2021年1月21日更新

和菓子を支える求肥(ぎゅうひ)が固くならない理由とは?お餅との違いもチェック

大福

求肥(ぎゅうひ)は和菓子作りで定番の材料です。いちご大福やあんみつなどにも使われている薄くてモチモチとした食感の食べ物になります。そんな求肥は伸びるほど柔らかく、時間が経っても歯で容易に噛み切れます。お餅と似たような食品のため、本ページでは求肥が固くならない理由と、お餅との違いも併せてご紹介します。

  1. 目次
  2. 求肥(ぎゅうひ)とは
  3. 求肥(ぎゅうひ)の作り方は3種類
  4. 求肥(ぎゅうひ)が固くならない理由とお餅との違い
  5. パパッと作れる簡単求肥(ぎゅうひ)レシピ
  6. 固くならない求肥を和菓子でおいしく食べよう

求肥(ぎゅうひ)とは

少し厚い状態でもモチモチと簡単に噛み切れる求肥は、白玉粉や餅粉などに砂糖、水飴を加えて混ぜ、練った食品です。和菓子の世界では非常にメジャーな材料であり、和菓子を食べる際は高確率でこの求肥を見かけます。長く伸びる皮は大福やあんみつにも使われており、市販されているアイスにも求肥が使われているものもあります。高級感溢れる和菓子や手軽に安価で食べられる市販品にも使われる求肥は、多くの消費者の舌を楽しませています。

求肥に使われる材料

求肥を作るために必要な材料は主に、白玉粉や餅粉、砂糖や水飴などの糖分です。求肥作りには糖分が重要なカギを握っており、どの材料も欠かせないものになります。

白玉粉と餅粉は使用する粉で仕上がりや作り方が異なりますが、求肥を作る際は基本的に餅粉を使います。餅粉は求肥作りに非常に適しているため、別名求肥粉とも言われています。

「求肥」はなぜ難しい漢字なのか

求肥という文字は知らない人から見ればパッと簡単に読める漢字ではありません。もともと「牛皮」と呼ばれていた求肥は、平安時代に中国から日本へ伝わったとされています。

砂糖の精製技術がまだあまり確立されていなかった当時では、使用する砂糖は黒砂糖が基本でした。皮が黒色に近い色味をしていたため牛皮と呼ばれていましたが、当時の日本は牛や豚などの動物の肉を食べることはタブー視されていました。

求肥を存続させるために求肥と表記を改める命令が下されたため、現在でも求肥という漢字で定着しています。

求肥(ぎゅうひ)の作り方は3種類

なめらかで伸びの良い求肥ですが、製法には3つの種類があります。どれも似たような製法になりますが、若干の違いがあることを覚えておくと求肥選びに役立ちそうですね。

水練り

水練りと呼ばれるこの製法では、用意した白玉粉や餅粉などの粉類に必要な水を加え、練ってから糖分である砂糖や水飴を混ぜて加熱する製法になります。

茹で練り

茹で練りは白玉粉や餅粉などの粉類に水を入れ、練り終わったら蒸して砂糖、水飴を加えて更に練る製法です。呼び名の通り、工程に茹でる手順が入ります。

蒸し練り

蒸し練りも白玉粉や餅粉などの粉類に水を加え、練った後に蒸してから砂糖、水飴を混ぜて練る製法です。

どの製法も粉類に水を加えるまでは同じですが、それぞれ加熱、茹で、蒸しとアプローチの仕方が異なることが分かります。

求肥(ぎゅうひ)が固くならない理由とお餅との違い

求肥が使用された和菓子などは、基本的に常温で食べることが多いですよね。しかし、常温でも固くならないのは何故なのでしょうか。いつでもおいしく食べられる求肥の秘密と、お餅との違いについても触れていきます。

求肥が固くならないのは糖分が水分を保持してくれるから

前述した通り、求肥に使われている材料には砂糖や水飴といった糖分が含まれています。上記の製法で作られた求肥は含まれる糖が中の水分を保持してくれるため、時間を置いても乾燥することはありません。

糖はもともと水分を逃がさない性質を持っているため、求肥は柔らかさを保っていられるのです。砂糖を多く使用し、乾燥を防ぐ方法は求肥だけに限らず、パウンドケーキなどのお菓子などにも言えることです。そのため、保水効果のある糖は求肥作りに欠かせません。

求肥(ぎゅうひ)とお餅は何が違う?

お餅は餅米を原料にしていることもあり、求肥と非常に酷似する食品ですが、お餅は温度が冷めれば冷めるほど表面がカチカチに固くなってしまいます。乾燥していくのが分かるほど、食べた際に水分が失われていく食感を感じますが、固くなったお餅は水分が無くなって乾燥しているわけではありません。実は、固くなったお餅はまだ水分を維持している状態で、再加熱するとまた柔らかくなります。

ここで関係してくるのはデンプンなのですが、デンプンにはα-デンプンとβ-デンプンの形状に分けられ、水分のない加熱していないデンプンはβ-デンプンに当たります。β-デンプンはいくつかのデンプン分子同士が一つに結びついているため、消化が悪くカチカチに固い状態です。

しかし、ここに水分と加熱が加わることで絡み合っていたデンプン分子が離れることで柔らかく、そして消化に良い状態になります。お餅も同様の原理で、一度冷めて固くなっても再加熱することで中に含まれる水分と合わさって再び柔らかい状態に戻ることができます。

求肥は砂糖などの糖分が保水効果を発揮し、いつまでも柔らかいままの状態を保ち、お餅はデンプンが固さに関係するということですね。

お餅は求肥と違い、もともと持っている性質を利用して固くなったり柔らかくなったりします。

パパッと作れる簡単求肥(ぎゅうひ)レシピ

あんこやクリーム、様々なものと合う求肥はなるべく手軽に作りたいと考える方も多いのではないでしょうか。求肥はレンジで手作りすることもできます。

【材料】

  • 白玉粉(餅粉) 50g
  • 上白糖 80g
  • 水 100ml
  • 片栗粉 (コーンスターチでも可)適量

作り方はこちら(クックパッド)

固くならない求肥を和菓子でおいしく食べよう

求肥についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。日本が誇る和菓子の多くに使われている求肥は、当たり前の存在過ぎてあまり深く考えられない脇役でもあります。安定のおいしさを提供してくれる求肥を知り、休憩のお供に味わってみてはいかがでしょうか。