2017年9月29日更新

イシダイってどんな味?イシダイの美味しい食べ方

イシダイ(石鯛)

水族館では白黒の縞模様でおちょぼ口がかわいいイシダイが子供たちの人気のようです。磯釣りファンには引きが強い魚だとこれまた人気です。そこで今回はこのイシダイの味や食べ方を調べました。噂される食中毒についても見てみましょう。

  1. 目次
  2. イシダイは脂がのっていて旨みが強い
  3. イシダイの食べ方はこんな料理がおすすめ
  4. イシダイの食中毒について
  5. イシダイを美味しく食べよう

イシダイは脂がのっていて旨みが強い

イシダイ(石鯛)

イシダイはスズキ目の魚で真鯛の親戚のような魚です。お刺身にすると見た目は真鯛に似ていますが、口にするとイシダイと真鯛の食感は歴然に違います。イシダイの成魚は全長が50cmほどの大きさがあり、上下の顎にはしっかりとかみ合わさる歯が生えているせいか引きが強くて磯釣りファンには人気の魚です。老成になると口の回りが黒くなることから「クチグロ」と呼ばれます。全長70cm、重さ7kgほどもある大物でクチグロを釣り上げた釣り人は自慢のネタにするそうです。しかし老成や大型のイシダイは本来のイシダイより味が落ち中毒の危険もあるので食用には向きません。イシダイを美味しく味わうには全長が35~40cmくらいの大きさに成長したものが一番おいしいと言われます。

イシダイは皮目の磯の香りに注目

イシダイの成魚は白身で皮目の部分は少し磯の香りを感じます。鮮度がいいものはこの香りもイシダイの特徴としていい風味と感じますが、鮮度が落ちてくると鼻につく磯臭さとなり嫌な臭いに感じてしまいます。鮮度の良いものは香りが高く程よい旨みと後味に甘みを感じる味わいです。白身魚にしては脂がのっており旨みが強い魚です。

刺身など生で味わうとしっかりと身が硬く食感の強さを感じます。焼くなど熱を通すと「魚なのか?」と思うほどさらに身がしまります。イシダイは身肉だけではなくアラからもいい味のだしがとれ、身肉もアラも無駄なく美味しく味わえることができます。

イシダイの食べ方はこんな料理がおすすめ

イシダイの食べ方は刺身、洗い、寿司、塩焼き、煮つけ、アラ汁やみそ汁など和風で味わうほか、カルパッチョや皮をカリッと焼いたポワレなど洋風に料理しても美味しくいただけます。

煮付け

イシダイは白身で癖のない味なので、煮付けにすると旨みや甘みがでてさらに味がよくなります。生も状態でも身がしまっているのが特徴ですが、煮るとさらに身がしまり、カレイの煮つけのような柔らかい食感ではありません。漁師や磯釣りファンは小さいイシダイが釣れるとうろこと内臓を取って酒、しょうゆ、砂糖、みりん、おろししょうがなどでまるごと煮魚にしてイシダイを食べるそうです。

塩焼き

イシダイを塩焼きにすると身が硬くなるので、ふっくらした焼き魚を好む方には口に合わない料理かもしれません。しかしイシダイのカマは脂がのっており、旨みもあるので塩焼きにして食べると美味しいです。脂がのっていますが身が締まっており、魚というより鶏肉を軟らかく焼いたような食感だとたとえられています。

お刺身

イシダイの刺身の特徴は身がしまっていて歯ごたえがあることです。刺身にした見た目はマダイの刺身に似ていますが、食べてみると食感が違い、真鯛との違いがはっきりとわかります。イシダイは血合いの色もきれいで、白身ですが思いのほか脂がのっていてほんの少し磯の香りを感じます。普通の刺身のようにワサビ醤油でいただくほか、脂がのっているので塩とカボスを振って食べるのも美味しい食べ方です。生で食べる場合は刺身のほかオリーブオイルやビネガー、スダチやカボスと相性がよいのでカルパッチョにして食べるのもおすすめです。

イシダイの食中毒について

磯釣りファンは60㎝を超えるような大型のイシダイや老成の70cmほどもあるクチグロを釣り上げると自慢の1匹となるようです。しかし大型のイシダイや老成のクチグロはシガテラ毒という毒を持っていることがあるので食用にするときは注意しなければなりません。

シガテラ毒とは

シガテラ毒とはかつて南の暖かい海域の魚が持つ毒でシガテラ毒による食中毒が心配されました。しかし近年地球の温暖化や環境破壊の影響で南の諸外国だけではなく日本でもシガテラ毒による食中毒が問題になっています。そもそもシガテラ毒はその魚自体が持っている毒素ではなく食物連鎖により魚の体内に蓄積される毒素なのです。

たとえばサンゴ礁域の熱帯低気圧や大規模はリゾート開発または船舶が浅瀬に乗り上げてしまったことで、サンゴ礁が破壊されその時に発生した単細胞の藻類である渦鞭毛藻(うずべんもうそう)によって作り出された毒だと言われ、これを食べた小魚を大きな魚が食べ、その魚を人間が食べることでシガテラ毒に侵されて食中毒が発症すると言われています。食物連鎖によって人間におよぶ食中毒なのです。

シガテラ毒は熱に強いので普通の加熱調理では死滅しません。予防は大型や老成のクチクロを釣りあげ食用にする時は、さばく時に内臓を破らないよう気を付けて取り出し、しっかりと腹の中を水で洗うようにすることですが、大型のイシダイやクチクロはシガテラ毒を持っている心配があるほかに、味も落ち美味しくないので、上手にさばく自信がなければまずは食べないことが予防の必策です。

シガテラ毒による食中毒の症状

シガテラ毒で食中毒にかかった場合、その症状は吐き気、下痢、腹痛が数日~約1週間続くほか、不整脈や血圧低下、めまい、頭痛、温度感覚の異常(冷たさに敏感になる)などの症状が出ます。このような症状が出た時は専門医を受診しなければなりませんが、シガテラ毒の食中毒は効果的な治療法がまだありません。神経系にダメージを与えるので回復はほかの食中毒より遅いです。完全に回復までに半年~1年かかる場合もあります。

イシダイを美味しく食べよう

イシダイは魚にしては好奇心旺盛な性格なので海の中でダイバーに見つけられても逃げなで写真なんかを撮らせてくれるそうですよ。おチャボ口で縞模様も綺麗な魚です。上下の顎にはしっかりと歯が生えているせいか、磯釣りマニアからは引く力も強く釣り上げると大きさも楽しめるので釣り魚でも人気です。

その味わいはご紹介してきたとおりで、弾力があり食感を楽しめる魚です。しかし釣りに行かれて大物を釣り上げてしまったときは、シガテラ毒による食中毒も心配されますので、内臓を取り出すときはご注意くださいね。美味しい大きさは35~40cmくらいのイシダイだそうです。イシダイ!美味しく召し上げってください。