2017年6月6日更新

中華料理でよく使われる紹興酒とは?違うもので代用するには?

紹興酒

世界3大醸造酒はビール、ワイン、そして紹興酒です。
本場中国では、紹興酒こそが国内の醸造酒の集大成であると称えられるほど、非常に人気のあるお酒です。今回はそんなたくさんの美味しさの秘密がつまった紹興酒について紹介します。

  1. 目次
  2. 紹興酒とは
  3. 紹興酒はどんな味?効能は?
  4. 紹興酒の選び方や代用食材

紹興酒とは

あまり知られていませんが、紹興酒は1つではなく、産地によっても呼び名や特徴が異なります。
有名なものに、元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4つが挙げられます。中でも元紅酒は、醸造で用いる甕の表を朱色に塗ったことから名づけられ、紹興酒の中でも最も歴史が長く、最も広く普及した糖度の低いお酒として有名です。

紹興酒の原料

原材料は精米されたもち米を使います。古くから中国では、品質は重点をおかず、色々な材料から低級なお酒が作られてきましたが、紹興酒は昔から高級なもち米と決められています。
その年に収穫した新米で、米粒が真っ白で太っていること、また味がよく雑味のない良質のもち米だけが選りすぐられます。

紹興酒の作り方

製造工程は古くから伝わる伝統製法にこだわって進められます。
生産時期を決めるのは暦(こよみ)であり、農暦の「小雪」に麹のタネを作り始め、「大雪」にもち米と合わせて発酵させます。翌年の「立春」に発酵してできたものを沸騰させて甕に入れ、封をしたらこのまま1-3年の貯蔵期間を経て製品となります。

醸造時使われる水にも規定があり、紹興酒には必ず鑒湖(かんこ)の水を使います。鑒湖とは後漢時代に作られた人工の湖であり、底が見えるほど透き通っていることでも有名です。
溶存酸素が高く、生物が排出する有機物が少ないなどの優れた点があり、山から流れ出る水や雨水からの供給量が非常に多いのが特徴です。このため、年間約47回、平均して7.5日に1度の割合で湖全ての水が入れ替わる計算となり、決して水が腐ることがありません。

どんな味?効能は?

調理などで少し入れる程度の紹興酒、あまりそのまま飲む機会はないかもしれません。
一体どんな味がするのでしょうか。

紹興酒の味とは

甘み
紹興酒のほのかな甘みの秘密は、製造工程において、米と麹が酵素で分解されてできるブドウ糖、麦芽糖などの8-9種類の糖類によります。ほかにも、発酵過程で発生する甘みとして、アミノ酸や2,3-ブタンジオール、グリセロール、そして多価アルコールといった濁り成分などが挙げられます。
これらの成分は甘みのほか、まろやかな口あたりや芳醇な香り、すっきりと広がるあと味を作り出します。

苦み
味覚の中でも特に感じやすく、長く口に残りやすい味であり、決して心地よいものではありません。しかし紹興酒でいうところの苦みは、発酵過程で作られたアミノ酸やチロソール、アンモニア類によるものや糖分由来のカラメルの味が主になります。そのためほどよい苦味ということができ、さわやかな飲み口と他にはない風味を与えてくれます。

酸味
味全体に厚みをもたせ、甘みを押さえる作用があります。
紹興酒には乳酸やコハク酸、酢酸をベースとした有機酸が10種類含まれています。これらはもち米や麹によるものですが、多くは発酵過程で発生する代謝産物からなり、口の中に広がるふくよかな味を生み出します。
酸味が足らなければ淡白なつまらない味になり、多すぎれば口を刺すような雑な味になります。この絶妙な成分バランスが、美味しさを決めているんですね。

紹興酒にはどんな効能がある?

冷えを取る
毎食100-200mlを目安に飲むと、血の巡りを良くし、体の冷えとりになります。昔から、冬に風邪予防に飲まれます。

心臓の血管を守る
ミネラルは内臓や筋肉を構成に欠かせないほか、生理機能を正常にするために欠かせないものです。紹興酒にはカルシウム、マグネシウム、カリウム、リンをはじめ、鉄、銅、亜鉛、セレンといった微量元素が18種類も含まれています。
これらは心臓の血管や筋肉を保護し、動脈硬化や心臓疾患への予防効果を発揮します。

アンチエイジング
紹興酒は、お米由来の糖分が大量に含まれているため、カロリーが高く、飲みすぎると肥満の原因になります。しかし適量であれば、血液循環や新陳代謝を促してダイエットに利用することができます。他にも体内で増えすぎた活性酸素を除去して細胞を若返らせ、免疫力を回復します。

臭みや脂っこさを取る
肉魚料理と合わせれば、食材の臭みが温められたアルコールの中に溶けだし、蒸発すると同時に消えてくれます。紹興酒の持つ香りは、さまざまな食材に調和して美味しさを引き立てます。

紹興酒の選び方や代用食材

本場紹興の人々は、紹興酒を少しずつゆっくりと飲みながら、つまみにピーナツの塩茹でや、ウイキョウ豆、鶏肉の煮込み、川魚の塩漬け、蟹など、食べるのに手間と時間がかかる料理をあえて組み合わせます。これには食材をゆっくり噛んで飲み込みながら、紹興酒の濃厚な味を楽しむという意味があります。
では、紹興酒はどんなものを選ぶと良いのでしょうか。

こんな紹興酒を選ぼう

黄褐色から赤褐色で、少しの沈殿物はあっても問題なく、全体的に透明感のあるものが良質な紹興酒です。あとは産地やブランド名、糖分含有量などをもとに、自分の好きな味を探すようにすると良いでしょう。

料理の時は何が代わりに使える?

そのまま飲むのなら消費は早いですが、料理で必要になる場合もありますよね。
残念ながら、紹興酒の風味を他の調味料で表現することはできません。
他の食材や調味料の味を邪魔しないという目的で使うなら、紹興酒と同じ醸造酒である日本酒が一番適していますので、そのまま同量を置き換えると代わりに使うことができますよ。

長い歴史をかけて洗練された、紹興酒の奥深い味をあなたもぜひ体感してみてください。