2017年9月29日更新

コノシロとはどんな魚?コノシロの美味しい食べ方とおすすめの料理

コノシロ

コノシロという魚をご存知ですか?あまり聞かない名前の魚ですよね。関東ではシンコとかコハダというとお寿司屋さんで人気のネタです。実はコノシロはシンコやコハダの成魚なんです。コノシロ!どんな魚なのかさっそく調べました。

  1. 目次
  2. コノシロとはこんな魚
  3. コノシロの美味しい食べ方とおすすめ料理
  4. 出世魚のコノシロ!美味しく食べよう

コノシロとはこんな魚

コノシロ(鰶)

コノシロはニシン目ニシン科の魚です。西太平洋の駿河湾、伊勢湾、三河湾や瀬戸内海、東シナ海沿岸に続く九州北西部の有明海、日本海の南部などの内湾や河口の汽水域に生息しています。同じニシン目のニシンやイワシのように海の中を大きく回遊はしませんが、ニシンやイワシと同じ仲間です。日本では関東や兵庫県の瀬戸内海地域、熊本県などで好んで食べられています。

体は笹の葉を左右に付けたように平たく背の上が青緑色をしています。腹にかけて全体が銀色をしており、関東では光ものとか青魚などと言われています。白身でさっぱりとした味で旬の時期は脂がのり美味しい魚ですが、小骨が多いので酢じめにして味わうことが多いようです。

コノシロという名は

コノシロを漢字で書くと魚へんに祭と書いて「鰶(コノシロ)」もしくは「子代(コノシロ)」と書きます。コノシロという名の由来はいろいろな説があり、その一説には祭りのときに食べる魚であったため魚へんに祭という字を付けて「鰶」と書くという説。また古典文学「慈元抄」からは、昔、長者の娘が有馬の皇子の子を宿してしまったけれど、その時娘にはすでに常盤の国司という別の人との結婚が決まっていたため、困り果てた長者がこの魚を棺桶に詰めて焼き、「娘は死んでしまった」と火葬を見せかけて常盤の国司に釈明したことから、娘の身代わりにした魚という由来で「子代」と名前が付いたという説もあります。

ちなみになぜコノシロが棺桶に詰められたかというと、この魚は焼くと臭くて人間が焦げたような臭いがするというので、娘の火葬の代わりに使われたと言われます。現代では美味しく食べられているのに、名前の由来にはこんな説があったとは面白いですね。

なんとコノシロは出世魚!

コノシロという名の由来はいろいろな説がありますが、コノシロは稚魚の時はシンコと呼ばれているのです。ブリやスズキと同じように成長段階に応じて名前が変わる出世魚なのです。昔、武士が元服したときや学者が出世したときに改名する習わしがあり、それになぞられて成長するごとに出世するように名前が変わる魚の一種です。

稚魚は4~5cmくらいの大きさで「シンコ」と呼ばれ、7~10cmの若魚は「コハダ」、12~13cmくらいに成長すると「ナカズミ」、そして成魚の「コノシロ」は15cm以上の大きさから大きいものは30cmくらいの大きさに成長します。地方によって成長過程における呼び名が違い、それぞれの土地で親しまれています。たとえば愛知県では「シナシ」「シンコ」「コウトウ」「オオイタ」と呼ばれ、瀬戸内海方面では「ツナシ」「ツナセ」などという名で呼ばれています。高知県では「ドロクイ」「ジジャコ」などとも呼ばれています。旅先でのメニューの見方の知識として覚えておくと便利ですね。

よく聞く魚のコハダとの違い

これまで説明してきたようにコハダはコノシロの若魚の時期の呼び名です。江戸前寿司では季節を感じさせてくれる魚と人気です。コノシロは小骨が多い魚なので、まだ若く小骨が柔らかいコハダは刺身や寿司など生で食べるのが好まれますが、小骨が気になるコノシロも料理の仕方で美味しく堪能されます。

コノシロの旬はいつ?

出世魚のコノシロは成長過程によって旬の時期が違います。稚魚のシンコは7~8月、若魚のコハダは8~9月、成魚のコノシロは11月~2月が最も美味しく、市場にもたくさん出回り価格も安くなります。

コノシロの美味しい食べ方とおすすめ料理

コノシロは白身で旨みのある魚です。小骨が多いのですが調理に工夫して料理すると美味しく味わえます。酢じめにすることが多い魚ですが、その酢じめも関東では生酢、関西は甘酢というように地方によっての好みがあるようです。料理法は生で食べるほか、煮つけ、塩焼き、ソテー、唐揚げ、天ぷら、潮汁などにしていただきます。

美味しい!コノシロの唐揚げ

コノシロを唐揚げで食べる場合は成魚より稚魚のシンコを使うと柔らかく美味しくいただけます。シンコに塩・こしょうし、片栗粉をまぶしてカラッと揚げます。外はカラッと身は柔らかい唐揚げです。小骨も全く気にならず、子供のおやつにそしてビールのつまみに最適といわれます。

<ポイント>
揚げる油の温度は180~190℃。高温で短時間で揚げるのが美味しく上げるコツです。油の温度の見方は水に溶いた粉を油の中に落とすと途中まで沈んですぐに浮いてくる状態が170~180℃の油の温度です。木の菜箸を使っている場合は菜箸を油の中に入れたとき、箸の全体から細かい泡がジュワジュワ出てくる時が180℃くらいの温度です。

コノシロの刺身

コノシロを刺身に調理するときは、水洗いしたコノシロを三枚におろします。皮をひいて腹骨をすきます。小骨もできるだけ取りましょう。そのあとできるだけ薄く(0.5mmくらい)きります。

<ポイント>
薄く切ったあと仕上げに氷水で洗うと臭みも取れ身もしまります。わさび醤油または生姜、ポン酢、ネギを合わせたものでいただくと美味しいです。

コノシロの酢じめ

コノシロを酢じめにするときはシンコやコハダを使います。シンコやコハダのうろこ、頭、内臓、尾を取りよく水洗いします。腹を開いて腹骨をそぎます。そして塩を多目に振って冷蔵庫で半日から1日寝かせます。時間が経ったら塩と酢を1対1で作ったものの中につけて冷蔵庫で半日から1日寝かせれば出来上がりです。漬け込む酢は酒、酢、塩、砂糖を入れたものを一煮立ちさせて冷やしたものを使うとなお美味しいです。

<ポイント>
シンコやコハダの水気はその都度キッチンペーパーなどでしっかり取ってから塩を振ったり、漬け酢に漬けましょう。シンコはコハダより、またコハダでも小さいものは漬け込む時間を短くしたり調整してください。漬け込む酢の分量はお好みで加減してください。漬け込む酢の量はコハダ10匹に対して100ccくらいの量が目安です。

コノシロの塩焼き

コノシロを水洗いして皮目に細かい切れ目を入れます。そして塩をふり1時間以上冷蔵庫で寝かせます。時間が経ったらじっくり焼き上げます。焼きあがったコノシロは皮が香ばしく脂がよく出てとても美味しいです。

<ポイント>
コノシロは青魚で臭みが強いなので塩を振った後は長めに寝かせるのが臭みを消し、焼き崩れしにくくなるコツです。グリルで焼く場合はあらかじめグリル内を強火で熱しておきましょう。加熱しすぎず水分を飛ばさないように焼くためには中火で短時間に焼き上げるとよいです。

出世魚のコノシロ!美味しく食べよう

コノシロは江戸前寿司ではおなじみのコハダやシンコの成魚だったのですね。成長段階によって呼び名が変わる出世魚であるコノシロの旬な時期は、魚の成長によって違い、それぞれ季節を感じさせてくれます。コノシロは関東ではシンコやコハダの時期が好まれているようですが、成魚になったコノシロも旨みの多い美味しい魚です。ぜひ美味しく調理してコノシロを堪能してください。