2018年12月3日更新

乳糖とは?乳糖の原料は何か

乳糖

栄養の宝庫といわれるくらい栄養豊富な牛乳ですが、牛乳を飲むとおなかが緩くなるなどの症状が現れアレルギーを起こす人もいます。それは牛乳に含まれる成分の乳糖を体の中で分解することができないからだそうです。今回は牛乳の成分である乳糖について調べました。

  1. 目次
  2. 乳糖とは
  3. 乳糖を成分とする牛乳のカロリー
  4. 乳糖によるアレルギー「乳糖不耐症」とは
  5. 商品の原料に「乳糖」と記載のあるものは乳製品である
  6. 牛乳の糖質はほぼ100%乳糖

乳糖とは

乳糖とは牛乳や母乳に含まれている糖質のことです。別名ラクトースと呼ばれています。牛乳に含まれている糖質の99%がこの乳糖と呼ばれる糖質です。

糖質といっても乳糖は砂糖のように甘みがあるわけではありません。そもそも糖質は甘い物だけではなく、米などの炭水化物も糖質の成分なのです。糖質は体のエネルギー源となる成分で、牛乳の炭水化物の糖質である乳糖はエネルギー源としてだけではなく、牛乳の成分のカルシウムや鉄の吸収を助け、整腸作用の働きを促す効能があります。

乳糖の成分

乳糖はブドウ糖(グルコース)とラクトースという成分が合わさった2糖類です。乳糖は、ブドウ糖とガラクトース(単糖類の一種)が結合した二糖類で、小腸でラクターゼという消化酵素によって分解、吸収されます。

<ブドウ糖>

ブドウ糖はハチミツや果物などにも含まれている単糖類です。筋肉や臓器のエネルギー源となり、特に脳のエネルギーとして効果的に働きかけてくれます。また肝臓や筋肉にグリコーゲンという形で蓄えられ、運動などして体にエネルギーが不足すると、すぐエネルギーを必要としている筋肉などの臓器に補給されエネルギーを補う効果があります。

<ガラクトース>

ガラクトースは天然に広く存在する単糖類で、甘味はありません。ブドウ糖と共に乳糖を構成する重要な成分です。

乳糖を成分とする牛乳のカロリー

一般的な牛乳100cc当たりの三大栄養成分を見てみるとタンパク質3.3g、脂肪3.8g、炭水化物4.8g、そしてカロリーは67kclです(食品成分表2015年版(七訂)による)。牛乳の糖質は牛乳の成分の炭水化物の含有量から食物繊維の含有量をひいたものが、牛乳に含まれている糖質すなわち乳糖の含有量ですが、牛乳には食物繊維が含まれていないので、牛乳の炭水化物はほぼ100%糖質、すなわち乳糖であり、普通の牛乳には4.8gの乳糖が含まれていると言えます。

乳糖によるアレルギー「乳糖不耐症」とは

日本人の中には乳糖を体の中で分解できず、牛乳を飲むとおなかが緩くなってしまう人がいます。乳糖によるアレルギーの一種で「乳糖不耐症」と呼ばれています。ブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類の乳糖は、小腸でラクターゼという消化酵素によって分解そして吸収されます。乳糖によるアレルギーのある人は、乳糖を分解および吸収するときに必要な消化酵素のラクターゼの分泌が少ないため、乳糖を消化吸収できずに下痢などの症状が出てしまいます。ちなみに乳糖をうまく消化吸収できない牛乳のアレルギーである「乳糖不耐症」は日本人に多く見られますが、乳製品を日常的に食べる国の人にはほとんど見られません。それは食生活の人間の適応能力がそうさせているのだといわれています。

乳糖不耐症の症状

乳糖を含む食品を摂取したことでアレルギー症状が出る乳糖不耐症の症状は、個人差はありますが主に消化不良、腹部不快、腹痛、下痢などの症状がでます。たとえば、少しなら牛乳を飲んでも大丈夫だけれど、たくさん飲むと下痢をしてしまうなど、その症状には個人差があります。

これは乳糖の量が多いと消化酵素のラクターゼの分泌が間に合わないからとも考えられ、こんな人はいっぺんに摂取するのではなく数回に分けて牛乳を飲めば症状が出にくくなるといわれます。また温めた牛乳は大丈夫だけれど、冷たいとアレルギー症状が出るという人もいます。これは体温に近い牛乳だと消化酵素のラクターゼの活性が上がることや、胃腸への刺激が少ないためではないかという見解がなされています。

乳糖不耐症は大人になると消化酵素のラクターゼの分泌が減少することが多いため、子供の時は平気でも、大人になってから牛乳を飲むとアレルギー症状が出てしまう人がいるという特徴もあります。

商品の原料に「乳糖」と記載のあるものは乳製品である

乳糖によるアレルギーが心配される中で、乳製品であるヨーグルトやチーズの中には、牛乳をから作られた食べ物であるにもかかわらず乳糖は含まれていません。

ヨーグルトは乳酸菌による乳酸発酵によって乳糖が分解されてしまいます。またチーズは製造過程で牛乳(乳)から乳脂肪分やカゼインなどを除いた乳清(ホエー)に乳糖のほとんどが出てしまい、チーズの中にはなくなっています。ですからヨーグルトやチーズは乳糖のアレルギーのある方でも安心した食べることができます。

ただ商品の原料の表示に「乳糖」と記載のあるものは乳糖が含まれている乳製品で、乳由来のタンパク質も除去されていないこともあります。原料に「乳糖」と記載されている商品は、乳糖を含んだ乳製品として扱われるので、アレルギーのある方は摂取しないように気を付けてください。

牛乳の糖質はほぼ100%乳糖

糖質というと砂糖や甘いお菓子を想像しますが、ご飯などの炭水化物も糖質の成分です。食品の糖質は食品の成分である炭水化物の含有量から食物繊維の含有量を差し引いたものがその食品の糖質の含有量になりますが、牛乳には食物繊維が含まれていないので、牛乳の糖質はほぼ100%、牛乳に含有される炭水化物が牛乳の糖質であり、また牛乳の糖質はブドウ糖とガラクトースの二糖類である乳糖です。

乳糖は体の小腸で消化酵素によって分解消化されますが、日本人の中には乳糖を消化する酵素の分泌が少なく分解できないためアレルギーを起こしてしまう人がいます。乳糖が消化できないアレルギーである乳糖不耐症の人は原料の表示に気を付けて、アレルギー予防してくださいね。