2016年10月19日更新
滅菌作用のある過酸化水素とは?
食物についている雑菌を殺したり、減らしたりする「滅菌作用」がある食物添加物のひとつとして、過酸化水素が挙げられます。子供が5%の溶液を15~30ml飲むと死亡するというレポートもあり、食物に対する使用に関して懸念の声も見られます。果たして、本当に食物の滅菌に使って大丈夫なのでしょうか。
過酸化水素とは
過酸化水素とは強い滅菌効果をもつ物質であり、その溶液は「オキシドール」という名前で傷口の消毒にも使われていました。理科の教科書に出ていた、レバーにかけると酸素が発生する液体です。
その過酸化水素はカビや細菌の発生を防ぎ、食物の保存性をよくするための殺菌剤、あるいは食物の色を抜いて美しく見せるための漂白剤としても使われているのです。
例えば、コンビニやスーパーで売られているカット野菜やサラダの殺菌、お正月のおせち料理に入っている数の子の血筋の漂白などにも使われています。
ただし、過去に黒ゴマを過酸化水素で漂白し、白ゴマであると偽装して販売されたことがあるため、ゴマに対しての利用は認められていません。
過酸化水素の滅菌効果
過酸化水素の強い滅菌効果は、数々の食品で起こりうる食中毒を防ぐのに一役買っています。
もちろん、滅菌剤を使うことにより食物のロスが減る、スーパーやコンビニにおいて安定した商品の供給ができるなどといった長所もあります。しかし、人体に有害なものなのではないかと疑いをかけられ、特に食物に使われている場合、どうしても敬遠しがちになってしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、実はそんな心配は不要なのです。
過酸化水素は、食物の殺菌に使っても最終的にはほとんど残らないようになっているのです。ですから、スーパーやコンビニで売られているカット野菜の殺菌に使われていたとしても、店頭に並んでいる時点では人体に影響を及ぼすほど含まれていないことになります。
過酸化水素の食品添加物としての用途
過酸化水素は、食品添加物として使用した場合、最終的に出荷する食物には残らないよう十分に洗浄することが義務付けられています。
このような食物添加物は「加工助剤」扱いとなり、原材料名一覧への表示が免除されています。食品のパッケージの裏面を見ても、「過酸化水素」という文字を見かけることは少ないはずです。
しかし、過酸化水素は、食物に含まれているビタミンを破壊したり、でんぷんを変化させたりする効果も併せ持っています。つまり、添加物によって食物内の成分が変化するというようなことも起こりうるわけです。
成分の変化が起きている可能性があるのに食物に使われたことが消費者に伝えられていないのは少し考えものかもしれませんが、食物を通じて直接的に摂取してしまうことはないため極度に心配することはありません。