2018年8月17日更新

仙草の味とは?超苦い?

仙草

健康志向がブームを呼んでいる近年、これを食べたら湿疹が治まるとか、軟便が治るなど体の不調の改善や予防が望める薬効のある漢方食材が注目されています。今回ご紹介する仙草という植物もその一つです。あまり聞きなれない名称ですが、中国や台湾などでは仙草で作ったゼリーはお馴染みの人気のスイーツです。さっそく仙草とはどんな植物なのか、そしてその効能を調べてみました。

  1. 目次
  2. 仙草(せんそう)とは
  3. 仙草は独特の苦い味がする
  4. 中医学の理念では仙草の味は甘味
  5. 仙草の効能
  6. 仙草の食べ方
  7. 仙草で暑気あたりを予防しよう

仙草(せんそう)とは

仙草とは中国原産のシソ科メソナ属の植物です。学名はMesona chinensis Benth。英語ではChinese mesonaと表記されています。中国では仙人草とか涼粉草、薪草などとよばれているそうです。

中国では古くから仙草の葉や茎を煎じて飲むと、夏の暑さのため食欲が減退しめまいや体がだるくなる暑気あたりを予防したり、のどの渇きや解熱、化膿性の炎症を治すことができる民間薬としても利用してきました。

そしてその薬効は民間薬としてだけではなく、中国の伝統医学である中医学において、漢方薬の原料に利用されています。中医学では仙草という名ではなく涼粉草や仙舅草という名で利用されています。

日本では仙草の薬効がはっきりと証明されているわけではないということで薬事法に基づき、医薬品扱いにはなっていませんが、その効果に期待して葉や茎をお茶などの飲料水や煮だしたエキスを固めてゼリーにしたり、料理に加えるなどして使用されています。

仙草の呼び名の読み方

上記の中で紹介した漢字の名称は、日本ではこんな読み方をします。カッコ内は中国語の読み方です。漢方薬の原料にこのような文字が明記されていたら仙草が煎じられているのだと知識に入れておくと便利です。

  • 仙人草(xiānréncǎo)→センニンソウ(シンレンツァオ)
  • 涼粉草(liángfěncǎo)→リョウフンソウ(リャンフォンツァオ)
  • 薪草(xīncǎo)→シンソウ(シンツァオ)
  • 仙舅草(xiānjiùcǎo)→センキュウソウ(シンチョウツァオ)

仙草は独特の苦い味がする

仙草はもともと香りの強い草です。その香りは漢方薬のような独特の香りです。

仙草の葉や茎を使って作った、中国や台湾でおなじみの仙草ゼリーの味は苦みが強く、甘いシロップやハチミツなどをかけて食べるそうです。

仙草を煮だしたお茶はこれも漢方薬のような匂いと苦味があると言われます。またハーブっぽい苦味と渋みがある味わいだと表現されることもあります。

中医学の理念では仙草の味は甘味

中国の伝統医学の中医学は、薬も食べ物も自然界からの恵みであり、その性質や効能をうまく活用して人間の日々の健康に役立てるという意味をもつ「薬食同源」という思想に基づき、食材を5つの味(五味)に分類し体の不調の改善を図る考え方があります。
五味とは酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(しょっぱい)で、それぞれの味に薬理作用があり、その味がどの臓器に作用するかを、経験的に決めている考え方です。

中医学で漢方薬としても利用される仙草は中医学の理念の五味の中では甘味に分類されていて補養・緩和、食欲増進や解毒作用に効果があるとされています。

甘味に分類されているからといって甘い味がするわけではないのです。

仙草の効能

中国では仙草の葉や茎を昔から民間薬として利用してきました。民間薬として古くから伝承され続けている効能は暑気あたりを予防し、解熱作用の効果があることです。

中医学で漢方薬の原料として利用している仙草は、中医学の理念の五味では甘味、そして体の不調の症状に対応させて分類する4つの性質(薬性)から捉えた場合、涼性である仙草の効能は補養、緩和、食欲増進、解毒の効果、熱を冷ます効果、鎮静・消炎の効果があるとされています。

中薬大辞典には仙草は糖尿病、高血圧、風邪、関節炎、筋肉痛に効果があるとも記載されているようです。日本においては薬効が証明されていないので、日本の薬事法上は効能を書かない限り、医薬品とされていませんが、仙草の効能の研究報文は日本食品化学学会誌にも寄せられており、その中では暑気あたり、高血圧、筋肉痛、関節炎の解消に効果があることが報告されています。

仙草の食べ方

亀ゼリー

中医学で、薬用効果が認められている仙草は、漢方薬となって効果をはたすだけではく、薬効に期待しつつも味や香りや色を目的として料理に使われています。

仙草の食べ方は、乾燥した仙草の葉や茎を煮詰めてお茶などの飲み物にしたり、香りと効果を活かし肉の煮込み料理に加えて使われます。肉の煮込み料理はさっぱりした味わいになると言われます。

仙草の煮汁を煮詰めて作った仙草ゼリーは中国や台湾では人気のデザートです。日本でも中華街などの料理店で注目されてきたデザートです。

仙草ゼリー

仙草の葉や茎に少量の水を加えて煮詰めて漉したものを冷やし固めるとゼリー状になりなります。乾燥させた仙草で作ったゼリーはコーヒーゼリーのような黒っぽい色をしており、生の葉や茎を使うと緑色のゼリーができます。食べるときはゼリーに甘みはまるでなく、苦味が強調されているのでシロップやハチミツをかけて食べるのが一般的な食べ方です。トッピングにマンゴーなどのフルーツやアイスクリームをのせて食べることもあります。

仙草茶

仙草を干して煮だしたお茶は暑気あたりに効果があると言われます。

仙草の名前の由来の一説にもなっているのですが、昔、仙草を煮だしたお茶を暑気あたりした旅人に出したところ、たちまち元気になったことで、これほど体の不調に効く草は仙人がくれたものに違いないということから「仙草」という名で呼ばれるようになったという説もあります。

仙草茶は漢方薬臭いとも言われますが、味はスッとする感じで喉に潤いを感じるそうです。現在はティーパックのタイプや缶入りで販売されているものもあります。

亀ゼリーの中にも使われている

中国や香港で人気の薬膳デザートである亀ゼリーの中にも仙草が含まれています。亀ゼリーは亀の甲羅の裏側にあるコラーゲンと、仙草などの中国の漢方を数種類混ぜて作ったゼリーです。

日本で購入する亀ゼリーは甘味が付いていて食べやすくなっているものがほとんどですが、本場の亀ゼリーはかなり苦いのが特徴です。仙草ゼリー同様に砂糖やハチミツなどを加えて食べるそうです。ちなみに日本の中華街などではコーヒーゼリーのように生クリームがトッピングされて提供されるお店もあるそうです。

仙草で暑気あたりを予防しよう

中国や台湾で人気の仙草ゼリーの素である仙草は、漢方薬としても利用されています。中国では昔から暑気あたりや解熱作用がある民間薬として葉や茎を煮だして飲み物にしていました。中医学から捉えると味性は甘味、薬性は涼性です。日本の薬事法では効能を書かない限り医薬品とは認められていませんが、中医学では漢方薬の原料です。そのためゼリーやお茶に煮だすと漢方薬の香りがきつく、苦味がありますが、効能の高い植物です。仙草ゼリーやお茶で暑気あたりを予防して暑い夏を乗り切りましょう。

【参考サイト】
・仙 草(Mesona procumbens Hemsl.)水抽出物を加えたデンプンのゲル化現象 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/47/7/47_7_509/_pdf