリフェノールとはほとんどの植物に含有されている成分で、その数は5000種類にも及ぶと言われています。

バルサミコ酢に含まれているポリフェノールは、ブドウ由来のポリフェノールで、その効能は優れた抗酸化作用が特徴です。たとえば血液の流れをよくする作用から脳血栓や動脈硬化の予防に期待されているほか、コレステロールを抑制してくれるので高血圧など生活習慣病の予防に効果があると言われます。

カリウムの効能

カリウムは利尿作用を促し体内の余分なナトリウムの排出してくれる働きがあります。ナトリウムが腎臓に再吸収されるのを抑制して尿として排出される効能は、むくみを解消してくれるほか、高血圧の予防にも効果が期待されています。

カリウムはエネルギーを高める作用もあります。そのため体内でカリウムが不足してしまうと筋肉の動きが弱まり体力不足になってしまいます。たとえば夏に大量の汗をかくと、カリウムが汗を通じて体外に排出されてしまい、体力が落ちてしまい、これが原因で夏バテしてしまうのです。

しかしながらカリウムと尿や汗によって排出されるナトリウムは、互いにバランスを保ちながら体内の物質の代謝や調整をしているミネラルなのです。そのためこの二つの成分は非常にバランスの大事な成分でもあるわけです。

クロムの効能

クロムは糖質や脂肪など、エネルギーの代謝に作用する栄養素です。

たとえば膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンを活性化して血糖値をコントロールする効能があります。そのため糖尿病の予防に効果が期待されているほか、中性脂肪やコレステロールを抑制してくれるため生活習慣病の予防に効果があると言われます。インスリンの活性化と脂肪の燃焼率を上げてくれる作用からダイエットにも効果があると言われます。

モルブデンの効能

モルブデンとはあまり聞きなれない栄養成分ですがミネラルの一種類です。バルサミコ酢のほかにたとえば大豆や納豆、豆乳、小豆などに含まれているミネラルです。モルブデンはその物自体が作用するというより、ほかの成分の補助的な存在として作用します。たとえば銅とともに鉄分の作用を促す効能から貧血の予防に効果が期待されています。

使い方いろいろ!アレンジ方法について

バルサミコ酢と砂糖をフライパンで煮詰めるだけで、濃厚サラダドレッシングソースの完成です。このソースはスープや肉の煮込み料理のトッピングにも使えますし、調理前の肉を漬け込めば下味としても使えます。
他にはソーセージに添えたり、スペアリブ、卵料理、焼き魚、新鮮な果物(イチゴや梨がおすすめです)に少量かけると風味が増します。
消化促進のために、毎食後スプーン1杯程度を直接食べるのもいいですね。

これまであまり馴染みがなかったという人も、バルサミコ酢で美味しく健康な毎日を送ってみてはいかがでしょうか。

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