2020年3月10日更新

次亜塩素酸ナトリウムの危険性と有効性

次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウムは、化学薬品として水道やプールの殺菌や家庭で使用する塩素系の漂白剤や殺菌剤などにも使用されているだけでなく、食品添加物としても野菜や果物などの消毒や殺菌にも用いられています。

  1. 目次
  2. 5%に希釈しても危険な次亜塩素酸ナトリウム、その毒性は?
  3. カビなどの消毒には非常に有効
  4. 残存しなければ食品添加物として使用可

5%に希釈しても危険な次亜塩素酸ナトリウム、その毒性は?

一般的に市販されているハイターなどの家庭用塩素系漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は約5%です。消毒対象物により消毒液の濃度は水で薄めて希釈して用います。

次亜塩素酸ナトリウムが主成分である塩素系漂白剤は、数100倍程度に薄めたものでも直接手で触れると皮膚がただれる恐れがあります。誤って飲んでしまった場合、口や喉の粘膜組織を荒らし、ただれて痛みが出るだけでなく、吐き気や嘔吐も起こします。原液や濃度の高いものが眼に入ると失明する危険性もあります。

また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸や酢、クエン酸などの酸性の強い物質と一緒に使用すると有毒な塩素ガスが発生し、死に至る場合があります。使用する際は換気や使用量を守り、十分注意して使用する必要があります。

カビなどの消毒には非常に有効

ノロウィルスやロタウィルスなどの感染症やカビに対して、次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒は非常に有効です。

次亜塩素酸ナトリウムが配合されている塩素系漂白剤は希釈して使用しますが、濃度が濃いほど効果は高いです。ただし、皮膚に対する刺激が強く消毒した床や調理器具なども腐食や変色する場合があるので、適切な濃度で使用します。

主な用途別の希釈濃度

  • 床やトイレなどをノロウィルスにかかった汚染物を拭く場合:次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1,000ppm)に希釈した消毒液で拭いた後、10分ほどおいてから水拭きする。
  • 調理器具や直接手に触れる物の場合:次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)に希釈した消毒液に10分ほど漬けてから水で濯ぎます。

新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(厚生労働省発表)

ここでは食品添加物としての次亜塩素酸ナトリウムについて記述しています。
新型コロナウイルスへに対する対処法は厚生労働省のサイトをご参照ください。

0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(薄めた漂白剤)で拭いた後、水拭きするか、アルコールで拭きましょう。トイレや洗面所の清掃をこまめに行いましょう。清掃は、市販の家庭用洗剤を使用し、すすいだ後に、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用消毒剤を使用します。

厚生労働省発表:新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)

0.05%の濃度にするには

ちなみに普通に販売されている漂白剤の濃度は5%~6%です。これを使用して0.05%の消毒薬を作る場合は、水500mlにペットボトルのキャップ1杯(5ml)になります。

大量に作る場合は、2Lの水に漂白剤のキャップ1杯(20ml)となります。

作業の際はゴム手袋を使ったほうがよいと思います。

残存しなければ食品添加物として使用可

スーパーやコンビニなどで売られているカット野菜やサラダは、野菜をカット野菜に加工する際、水で希釈した次亜塩素酸ナトリウムの消毒液で洗浄します。
これは野菜に付着する虫や菌への殺菌剤としての効果やカットした野菜の変色防止の漂白剤としての目的で使用されています。

食品添加物はパッケージに表記する義務がありますが、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸けたカット野菜は消毒した後、水で洗浄するため、パッケージに表示しなくてもよいとされています。

カット野菜のように殺菌などを目的として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いる場合、残存しなければ食品添加物として用いることができますが、ゴマへの添加は禁止されています。

次亜塩素酸ナトリウムには漂白剤としての効果があるため、黒ゴマを漂白して黒ゴマより高価な白ゴマと謳わないように規制しています。
以前、黒ゴマを次亜塩素酸ナトリウムで漂白し白ゴマとして販売されたことが実際にあったためです。