2017年3月17日更新

醸造酢とは?意外と知らない酢の違い

普段何気なく使っているお酢にも、さまざまな種類があるのをご存知ですか?もしかすると特にこだわりなく、スーパーで適当に選んでいるという人も多いかも知れませんね。
しかし実際は色や見た目、味はもちろんのこと、原料や製造方法まで多種多様です。
そこで今回はお酢の種類について紹介します。

  1. 目次
  2. 醸造酢とは
  3. 合成酢とは
  4. 醸造酢と穀物酢の違い
  5. 穀物酢とは

醸造酢とは

醸造酢とは農作物などのでんぷん質を発酵して作られるお酢を指します。
主成分である酢酸が3~5%を占め、他は様々な栄養素と風味成分からなります。
醸造酢はその独特の色、香り、豊かな味わいから、ただの調味料としてではなく日常的に摂れる健康食品としても使われています。

原材料と成分は?

醸造酢は、でんぷん質を含む農作物に酢酸菌を混ぜ込んだり、天然の発酵菌を利用して酢酸発酵させたものをろ過して作られます。
原材料となる農作物はさまざまでイネ、コウリャン、あわ、麦、豆類のほか果物も使われます。また、原材料の違いだけでなく酢酸菌や酵母、酵素の作用によって風味が大きく異なります。
主な成分は酢酸のほか、有機酸、糖類、脂質、アミノ酸、ビタミン、アルコール、エステルなどで、これらがさまざまな味を作り出しています。
醸造酢は種類ごとにその成分や効能が異なることから、多くの人々に愛されています。

他にもこんな特徴が

醸造酢の持つ栄養価は非常に高く、本来身体が持っている修復機能を助ける働きがあります。
具体的に報告されている効能は以下の通りです。

  • 高脂血症の予防
  • 疲労回復
  • 高血圧の改善
  • 食欲増進と胃腸の修復
  • エネルギー代謝の向上
  • アンチエイジング
  • 抗菌、殺菌作用

薬に頼らず、醸造酢とほかの食べ物とを組み合わせた食事から自然に栄養を補うことこそ健康増進への近道ですよね。
また醸造酢は保存環境が良ければ、かなりの長期間保存のきく調味料です。そして保存すればするほど、酢の中の酢酸菌とタンパク質が作り出す沈殿物が増え、黄金色から少しずつ色が濃くなります。
これは後に紹介する合成酢との最も大きな違いでもあります。

合成酢とは

醸造酢の製造過程は比較的長く、平均で5~10ヶ月間の発酵期間を必要とします。全てが天然素材のため生産コストも高く値段も高くなります。
そうしたデメリットを解消すべく売られるようになったのが合成酢です。

安価ですがデメリットも

合成酢とは酢酸や氷酢酸を水で薄めて砂糖や酸味料、醸造酢などを加えたもの、あるいはエタノールを化学的に作り出したものを指します。
合成酢は発酵、熟成過程をふまないため、当然醸造酢のような効能はなく味わいに大きな差があることから現在はほとんど生産されていません。

合成酢に代わるもの

現在では、合成酢に代わりに加工酢が多く流通しています。加工酢とは醸造酢や合成酢にさらに香辛料や調味料を加え「酢風味の調味料」として完全に味付けされたものを指します。身近なものではポン酢やすし酢がそれにあたります。
加工酢には特に規定がなく、化学調味料や添加物が多く含まれている可能性があるため摂りすぎには注意が必要です。

醸造酢と穀物酢の違い

以上に紹介したとおり醸造酢とは天然の材料を発酵させて作るお酢を指します。原材料の違いによって大きく3つに分かれます。

  1. 穀物酢:米、麦、コーンなどの穀物
  2. 果実酢:りんご、柿、葡萄、ナツメなど
  3. 花酢:バラの花や桃の花、ハイビスカスなど

以上から穀物酢は醸造酢の1種だということがお分かりいただけると思います。
では、穀物酢について詳しくみていきましょう。

穀物酢とは

穀物を酢酸発酵させて酢を作るという製法は古く、発祥は中国とされています。
紀元前8世紀当時の文献には、すでに酢の文字が記載されています。文献によると、春秋戦国時代に酢専門の工房があり、それから500年後の漢の時代には、酢は各地で大量生産されるようになりました。
さらに600年後南北朝時代には、さらに生産量が拡大、試行錯誤と発展を繰り返した結果、酢の製法は22種類にものぼります。

穀物酢の原材料は?

醸造酢の中で最も早く作られ始めたのが穀物酢であり、でんぷん質の豊富な穀物を原料としています。
穀物のでんぷん質が酵母などで糖に分解され、アルコール発酵と酢酸発酵を経て熟成しお酢になります。
酢の主成分は酢酸であり、酢酸の主成分はエタノールです。さらにエタノールはブドウ糖からなるため、穀物のでんぷん質にはお酢を作るためのすべての要素が含まれていることになるんですね。
原料として使われてた穀物は、主にイネ、あわ、コウリャン、トウモロコシなどであり、地方によってはジャガイモやサツマイモも用いられていました。

ちなみに最近よく耳にする黒酢も、玄米や精白米から作られる穀物酢の1つで、黒酢には特にコハク酸やビタミンB群が豊富なため、健康食品として飲まれています。
穀物酢の歴史がこんなにも長いのは、身近にあって作りやすかったということも関係しているようですね。

いかがでしたか?酢は長い歴史の中でたくさんの種類が生まれ今にいたります。
今お使いのお酢が何か、あらためて見てみるのも楽しいかもしれません。