2017年5月24日更新

注目すべきは脂肪酸!ヤシ油は体に悪いといわれる原因とは?

ヤシ油

最近、植物由来の油が健康に良いといわれますが、中でもヤシ油は一大ブームを巻き起こしました。
ヤシ油とはココナッツオイルのことであり、食べると免疫力を高めたり、甘いものへの欲求を抑える作用があります。体に悪いことなどあるのでしょうか。

  1. 目次
  2. ヤシ油とは
  3. ヤシ油の食べ方
  4. 体に悪いといわれる原因は飽和脂肪酸
  5. パーム油との違い
  6. ヤシ油の食用以外の用途とは

ヤシ油とは

ヤシ油は世界で1番健康的な油とされ、フィリピンでは「瓶に入った薬局」とも呼ばれるほど。
インドでも昔から薬として使われていたようです。

ヤシ油とは、ココヤシの胚乳からとれる黄色がかった白色をした油です。この胚乳部分は65%-74%が脂質で、水分はたったの4%-7%。島や大陸の沿岸部に多く群生しています。

ヤシ油は日常の食べ物で唯一の中鎖脂肪酸からなる油で、新陳代謝を高めてくれることでも有名です。
ちなみに中鎖脂肪酸とは、分子結合の長さが中くらい長さの飽和脂肪酸を指します。(飽和脂肪酸にはほかに短脂肪酸と長鎖脂肪酸があります。)
この中鎖脂肪酸の最大の特徴に体に吸収されやすく、消化の際にインスリンを必要としないため、体内酵素を消費せずホルモン系統に負担が少ないことが挙げられます。

ヤシ油の食べ方

食べた時の効用が大変高いため、以下のような方法で食べられています。

直接飲む

毎食後30分前に15ml程度飲むと、胃腸の調子整えて新陳代謝促進し、抵抗力を高めるなどの効用があります。

オーブンを使う料理に

高温でも変質しないため、パンやケーキを焼く際にバターやサラダ油の代わりとして使えます。

和え物などに

ヤシ油は果物やサラダなどの葉物野菜によく合います。ほんのりココナッツの香りと爽やかや口当たりが料理の味を引き立てますよ。

炒め料理などに

炒め、焼き、煮物、そのどれもに使えます。加熱してもヤシ油の栄養はそのままなのが嬉しいですね。

スープに

火鍋など煮込み料理のトッピングに使うと栄養価も高く、香り豊かで美味しさもアップします。

飲み物に

コーヒーやジュース、蜂蜜、ミルクティー、何でも合います。お湯にひと匙溶かすだけで、体力増強や集中力を高める作用があるんですよ。

体に悪いといわれる原因は飽和脂肪酸

上に紹介したヤシ油の効用はすべて飽和脂肪酸によるものであり、ヤシ油は植物性油脂よりも飽和脂肪酸が多く含まれます。このことが体に悪いといわれる原因です。

バターやラード同様、ヤシ油は常温で固形をしており加熱することで液体に変化します。常温とほとんど変わらない体内では、液体になったヤシ油は再び凝固するため血栓や心臓疾患のリスクがあります。一部の学者の間では控えめに摂る方が良いという声も。
ほかにも専門家はこう指摘します。ヤシ油は善玉コレステロールを増やしてくれるものの、不飽和脂肪酸を多く含むキャノーラ油やひまわり油、大豆油、オリーブオイルが心臓血管疾患リスクを軽減する効果に比べると、微々たるものだということです。

パーム油との違い

植物油の中で世界での生産量、消費量そして国際貿易量最大の品種です。大豆油、菜種油に並んで世界三大植物油と呼ばれ、その歴史は5000年以上とも。
一見原料が同じに思われますが、ヤシ油との違いはどこにあるのでしょうか。

パーム油の成分

ヤシ油が大きなココヤシからとれるのに対し、パーム油は卵ほどの大きさのアブラヤシ(パームヤシ)の果肉を圧搾してできます。
さらにアブラヤシの種からはパーム核油という別の油がとれます。伝統的な考え方では、パーム油は果肉からとれた油のみを指します。
パーム油は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスがとれており、約44%のパルミチン酸をはじめ5%のステアリン酸、10%のオレイン酸そして0.4%のリノレン酸からなります。
他の植物油と同じようにコレステロールゼロで、抗酸化作用や抗がん作用、コレステロールを下げる作用など、体に嬉しい効果がたくさんあります。

他に特徴は

東南アジアとアフリカが中心となり世界の総生産量の88%を占めます。中でもインドネシア、マレーシア、ナイジェリアが主要な生産国です。
パーム油は常温では半固形状であり、固さや融点は遊離脂肪酸の含有量で決まります。
精製方法を変えることで、融点の異なる油を作り出すことができ、その用途に応じて外食産業や食品加工産業、油脂化学工業など幅広い分野で使われているんですよ。
他にも以下の特徴が挙げられます。
飽和脂肪酸を多く含みますが、ヤシ油ほど中鎖脂肪酸の割合は高くありません。ヤシ油同様、酸化や変質しにくく発煙点が高いため揚げ物に向いています。
また、ヤシ油は固形ですがパーム油かは固形と液体の両方の油があります。固形分はマーガリンやショートニングの代わりに用いられ、さっぱりした味わいの液体部分は前菜などの調理用に使われます。

ヤシ油の食用以外の用途とは

ヤシ油といえば、食用油以外にも台所洗剤としても有名ですね。
ふだん何となく目にするヤシ油洗剤には、どのような特徴があるのでしょうか。

ヤシ油洗剤は良いことがいっぱい

洗剤の大半は苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)から作られています。しかしこれはお皿の油汚れだけでなく、手肌の油分まで奪うほど強く、手荒れや乾燥の原因となるほか皮膚の弱い人はめくれてしまうことも。
一方ヤシ油洗剤はその洗浄成分が天然素材なため、洗浄力は強力なまま手肌をいたわり、環境にも優しいとあって高い評価を得ています。
また使用量は普通の洗剤の1/4程度でよく、泡切れも良いことからコスト面でも優れた効果を発揮します。

その他にも

クレンジング剤として

肌表面から毛穴まで、汚れをきれいに落としてくれるヤシ油は肌を傷つけないクレンジング剤としても人気があります。2-5mlで素早く簡単に落としきることができますよ。

保湿剤として

入浴後適量を全身に伸ばし、1-2分マッサージすれば、皮膚にツヤと滑らかさが戻ります。

トリートメントにも

ヤシ油を頭皮や毛先につけ、15分ほどしっかり揉み込んでから髪を洗うと方法を長期的に続けると、健康的で光沢のある髪質になります。

ヤシの実からとれる油には本当に色々な特徴がありますね。
ブームのおかげで手に入りやすくなっていますし、用途も多いので、機会があればぜひ試してみてください。